カロリー制限は本当に体にいいの? 老化の専門機関が「寿命への素晴らしい効果は期待できない」と報告

ダイエットの一環で「カロリー制限」をしているという人に、知っておいて頂きたい情報がある。それは、アメリカの老化研究の専門機関が、カロリー制限に関する重要な報告をしているのだ。この機関は約20年にわたってアカゲザルの調査を行ったきた。そうしたところ「カロリー制限は寿命への効果は期待できない」と結論づけているのだ。もしかすると、「体のため」と思ってやっていることが無意味であるかもしれない。
 
アメリカの国立老化研究所(NIA)は、23年にわたってアカゲザルの調査を行ってきた。当初120匹(現在は約50匹)の猿のうち、半分にカロリー3割減の食事を提供し、ダイエットを実施してきた。その結果現在まで生き残っている猿が、必ずしもダイエットから直接的な恩恵を受けて延命した訳でないと、科学誌『ネイチャー』に報告している。

食事制限された猿は、ガンの発生率がいくぶん抑制されたものの、心臓血管疾患の割合はわずかに上がったという。総じて、老化と関係の見られる疾患(糖尿病や高血圧など)の発症を、遅らせているように見られたとのこと。だがカロリー制限との因果関係はハッキリしないようだ。

実は2009年にウィスコンシンの霊長目リサーチセンター(WNPRC)が、カロリー制限が寿命に良い効果を与えると報告し、世界的な話題になった。カロリー制限を受けた猿は、「糖尿病が発症する確率が低かった」としている。ところがそもそも比較されたふたつのグループの食事量に大きな違いがあった。制限を受けていなかった猿には、食事量の限界がなかったため、甘いものを過剰に摂取していたようだ。そのため研究方法に疑問の声もあった。

したがってNIAの報告は、WNPRCの報告と対照的な結果となっている。このふたつの報告を踏まえて、テキサス大学ヘルス・サイエンス・センターのスティーブン ・オースタッド氏は、「カロリー制限が、体重を維持するために必要な食物摂取と定めるならば、ごくわずかな太りすぎている人の健康増進に役立つかもしれない」と説明し、「寿命への素晴らしい効果は期待できない」と話している。

なお、オースタッド氏によれば、極端な食事制限は骨密度の維持に問題を生じる場合があると指摘している。今回の報告はアカゲザルを対象にしたものだが、カロリー制限が人間にどれほどの影響を及ぼすのかは、今後の研究によって明らかになるかもしれない。

参照元:USATODAY(英語)


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