【レビュー】本日公開の映画『とんかつDJアゲ太郎』を見てきた正直な感想

2020年10月30日、『とんかつDJアゲ太郎』が劇場公開となった。公開前日に、出演者の1人が道路交通法違反の疑いで逮捕され、その影響で公開が延期になるのでは? との見方があったものの、無事に公開初日を迎えることができた。

一体どんな作品なのか? 早速初日に劇場に足を運んで作品を鑑賞してきたので、その正直な感想をネタバレなしでお伝えしたいと思う。

・とんかつDJアゲ太郎

この作品は、「少年ジャンプ+」(アプリおよびウェブサイト)で2014年から2017年まで連載されていたギャグ漫画だ。少年ジャンプ+の創刊作品のひとつで、同誌から最初に単行本化された作品でもある。主人公の勝又揚太郎は、渋谷のとんかつ屋「しぶかつ」の3代目であり、DJ初心者である。その彼が、とんかつとDJに共通点を見出し、活躍する物語だ。

・ギャグとシリアスの間で混乱

私(佐藤)は原作のタイトルを知っているのみで、作品の内容をほとんど知らずに映画を見た。映画についての感想を率直に述べよう。

ギャグ漫画を原作にした実写作品は珍しいものではない。同じジャンプの作品なら『珍遊記』『変態仮面』、ギャグ要素が多く盛り込まれたヒット映画に『銀魂』などがある。したがって、この作品にもヒットする可能性は十分にあるはずだ。

この作品にもギャグ要素はふんだんに盛り込まれている。が! ギャグシーンとシリアスシーンのメリハリが乏しく、見ていて若干混乱する場面がいくつかあった。たとえば、序盤でアゲ太郎がDJを履き違えて、YouTuberみたいに動画の制作に凝っていく。それがボケなのか、ボケじゃないのかがよくわからなかった。

またDJの勉強中に妄想にふける場面も、ギャグかシリアスかを把握するのに戸惑ってしまった。そうかと思うと、突然感動させるような内容に展開したり、こちらの気持ちが置き去りにされる場面もチラホラ。

・加藤さんが主役なら……

その理由はもしかしたら、主演の北村匠海さんがイケメンすぎるからかもしれない。ギャグの場面でもどことなく緊張感があるため、「コレはギャグか?」と勘繰ってしまったのかもしれない。

個人的にはアゲ太郎の幼馴染で円山旅館の3代目室満夫(むろみつお)役を演じている、加藤涼さんがアゲ太郎を演じたらよかったのかも? と思ってしまった。ダンスが得意で愛らしい顔立ちをした加藤さんなら、ギャグシーンに緊張感が漂うことなく、コミカルに演じられた気がする。

・音楽がよかった

良かった点としては、DJ機材の扱いやクラブでのプレイシーンなどのディテールが細かかったこと。DJが交代する際に、レコード針を交換しているところは「ちゃんとしてるな」という印象を受けた。

あとは、劇中で使われる音楽がとても心地よかった。とても重要な場面の一発目で、ザ・ナックの『マイ・シャローナ』(1979年発売、多くのアーティストがカバーしているロックナンバー)が流れた時は思わず「お!」と声が出た。

・ポスターが外されている

残念なのは出演者が逮捕された影響で、ポスターが外されてしまったことだ。公開前日に館外に掲出されていたポスターは、公開初日にも関わらず、どこにも見当たらなかった。また館内でも見つけることができなかった。

こんな気の毒な初日を迎えた映画作品を、私は知らない。作品には罪はないと思うのだが、仕方のないことのなのだろうか……。いずれにしても、公開は今日始まったばかり。興味のある人は劇場に足を運んでみてはいかがだろうか。

参考リンク:映画『とんかつDJアゲ太郎
Report:佐藤英典
Photo:Rocketnews24



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