【インタビュー】女装子の気になる実態とは!? とある男性「姉の下着を着けてみたのが最初」

【インタビュー】女装子の気になる実態とは!? とある男性「姉の下着を着けてみたのが最初」

女装を楽しむ人には、多種多様な嗜好が入り乱れています。そのことについては、以前の記事で解説した通りです。

では実際には、どういう人が女装しているのか? 身近に女装子(じょそこ)や女装家(じょそうか)がいない人にとっては、ピンと来ないかもしれません。そこで今回は、女装をするなかでも最多数派といわれる女装子について、お伝えしたいと思います。

今回インタビューを受けてくれた女装子の伊藤瞳さんは、大きな瞳が印象的。立ち振る舞いがゆったりとしていて、話し方に知性を感じる大人の人物でした。

問1「女装について自分ではどうとらえていますか?」
「人には知られたくない秘密の自分」という位置付けです。世間一般では徐々に受け入れられつつある女装ですが、隣近所や親戚・家族など、狭い範囲の社会ではどうしても公にしたくないというのが本音です。やはりどこかにアブノーマルであるという認識があります。私の場合、時折女装に性的快感が伴っているのも秘密にしたいことの要因になっていると思います。

問2「女装に興味を持ったきっかけは?」
姉の存在が大きかったと思います。小さい頃から姉や、姉の友達と過ごす時間が多く、また自分で言うのはどうかと思いますが、結構、可愛い男の子だったので。それで姉も面白がって女の子の髪飾りを付けたりしました。思春期になると、姉の衣服をこっそりと着たりして楽しみました。だから興味を持った時点で、すでに女装をしていたと言っても良いと思います。

問3「初めて女装したときのエピソードを教えてください」
初めて女装したのは10~12歳くらいでした。ちゃんとした時期は覚えていないのですが……。両親共働きでしたので、姉が出かけると家に一人。そんなときに、姉の下着を着けてみたのが最初です。「女の子ってこんなに可愛いものをつけることができるんだ」と、うらやましく思いました。

問4「本格的な女装を始めるにあたって考えた事はありますか?」
いつの間にか女装の世界に入って行ったので、始める時点でその先のことは考えませんでした。ただし、始めることよりも、この先続けて良いのか悩んだことはあります。とくに好きな女性が現れたときに、深く悩みました。

問5「自分が女装に求めているものは何ですか?」
女性の身につけているものは、男性のものに比べてきらびやかでバラエティーに富んでいます。キュート・カジュアル・ボーイッシュ・セクシー。それらを身につけることが楽しいのです。それと、さっきも言ったように、時には性的快感も伴います。

男性が「女性の下着姿」を官能的にとらえるのと同じように、自分自身がその官能的な姿になっていることが心地よいです。『女装 = 変態』と思われるかもしれませんが、このことに関しては、一般の男性が女性に対して性的な魅力を感じる延長上にある、自然な感情だと思います。

問6「女装した時、もともとの男としての人格はどう変わるのですか?」
人格そのものは変わりません。ただ、女装しているときは、姿勢や仕草を女性らしくするように心がけています。それは人に見られるからではなく、そうしていることが心地よいからです。たとえば、ミニスカートをはいているときは膝を閉じないと、はしたないですし、猫背でいると体のラインが美しくないと思うんです。それにいつもではないですが、表向きは男の姿で見えない所を女装している事もあります。たとえば下着だけ女性のものを付けていたり。ペディキュア(足の爪のネイルアート)をしていたり、なにか女性らしい小物を持っていたり。そうしている方が気分が軽くなるんです。不思議ですね。

問7「持っている洋服、ウィッグの数はどのくらいですか?」
洋服は沢山あります。数えたことはありませんが、クローゼットに半分(残り半分は男性服)。そしてその引き出し二段、カラーボックスふたつ分です。種類はスーツ・カットソー・ミニスカート・膝丈スカート・ワンピース・ニット・パンツ・下着・ストッキングなど、フォーマルな物からカジュアルまで。それに靴・ブーツ・サンダル。ウィッグは沢山欲しいですが、今はふたつしかありません。

