いまカルディで売ってる即席袋麺を、かつて秋葉原にあった伝説のラーメン屋「ラーメンいすず」風にする方法 / もへじ『長岡風生姜しょうゆラーメン』改造レシピ
【伝説のラーメンを求めて】もはや説明するまでもない秋葉原ラーメン界の名店中の名店『青島食堂』のショウガ風味ラーメンにホロリと感動
先日、かつて秋葉原駅前にあった伝説のラーメン屋『ラーメンいすず』についてのコラムを書いた。一度食べたら忘れられないショウガ風味。ファンも多かったが、十数年前に惜しくも閉店。熱烈な支持者は今でもいすずの味を思い出し、「いすずみたいなラーメン」を追い求めている。
ネット上にはチラホラと「あのお店のラーメンがいすずっぽかった」という勇者からの情報が書き込まれているが、実際に食べてみないと分からない。果たして本当にいすず風なのかは、自分の舌で確かめるしかないのである。
そんななか、よく「いすずっぽい」と話題になるお店がある。しかも場所も秋葉原。お店の名前は『青島食堂』。あまりにも美味く、あまりにも名店。様々なラーメンランキングでも上位の常連だ。今回はそんな『青島食堂』に行ってみた。
・秋葉原に登場してから即ブッチギリの人気店に
新潟県長岡市にある人気ラーメン店『青島食堂』が東京・秋葉原に進出したのは2009年の7月。いわゆるメインの “アキバ” とは逆方面のエリアにあるが、秋葉原に登場してからソッコーで行列のできる人気店になった。味はもちろん、ショウガのきいた長岡系「生姜醤油ラーメン」である。
私がはじめて青島食堂に行ったのは2010年の春。その当時、ネットのラーメンランキングの東京・醤油系では3位か4位に位置してた。もちろんお店の外は行列だ。現在、同じサイトで調べてみると20位になっていたが、いまなお長蛇の行列ができている。
・秋葉原+カウンター+食券機+“食券見せ”に「いすず」の思い出がよみがえる
青島食堂でラーメンにたどり着くまでの流れはこう。秋葉原の路上に行列→入店→食券機で食券を買う→カウンター後ろのベンチで待機→その最中に店員さんが「食券見せてください」と聞いてくるから見せる→誰かが食べ終えたら行列先頭のお客さんがその席に座る→食券見せる→ラーメン出てくる……だ。
なぜわざわざ流れを書くのかというと、このなかに「いすず」を連想させるワードがいくつも含まれているからである。「行列」と「食券機」、そして「行列待機中に食券を見せるプレイ」である。さらに場所は秋葉原。お店もカウンターのみである。しかも出てくるのはショウガ風味の醤油ラーメン……。いすずの思い出がフラッシュバックしてくるのである。
・青島食堂のラーメンは「いすず」に近い?
席が空く。行列の先頭はこの私。その空いた席にドシリと座ると、まず出てくるのが氷の入ったお水である。キンキンに冷えており、実に美味い。そして間もなくホッカホカの青島ラーメンがカウンターに置かれる。価格は並で700円だ。具は、のり、ナルト、ほうれん草、ねぎ、メンマ、そして味の染みた超絶に美味いチャーシューである。
まずはズズッ……とスープを飲む。――ウム! 醤油+ショウガの良い風味だ。そして矢継ぎ早に麺を食べる! ジュバッ、ジュバッと一気に食べる。小さくほぐれてしまったチャーシューが麺に絡んでくる。一緒に食べる。ハムッ、ハムッ……。
――結論から書こう。青島食堂の「青島ラーメン」は、いすずの味ではない。もう何度も行っているので、そんなことは知っていたが、改めて食べても「いすずの味」ではないことを再確認。味として共通しているのは “しょうが風味” なだけである。
だがしかし、だがしかし……青島ラーメンは圧倒的に美味い。こう言っては元も子もないが、いすずより美味いといっても過言ではない。麺とスープと具のバランスが絶妙であり、ぐうの音も出ないほどに完璧なラーメンである。いすずの味は、この青島ラーメンの味を、もっとジャンクにした感じだ。
絶えることなくやってくるお客さんたち。カウンター後ろの待機席も満席であり、店の外にも行列ができているのが見える。青島ラーメンを食べ終えた私は「ごっそさん」と言って席を立ち、ティッシュでビッと鼻をかんだ。いすずではなかった。だが、とても満足だ。
■お店データ 『青島食堂 秋葉原店』
住所:東京都千代田区神田佐久間町3-20-1
営業時間:11:30~19:00(なくなり次第終了)
