どこの街にも、学生に嬉しい安くてうまい食堂があるものだ。北海道長万部町にも、学生をメインに地域住民に愛されている食堂がある。住民たちに「長万部で老舗の食堂といえばどこですか?」と聞くと、だいたい『甘太郎食堂』という店名が出てきた。
・心の琴線に触れる情緒ある雰囲気
甘太郎とは大判焼のこと。いまは甘太郎を焼いていないが、その名称だけは店名として残り、ラーメンやチャーハン、うどんやそば、そしてカレーライスなどの料理を提供している。実際に『甘太郎食堂』に行ってみたのだが、心の琴線に触れる情緒ある雰囲気が印象的な店構えをしていた。
・すべてが心を震わせる店内
店内も、期待を裏切らない「高倉健がラーメンをすすっていてもおかしくない」雰囲気で満ち溢れている。テーブル、椅子、壁、間取り、すべてが心を震わせる。店内から外を眺めると、強風で暖簾(のれん)がはためいており、これが大雪の日だったらどれだけ素晴らしいシチュエーションだろうと感じた(地域住民にとって大雪は困る存在だが)。
・店主「それならば間違いない」
開店したばかりのようで、客は筆者(私)だけ。厨房にはニコニコとした笑顔が素敵なおじさんがおり、「何にしますか?」と注文を聞いてきた。正直に「はじめてきたのでよくわからないのですが、何かオススメはありますか?」と言うと、「いやあ、どれも普通だからなあ」と謙遜。
どんなものが好きなのか聞かれたので「ラーメンやチャーハンが好きなんですけどどうですか?」と言うと、おじさんは「それならば間違いない」と即答。謙遜しておきながら、ラーメンとチャーハンに関しては即答で「間違いない」。なかなか言えない言葉だし、そこから強い自信を感じた。
・物質ではない「独特の隠し味」がプラスされている
目の前に出されたラーメンは醤油ベースのスープで、特にこれといったインパクトや特徴はない。しかし、半透明のスープにうっすらと見える「底に沈んだ縮れ麺」の姿は、腹をすかせた筆者にとってどんなものよりも美味なるものに思えた。
箸で麺を丼の底からサルベージ。ブワッと広がって散っていく湯気からは、麺特有の「小麦の匂い」を感じることができる。製麺所で作られた麺だとは思うが、この店が醸し出すフィールドオーラによって、独特の隠し味がプラスされているのは確かだ。
・寒い日ほど食べたくなるラーメン
いろいろと考えるのはあとにして、ズズーッと一気に麺をすする。うん、確かに間違いない。これはハズレになりえない。予想していた通りの、この食堂の雰囲気で食べるラーメンとしてベストな味になっている。麺のシンプルな美味しさ、スープのシンプルな美味しさ、そしてどんな店も出せない「甘太郎食堂という名の隠し味」。
ああ、なかなかこれないかもしれないが、できれば大雪の日に『甘太郎食堂』に駆け込んで、このラーメンのぬくもりで癒やされたい。そしてゆっくりと雑誌や漫画を読みたい。まあ、時代が時代だしiPadでもいいだろう。
・歴史を感じるファンタやコカコーラの看板
ちなみに、『甘太郎食堂』には歴史を感じるファンタやコカコーラの看板が掲げられているが、その横に「フレッツ光」の看板があり、ミスマッチのおもしろさにクスッとしてしまった。だが、こういう店だけはいつまでも変わらず営業を続けてほしいものである。それには、地域と観光客の協力が必要だ。
・学生だけが安くなる学生ラーメン
『甘太郎食堂』には学生ラーメンと学生チャーハンがある。通常のラーメンやチャーハンと同じ内容だが、値段が100円ほど安くなるのだ。自己申告制で、特に学生証を見せる必要はないようだ。筆者は「もしかして学生さん?」と聞かれた。もちろん「いやオッサンです」と返答した。
・今回ご紹介した飲食店の詳細データ
店名 甘太郎食堂
住所 北海道山越郡長万部町長万部64
時間
休日 日曜日
関連1: 長万部観光協会 公式ホームページ
関連2: 長万部役場 公式ホームページ
Correspondent: Kuzo
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オリジナル記事: 【長万部グルメ】情緒あふれる店『甘太郎食堂』のラーメンで舌鼓を打つ / 店主「それならば間違いない」
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