問8「それら変身用具の管理方法は?」
洋服はクローゼットなどに。化粧品は鞄。ウィッグはジップロックに入れて同じく鞄に。すべて自分の部屋にあります。とくに隠しているというより、整理して保管しています。

問9「月あたりの女装予算はいくらくらいですか?」
月平均にすると数千円でしょうか。年に二回ほど女装サロンや写真スタジオで撮影してもらっていますので、その時は三万円弱かかってしまいます。無駄遣いはあまりしません。でも、それはだいたいのアイテムをすでにそろえてしまっているからで、これまでに使った予算はおそらく数十万円になると思います。

問10「恋人には秘密? 逆に協力してくれそう?」
付き合い始める時に告白するのがベストだと自分では思っています。女装をしている自分を知ってからの出会いがあれば、一番幸せに思えるのですが……。今まで付き合った方に告白は出来ませんでした。

問11「女装するにあたって目指す女性像は? それは女性の好みと同じですか?」
「好みの女性像」こそが「自分に似合う女装」だと思っています。女装しても性格が変わる訳ではありません。私はどちらかというおっとりとしていて、でも自分の意見ははっきりと言います。好みの女装像もそれに近いものがあります。ただ、もし恋人にしたいと思う女性を「好みの女性像」とすると少し違います。自分よりもストレートで積極的な感じの方に魅力を感じます。

問12「女装の友達や、女装に理解のある友達はいますか?」
残念ながらそのようなお友達はいません。お友達の中に女装に理解がある方はいるはずですが、それをたしかめたことはありません。スタジオで写真を撮っていただいた方、サロンでメイクをして下さった方。この方々を大切な友達と思って接している気がします。相手側はサービスをするお客さんと思っているでしょうから、実際は片思いですね。

問13「女装した時に男性に言いよられたら、どう思いますか?」
そういう経験は無いので、難しい質問ですね。でも、決して悪い気はしないと思います。正直に「私は男性なんですよ。」って言うのでしょうか……。でも、いざ言いよられたらその場から逃げてしまうかもしれません。

問14「もしも面と向かって、嫌悪感をあらわにされたら?」
この人にはどんなに丁寧に説明しても、「女装を素直に受け入れてもらえない」と思える人物は周りにもいます。そういう人とは薄い人間関係しか作りません。それは女装云々ではなく、私自身が自由な考え方に共感するので、人の思想や容姿で差別的な言動がある方は受け入れがたい気持ちがあります。嫌悪感があらわになるというのはその表れの一部だと思います。親しくお付き合い出来ているのであれば、そういう事は無いと思います。ただ、女装している私を知っている方は限られた人物ですし、女装を肯定している方だけですので、嫌悪感を抱かれるという事はありません。街で知らない人にそう思われても、気にしないだけです。

問15「好意のある相手に、「女装を止めろ」と言われたらどうしますか?」
実は私が好意を抱く女性が現れて、女装のアイテムを手放そうと思ったことがあります。実際に一部廃棄してしまいました。でも、それはとても辛い経験で、今でも後悔しています。残念ながらその方とは別れてしまいましたが、最後まで女装のことはお話し出来ませんでした。今は、女装を認めて下さることをお付き合いする条件にしようと思っています。

先日、奥様が旦那様の女装をお手伝いしているという方にお会いしました。お化粧は奥様がなさって、衣服も共有して夫婦生活を楽しんでいるとのことでした。私が憧れるのはそのような生活です。

問16「今後はどうしていきたいですか?」
それはいつも考えることです。女装だけにとどまらず、これから先どう生きて行くかということでもあります。でも、そのなかで女装は常に(自分の人生と)一緒にあると思っています。だから「何歳まで続けるか」という考え方はしていません。女性が歳をとって行くと、好みのファッションが変化して行くように、私の女装のスタイルも変化して行くと思います。今は30代以下の若い女性のファッションに興味があります。歳と共にファッションの興味も、上の年代へと上がって行くものだと思います。