定休日:火曜日
(写真、文=マミヤ狂四郎)
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【伝説のラーメンを求めて】超絶ストロングな “しょうが風味” に衝撃! 幡ヶ谷『我武者羅』の生姜醤油らぁ麺を食べたら新潟に行きたくなった
先日、かつて秋葉原駅前にあった伝説のラーメン屋『ラーメンいすず』についてのコラムを書いた。一度食べたら忘れられないショウガ風味。ファンも多かったが、十数年前に惜しくも閉店。熱烈な支持者は今でもいすずの味を思い出し、「いすずみたいなラーメン」を追い求めている。
ネット上にはチラホラと「あのお店のラーメンがいすずっぽかった」という勇者からの情報が書き込まれているが、実際に食べてみないと分からない。果たして本当にいすず風なのかは、自分の舌で確かめるしかないのである。
ということで今回行ってみたのは京王線・幡ヶ谷駅からスグの場所にある新潟風ラーメン店『長岡 生姜醤油 我武者羅(がむしゃら)』だ。「我武者羅の生姜ラーメンが近い」という情報があったからである。
・細かい心遣い
カウンター席のみだが、キレイな店内。水はセルフサービスで、店長以外のスタッフはみな女性。そのためか、目の前には髪の毛の長い女性のための「髪留め」が用意されている。そんな細かい心配りに好印象だ。
注文したのは「生姜醤油らぁ麺」。価格は680円。注文してからしばらく経ってから差し出されたラーメンは、てっぺんに生姜が乗っかっている、まさに「生姜らーめん」なのであった!
スープは、ほぼ黒。具は、ほうれん草にカイワレにノリにチャーシューにメンマである。まずはズズッ……とスープをいただく。のっけからダイレクトに伝わる「生姜」の風味! さらにトップに乗っかる生姜を崩してみると、より強烈にショウガの味が口の中に広がってくるーッ!!
――結論から書こう。我武者羅の「生姜醤油らぁ麺」は、いすずの味ではなかった。共通しているのは “しょうが風味” なだけである。
だがしかし、だがしかし……これはこれで美味い。病みつきになる魅力に満ち溢れている! いすずではない。だが、これはこれで美味い。生姜好きなら絶対にハマるタイプの味であるッ!!
なんでも、この「生姜醤油らぁ麺」というスタイルは、新潟・長岡ではポピュラーなスタイルであるという。生姜を食べたらポカポカと体が温まる。寒い地域である新潟ならではのスタイルだ。こんなラーメンがポピュラーなんて、新潟は一体どうなっているのか! 行ってみたいぞ新潟!
ちなみに『我武者羅』に行ったのはお昼どき。カウンターは常に満席。席があくのを待っている人もいた。生姜味のラーメンを食べ終えた私は「ごっそさん」と言って席を立つ。いすずではなかった。だが、とても満足だ。
■お店データ 『我武者羅』
住所:東京都渋谷区幡ヶ谷2-1-5 弓ビル
営業時間:11:30~15:00 / 18:00~24:00(火~金)
定休日:なし
(写真、文=マミヤ狂四郎)
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【コラム】秋葉原の駅前にあった伝説のラーメン屋『ラーメンいすず』の味を求めて
熱烈なファンを集めるラーメン屋さんといえば『ラーメン二郎』が有名だ。ラーメン二郎を愛する人は「ジロリアン」とも呼ばれており、独自の注文方法や厳格なルールもあると聞く。なかなか初心者は近寄りがたい雰囲気であるが、一度でも二郎の世界に入ってしまえば、逆に居心地よいのであろう。
かつて秋葉原の駅前に『ラーメンいすず』というラーメン屋があった。メニューは「ラーメン並」と「ラーメン大盛り」の2種類のみで、席も厨房をL字型に囲んだカウンター席のみ。特に独自の注文方法や厳格なルールもなかったが、暗黙の了解的なルールが存在し、それが分かってくると心地よかった。
・行列のできる人気店
基本のルールは簡単である。食券を買って店主に見せる。席についてラーメンを食べる。以上である。だがしかし、『ラーメンいすず』は当時のアキバ戦士、ならびにアキバで働く人たちに愛される人気店であった。当然ながら行列ができる。この時にどう対応するかで、いすず初心者かどうかが分かるのだ。