女装の楽しみ方は人それぞれ。今回お話を伺った瞳さんは、「自分だけの時間として楽しむ大切なこと」、そんな印象を受けました。女装。それは趣味なのか、生き方なのか? 少なくともそこには、単純な一過性のもので済まないような、甘い魅力があるようです。心の中に、女性への憧れがある限りは……。

執筆: 女装カメラマン・立花奈央子 公式サイト / Twitter


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【永久保存版】女装とは一体何なのか? を徹底解説

【永久保存版】女装とは一体何なのか? を徹底解説

近頃は、タレントのマツコ・デラックスさんやミッツ・マングローブさんなど、いわゆる「女装家」を名乗る芸能人の活躍が目覚ましい。女装が広く認知されるようになってきた印象を受ける。

しかし女装と一口にいっても、その目的と実態はさまざまだ。女装をしない人からすれば、興味はあってもその内情がわからずに、イメージが先行しがちである。「女装をするってことは、性転換したいの?」や「女になりきるってことは、男が好きなの?」とこういった具合に。

実際に女装をしてみると、イメージとは異なる世界に驚かされるはず。そんな女装の本質的な部分について解説していきたいと思う。

女装をしてみたいと思いながら、その一歩が踏み出せない人は、「普通ではない人のすることだ」と固定観念を持っていることが多い。また身近なところに女装者に対して、「変態なんじゃないか」と思い込んでいる人もいるはず。だが、本来はもっと柔軟で、それぞれ自分に合わせて女装というシンプルな行為を楽しんでいる。

これから数回に分けて女装についてその内情を紐解くために、まずは女装にまつわる専門用語を紹介しよう。理解を進めることによって、自分の女装願望や女装者への理解が少しでも広くなってくれれば幸いである。

・女装子(ジョソコ)
女性の装いをたしなむ男性の一般名称。ファッションとして女装を楽しむ人や、女性の心を体験するために女装する人まで、その動機は幅広い。自身は自らの性を「男性」と認めていることが多く、男性としての生活を送りながら女装を行うが、女装体験を重ねるなかで、将来的に女性となることを目指す人もいる。恋愛対象は女性であることが多いが、女装者や男性を受け入れる人もいる。身体的には、男性のままかホルモン注射を投与する程度。性転換を最終目的とする人は少ない。

・男の娘 (オトコノコ)
男性の心を持ちながら、女装を行う男性。元々は漫画などのキャラクター設定に多用されていたところ、実社会でも女装に代わる新しい用語として定着した。「娘」という字面から特にかわいらしく、若い女装者のことを指す。最近では、「女装」という言葉を避けたい人や、オタク系趣味の延長で女装を始めた人にも好んで使われる。漫画では女性扱いとなるため男キャラとの絡みがほとんどだが、実社会における男の娘の恋愛対象は女性であり、身体的には男性のままという人が多い。

・女装家
男性の身体と心を持ったまま、女装を行う男性。派手なファッションやメイクで女性の性を強調しているのが特徴。恋愛対象はほとんど男性(=ゲイ)であることが、他の女装と大きく違う点。ドラァグクイーン(男性が女性の姿で行うパフォーマンス)としての活動や女装を売りにした接客を行う人も多い。身体的には男性(例:マツコ・デラックス、ミッツ・マングローブ)。

・ニューハーフ
本来は男性が、女装して就業している様子を指していたのだが、最近では日常的に女性として生活する人も指す。自身は「実は男」や「元男」と認め、性別を「個性のひとつ」として活用する人が多い。ダンサー、パフォーマーなど、就業時のみ女装する一部の人を除けば、恋愛対象はほとんどの場合男性。身体的には、男性そのままの人から、性転換を行った人まで実に幅広い(例:はるな愛)。

・MtF(エムティーエフ)
「Male to Female」の略。身体的には男性であるが、性自認(心)が女性。「性同一性障害」の人も含まれる。心身の性別不一致による葛藤(かっとう)から、生来の性別を他人に明らかにせず、女性社会に同化して生活する人が多い。ニューハーフは「元男性・実は男性」を認めているので、ニューハーフとは大きく異なる。恋愛対象は一般的に男性。身体的にはホルモン治療や性転換手術など行い、日常生活を女として暮らすのを目的とする(例:佐藤かよ)。

・純女(ジュンメ)
生物学上の女性で、そのまま女性の格好をしている人を指す。つまり普通の女性を指す言葉。男性社会である女装業界において、女性を区別するために用いられる。

・趣味女(シュミジョ)
趣味女装、の略。東京・新宿2丁目界隈で、パフォーマーやニューハーフ以外の女装者を指す言葉。「プロ意識がないからレベルが低い」ということで、残念ながら蔑称(べっしょう)とされる。

・オカマ
一般人にもおなじみのこの言葉。女性っぽい男性、女装した男性のことを指すもので、長らく蔑称と言われているが、オカマが自分をネタにして「オカマ」というのはアリ。とはいえ、むやみに人にいう言葉ではないので、気をつけよう。

・パートタイム女装
仕事後や週末などのオフタイムにのみ、女装を楽しむ女装子のこと。一般的な女装者はほとんどこれにあたる。ちなみに反対語はフルタイム女装。

以上が女装にまつわる専門用語である。それぞれの用語について客観的に解説したが、実際はその境界線はとてもあいまいなもの。とはいえ、これらの用語が指し示す意味は、時間の経過とともに変化していくので、かたくなに「女装子ってこうあるべき」などといった定義に縛られることなく、理解を深めて頂きたい。また人によって、スタンスも異なるので女装してみたいという方は、自分なりに楽しんでみてはいかがだろうか。

執筆: 女装カメラマン・立花奈央子 公式サイト / Twitter


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【女装カメラマン / 立花奈央子コラム】ぶっちゃけ恋人が女装してたら引くの? 怒るの? 美女達の意外な本音

【女装カメラマン / 立花奈央子コラム】ぶっちゃけ恋人が女装してたら引くの? 怒るの? 美女達の意外な本音

女装に興味はあるけれど、他の人に知られたらどう思われるか心配……。そんな男性はとても多い。しかし日々女装業界で、男・女・その中間、あらゆる性別を問わず接している立花(私)からすれば、杞憂のケースは少なくないと感じている。

実際、オネエやゲイキャラの芸能人が、日々テレビをにぎわし定期的に女装企画で盛り上がっている。そこから推察すると、今までのタブー的な雰囲気は少なくなり、一定以上の支持が生まれつつあるのではないだろうか? そこで、今回は実際に女性の生の声を聞きに行く事にした。

私がリサーチ場所に選んだのは、東京・秋葉原のメイドカフェの中でも異端中の異端とされる、男の娘(おとこのこ)カフェ&バー「NEWTYPE」。かわいい女装スタッフ、そして親しみのこもったフランクな接客が、開店当初から注目を集め続けている。

一見キワモノっぽいお店なのだが、週末ともなると広い店内は満席。それぞれのテーブルにみっちりと詰めたお客が、男の娘スタッフとのラフなコミュニケーションを楽しんでいる。

それにしても、意外に目につくのは女性客の多さ。ショートカットが似合う副代表のちあきさんに尋ねると、「女性客は全体の4割くらいですね。一人で来る人も多いですよ」とのこと。立花のように、趣味で女装とふれあっている人がそんなに多いのか? 実際のところ、普通(男の娘メイドカフェに来ている時点でそうではないが)の女性は、何を思っているのだろうか? そこで早速店内の女性客に女装子をどう思っているのか尋ねてみた!

整った顔立ちのひとみさん(仮名)は、どちらかと言えばカウンターの中にいてもおかしくない美少女。とても秋葉原や女装に、縁があるとは思えないが……。

ーーひとみさんは、なんでまたこんなところに?

「わたし、元カレが女装子(じょそこ)だったんですよ。元カレに連れてこられたんですけど、私の方がこのお店にハマっちゃって今は一人でも遊びにきます」

ーー彼氏が女装!実際のところ、女装子ってどう思うんですか?

「かわいいければOK! 元カレは結構がんばってる人だったかな」

ーーその感覚、女子ならではですね(笑)。ここへは何を求めてきてるんですか?