お店のカウンター席はフル満席。全部で7~8席はあったと記憶している。対してお店のスタッフは基本ふたり。一人は主に皿洗いをし、もう一人は汗だくになりながら鍋の前でラーメンを作る、いわばお店の「大将」であり、いすずの流れを完全に制御する “指揮者” 的な役割をしている。
・大将「そちらは?」
食券を買って列に並んでいると、ふと大将がこちらを見てくる。「そちらは?」という言葉を発するときもある。何が「そちらは?」なのかというと、「並」か「大盛り」かを聞いているのである。この時、いすず通ならば食券をチラリと見せつつ「並!」、「大盛り!」などと大将に伝える。
それを確認した大将は、鍋の中に次々と麺を放り込む。まだお客さんはフル満席だが、「このお客さんはあと何分後に席を立つ」のかを計算しつつ、見切り発車的に麺を茹で始めるのである。大将の計算通りに、お客の誰かが食べ終わる。「ごっそさん!」と言いつつ席を立つ。
その空いた席に、行列の先頭にいる者は問答無用で着席する。「この席はいやだ」なんてワガママは、いすずの世界では通用しない。「恋人同士なので隣に座って食べたい」なんて考えも、いすずの暗黙ルールでは許されない。
・ぬるい水
席に座ると、0.1秒でお水が出てくる。濁ったコップに入った、ぬるいお水が出てくる。その時にぬるい水を入れているのではない。大将の補佐役が作り貯めておいた「コップの水」を大将がテーブルの上に置いてくれるのである。ぬるくなるのも当然だ。だが、そんなことはどうでもいい。
コップ水が出てきた2秒後には、出来立てホカホカのラーメンが出てくるのである。ジャストのタイミングで、着席と同時にラーメンが完成しているのである。たまに大将の時間計算が狂い、並んでいる最中に「あのラーメン、俺のだな……」とラーメン待機するときもあるが、基本的に大将の調理タイミングに狂いはなかった。
・いすずの味とは
いすずのラーメンの味をひとことで言うならば、「醤油&しょうが」である。濃い目の醤油味だが、しょうがの風味が強烈にパンチ。実はひそかにニンニクも入っていたという、元いすずスタッフの証言もあるが、スープから確かに感じるショウガの風味がいすずラーメンの特徴だ。
しょうがを使ったラーメンといえば、新潟ラーメンが思い出されるが、それとはまた違うショウガ味。「東京風しょうが味」と例えるのは雑(ざつ)であろうか。だが、いすずでしか食べたことのない、たとえようのない独特の味であったのだ。
・具もシンプル
具はチャーシューとメンマとネギのみ。チャーシューは超薄切りだが、スープとからむと奇跡的に美味い。また、麺も麺で濃い目のスープがよくからむ。実にシンプルなのに見事な融合。麺、スープ、ネギ、メンマにチャーシュー、すべてマッチしているのである。
「思い出補正」などでは決してない。たしかにいすずのラーメンは激ウマだった。
無我夢中でラーメンを食べる。その最中も、大将は次々と見切り発車でラーメンを作る。誰かが去る。誰かが来る。すぐにラーメンを出して……と、荒ぶる牛を次々とさばく闘牛士のごとく、1秒も無駄にしないウルトラいすず大回転状態が続くのだ。
ラーメンを食べ終えたら長居は無用。なぜなら次なるお客が待っているからである。その人のためのラーメンが、まもなく出来上がろうとしているからである。「ごっそさん」と言って席を立つ。この一連の流れが、実に心地よかったのだ。
・いすずのラーメンは、もう二度と食べられない
だが、残念ながらいすずのラーメンは、もう二度と食べられない。秋葉原再開発のために、2000年ごろに閉店したのである。その後、別の街に移転したが長く営業はしていなかったという。また、「いすずの味」を継承するお店も登場したが、それも長くは続かなかった。
いすずが消えてから10年以上は経過するが、今でもネット上には「●●のラーメンがいすずっぽかった」と、いすずの味を思い出す言葉が書き込まれていることがある。いすずの味は、もう二度と食べられない。だが、それに近い味はあるかもしれない。
ほんの一瞬でも「いすず」を思い出させてくれるだけでいい。さらに、「よくよく味わったらいすずの味とは違ったけど、これはこれで美味かった」なんてラーメンならば一石二鳥だ。そんなラーメンを求め、今日も私は「いすず風味」とウワサされるお店を確かめに行くのであった。
(写真、文=マミヤ狂四郎)
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