「アイドルに会いに来る感じなんです。かわいい子が一生懸命頑張ってるのを見て、キュンとしちゃう、みたいな」

なるほど、女装だからどうこうはあまりなく、単純にかわいいものに興味がある、ということらしい。

次に話を聞いたのは、親しみやすく明るい雰囲気のさえさん(仮名)。彼女は仕事帰りによく立ち寄るという、これまた常連だ。

ーーなんで女装の世界をのぞいたんですか?

「今カレが女装子なんです」

ーー彼氏の女装って、正直どうですか?

「最初はギョッとしちゃった! 男の人が選ぶ女の子の洋服の趣味って、フリルとかリボンとか、ちょっと女子的に普通じゃないんですよ。それ、その歳の女の子は着ないよ? って。」

ーーあるある(笑)。そこでさえさんは彼氏になんて言ったんですか?

「みっともないと嫌だから、コーディネート考えようよ、って。

ーーすごい理解者! 彼は喜んだのでは?

「今では洋服を一緒に選んだり、お化粧してあげたりして、二人で楽しんでますね」

ーーぶっちゃけ、女装趣味についてどう思いますか?

「かわいかったらいいかな、みたいな。ちゃんと言ってくれたら、安心かも」

それも「愛のなせるワザ」。一般的に世の中の女性は男性の女装についてかわいければ大丈夫、とおおらかだ。

ただ、口を揃えていたのは「ハッテンはNG」。つまり、女装して他の人と過剰にイチャイチャするのはお断りらしい。それ目的の人はともかく、ちょっと女の子の洋服を着てみたい、というあこがれを潜在的に持つ男子は多い。

そんな人は、勇気を出してパートナーや女友達に相談してみてはどうだろうか? 手始めに、このコラムを気になる相手に読ませ、感想をうかがってほしい。意外な反応が返ってくるかもしれないぞ!

執筆: 女装カメラマン・立花奈央子 公式サイト / Twitter


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デパートの化粧品売場ですっぴん男がメイクアドバイスを受けてみた【女装コーディネーター / 立花奈央子コラム】

デパートの化粧品売場ですっぴん男がメイクアドバイスを受けてみた【女装コーディネーター / 立花奈央子コラム】

女装に憧れ、乙女心あふれる男性諸君に朗報! 多くの女装愛好者は世にはばかるもの、と、あらゆる女装用品を通信販売でそろえていることだろう。

しかし、心のどこかで「好きなお洋服を手に取って選べたら」とか、「メイクカウンターで店員さんに口紅を塗ってもらえたら」とか、そんな心浮き立つような買い物をしたいと思っているはず。そこで今回は「男性が化粧品売り場に行ったらどうなるのか?」を実際に試したのでお届けしたい。向かった先は……。

足を運んだのは、東京都は新宿の中心にある大型デパート『伊勢丹』。ここの化粧品売り場は国内でも屈指! もっともファッション感度が高く、数多くのブランドが集まるフロアには「買い物ををするならここ!」と熱いコスメファンも多い。

そのなかから、カネボウのブランド『LUNASOL』をチョイス。使いやすい色味と高機能な商品づくりでOLを中心に圧倒的な支持を受けている。ナチュラルメイクながら洗練された華やかさを演出できるとあって、個人的に女装子にお勧めのブランドだ。

この日は限定品セット(パーティーコフレ)の発売日ということで、カウンターは始終満員。実はこのパーティーコフレ、コスメブランドの中でもダントツの人気。WEBでは予約開始1分で売り切れ、オークションでは倍額近くにまで跳ね上がるという代物なのだ。

そんな特別な商品の発売日に多忙を極める中、BA(ビューティーアドバイザー)の美人スタッフはフル回転状態。コフレの購入を告げるついでに、ダメ元で「この子は見てのとおり男性ですが、女装をします。似合うメイクのアドバイスをしてあげてほしいのですが」とお願い。この男、もちろんすっぴんノーメイク、服装もまるきり男子とおよそメイクとは程遠い容姿なのだが……。

「限定品の発売日なので、一部しかできませんがそれでよろしければ」と笑顔で快い返事。天下の伊勢丹、カネボウ。さすがである。通路からほど近いカウンター席に案内され、アイメイクのカウンセリングに入る。「いつもと雰囲気を変えて、もっと柔らかくなるように」と、ピンクが入ったアイシャドウパレットをチョイス。

BAさんは目の前にアイテムを広げながら、実際に使用方法を細かくアドバイスしてくれる。まずはアイシャドウの発色をよくするアイシャドウベース、次にパレットのベーシックカラー、シャドウカラー、ハイライトカラー、ブラシの使い方は……といった具合で、レベルを察して本人に必要なことを惜しみなく教えてくれる。

それまでセルフメイクで四苦八苦していた初心者からは、まさに救いともいえる体験だ。BAさんの接客姿勢に、男性を特別扱いすることは見られなかった。BAさんに男性客について伺ってみた。

「はい、男性のお客様もいらっしゃいますよ。月に1名くらいの割合ですが、何度も来ていただいて仲良くなったお客さまからは、ヘアスタイルなどいろいろなご相談も受けるようになります」(BAさん談)。

男性客で困ることはないのか? とたずねると「はっきりしたアドバイスを求めておられるなど、ご要望がはっきりしているので、お話をしやすいですね」とのこと。

男性だからと拒絶せず、しっかりと美を提供するその姿勢はまさしくプロ。メイクをしてみたい、その気持ちがあれば受け止めてもらえるのだ。とはいえ、BAさんが男性にも優しいからと、それに甘える困ったちゃんにならないように。男性がメイクカウンターに行く場合、女性以上に周囲への気遣いが必要となるのは否めない。

そこで、男性がコスメカウンターで買い物をする場合の注意点をいくつか挙げてみた。常識と思えることから、厳しいと感じることまでさまざまだが、ちょっと耳を傾けてもらいたい。

・清潔にする
BAさんは至近距離で接客します。口臭、体臭、気をつけて。

・TPOに合わせた服装を
デパートに過度のカジュアルはNG。女装なら、客観的に見た年齢に合わせた服装を。

・フルメイクを強要しない
お客さんは他にもたくさんいます。

・メイクに関係のない話は控える
カウンセラーではないので、人生相談など言語道断。

・必要なものはちゃんと買う
メイクアドバイスは顧客へのサービス。メイク屋さんではありません。

・混んできたら空気を読んで退席する
長々と居座っては、同類者への迷惑になります。男性というだけで目立つのをお忘れなく。

以上! 大人の心遣いと乙女心を持って、楽しいショッピングを!

執筆: 女装コーディネーター・立花奈央子 公式サイト / Twitter
女装特化スタジオ「フォトスタジオ大羊堂」代表。メイクアップ、スタイリング、撮影を一手に請け負う女装コーディネーター。『嵐』や『関ジャニ』をも女装させるなど、テレビや雑誌等で活躍中。特技は元コスプレモデルの経験を活かした変身メイクとポーズ指導。女装、男装、コスプレなど「変身すること」について、深く広く精通している。


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【女装カメラマン / 立花奈央子コラム】思わず目を奪われるセクシー&キュートコスプレ女装写真まとめ

【女装カメラマン / 立花奈央子コラム】思わず目を奪われるセクシー&キュートコスプレ女装写真まとめ

数々のコスプレイベントでコスプレイヤー画像まとめが作られ、コスプレに親しんでいる人が多いことかと思う。ところで、コスプレイヤーが集うコスプレイベントには数々の常識がある。過度の露出の禁止、無断撮影の禁止など、マナーともいえる普遍的な要項に加えて、今なお多くの会場で禁止となっているのが……。

「女装禁止」。そう、これである。テレビや雑誌ではじゃんじゃんとニューハーフやオネエや女装が出ているのに、一番許容されていそうなコスプレイベントではひとくくりに禁止されているのである。おそらく、視覚テロになりうるものが多いのがその原因なのだろうと思われるが、いまや女装のレベルの上昇は目を見張るものがある。

性別の壁をものともしないその変身ぶりには、女装コスプレの可能性をひしと感じることだろう。括目して見よ! これが本気を出した男性コスプレイヤーだ!

自分の好きなあのキャラになりきりたい、好きな作品の世界観を表現したい。その熱い想いは男女共通! 男性も恥ずかしがらずに女装コスプレに挑戦するといいと思う! そして自信がなかったり、知識がなかったりするのなら専門家のところへGO!

執筆: 女装カメラマン・立花奈央子 公式サイト / Twitter


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【女装カメラマン / 立花奈央子コラム】君にはこの謎が解けるか? ミステリアスな美男美女の画像6選

【女装カメラマン / 立花奈央子コラム】君にはこの謎が解けるか? ミステリアスな美男美女の画像6選

秋本番! 秋といえば行楽、スポーツ、食欲、読書。読者の諸君は一体何に勤しんでいるかな? 日増しに過ごしやすく夜に、頭も冴えてやる気満点なことだろう。ちょっとしたミステリーの謎なんか、ちょちょっと解けてしまうのではないか。

そんなキレッキレの諸君のために、当記事では、とっておきの謎を用意した。とりあえず以下の問いを読んで記憶しておこう。

問1 「モデルは何人なのか」
問2 「構図の空白は何を意味しているのか」

それらに留意のうえ、下記画像によく目を凝らしていただきたい。はじめッ!

ビジネスマンとOL。初々しいものである。

もう一人、ビジネスマン風の男性。彼らの職業は一体何なのだろう?

ここで一転、サービスカット。これはけしからん! 何カップなのであろうか?

なんともうらやましい、妖しい関係の二人である。

ん、この顔はさっき見たような……? しかしその胸は一体どういうことだ? ま、まさか、まさかァー!! さあ、ここで種明かしだ! まだ答えに気づいてない君は(特に問2)、一旦上から見返してみよう!

問1 「モデルは何人なのか」
答1 「モデルは2名!男女それぞれ各1名」

問2 「構図の空白は何を意味しているのか」
答2 「以下の図を参照」

左側を男性エリア、右側を女性エリアとして、中央を異性の格好をした異性装エリアという構図だったのだ。ヒゲの男装にキュンとした女子、キュートな唇の女装にグッときた男子。今一度自分の性癖について落ち着いて考えてみよう。

かわいこちゃんがホイホイついてきたなら、ノンケだってかまわないで食っちまう人間なのかもしれないぞ。そんなドキッとするような謎、答えは君だけの心の中に。

モデルは左(男)円谷伊織さん、右(女)多田あさみさん。華麗な男装を披露してくれた豊乳な彼女は現役グラビアアイドル! DVDや写真集が発売中なのでよろしく皆の衆。

参照元: 多田あさみオフィシャルブログ
執筆: 女装カメラマン・立花奈央子 公式サイト / Twitter


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【女装カメラマン / 立花奈央子コラム】「何もないッ!」と広報担当が豪語する長万部でどれだけ楽しめるか挑戦してみた

【女装カメラマン / 立花奈央子コラム】「何もないッ!」と広報担当が豪語する長万部でどれだけ楽しめるか挑戦してみた

【女装カメラマン / 立花奈央子コラム】ゆるキャラ「まんべくん」で一躍その名を全国に轟かせた、北海道の長万部町。Twitterをはじめとした、自由すぎる発言にネットユーザーなら誰しも一度は驚いたことがあるはず!

そのまんべくん、長万部町のマスコットキャラクターとして町に観光客を呼び込まなくてはいけないのですけれども、いざ見所は? というと……。

おおおおおい! 仮にも広報担当なのに! さすがになんかあるでしょ! 自然とか! 食べ物とか! なんか! 以来気になって仕方なかった私は、現地長万部に明るい先輩記者にリサーチしたところ、こう断言されました。

「本当に何もない」

はたして本当にそうなのか? 地上の楽園すぎる長万部を独り占めしようとしているのではないか? そういえばおしゃれっぽい響きだし。様々な逡巡の末、真実を詳らかにすべくはるか北海道へと足を伸ばしてまいりました。

長万部は札幌から特急列車で二時間。特急利用往復で交通費は13000円と、ショートトリップとしてはなかなか豪気な運賃。ちなみに今回は電車時間の関係でわずか2時間の滞在です。

車窓からの風景は青い空、草原、虹とまるで長万部へ向かう私を祝福しているかのような相当なヘブンっぷり。期待は高まる一方です。

さあ、着きました! どーん。

違いますね。どよーんですね。まあ、地方の駅はどこもこんな感じなのには慣れています。先輩記者と合流して、町の見所を案内してもらうことに。現地マップはこんな感じ。非常にシンプルな町のつくりなので、かわいらしいデザインとあいまって、とてもわかりやすい地図になっています。

しかしよくよく目をこらすと、かにめし、温泉に混ざって本来観光地マップではありえない業種の案内が!「白島ふとん店」「井上司法書士事務所」「柴山保険事務所」。……いったい観光客の誰が利用するというのか? それだけ観光資源が限定されているのか? そして空を覆いだす雲。大丈夫なのか、いろんな意味で。

まずは地元民おすすめのかにめし屋へ。どんよりとした曇天に強い風でさらにわびしさが増す中、タクシーで1メーターをゆきます。この寂寥感。人気ゆるきゃらまんべくんを擁する観光地だというのに、地平の果てまで追いやられたかのようです。

店舗はわかりやすい色使いで安心の店構え!

店内は明るく清潔で、店員のおばちゃん、おじょうちゃんが明るく出迎えてくれましたよ。

貸し切り状態の店内で供された「かにめし定食(1400円)」。ふわっと立ち上るかにの香りに、ほろほろにほぐされたかに肉と地元の米のかぐわしいハーモニー! だしのよくきいたお味噌汁と交互にいただくと、一口ごとにうひょお、と奇声が漏れます。

っていうか、何もないって言ってすみませんでした。と口に出して言いました。遠方から足を運んだ期待値補正をものともしない、文句のつけようのないおいしさでございます。ごちそうさまです。

さあ、食事後問題になるのは、どうやってこの町を楽しんでいくか? ということ。地元店舗をフィルタリングした観光地図を想像すると、残るは温泉しかありません。しかし温泉へ行く時間はない。そこで町歩きだ。でも遊歩道や歴史ある街並みといったものは見当たらないのです。

そこで連れられた先は、町役場でした。はい。町役場の中では、観光みやげの数々がガラスケースに入れられてちんまりと展示されており、他に見るものは真面目に職務をこなす公務員の方々。地方役場はさぼっている人がいるかと思いきや、皆さんすごくきびきびと動いていてちょっとびっくりしました。観光地として役場を訪れたのは初めてです。

いよいよやることがなくなってきたので、海っぺりから散歩することとします。

吹きすさぶ風、風、風。年がら年中バギクロス。

重たい女子もオホーツクまで吹き飛ばされそうな勢いです。

今は冬だからこんなに寂しい風景なのだろう、夏はきっと海水浴でにぎわうのだろう、と思いきや「海水浴は禁止されているらしいよ」と先輩記者。おおう。

中心街とされる駅前通りへ。はい、駅前です。ずっとずっとこんな感じで、空いているお店の方が少ないことは予想していた通りでした。それにしてもずっと歩いていてもほとんど人とすれ違わない。みんなどこで暮らしているんだろう?

きれいな住宅が多いところを見ると、みんなお金持ちなのかもしれません。

駅にほど近く、線路の上をわたる大きな大きな歩道橋。錆加減、腐食具合、いずれもなかなかで廃墟マニア垂涎ものかと思われます。道中、女子高校生とすれ違いました。人が歩いているだけで感動を覚える駅前観光地など、そうそうありませんね。

アパートのそばにあったプレハブ小屋に張り紙。「此の物置は皆さんで仲よくつかって下さい」。おおらかだなあ。

かつては室蘭本線と函館本線の分岐駅で、瀬棚線の実質的な起点駅。一大拠点として、機関区、鉄道病院、車掌区、鉄道郵便局分室もあったそうですよ。

さあ、いよいよ次はメインの観光資源とされる温泉街へ! いい感じだったらちょっとカラスの行水でもかましてこようかと浮き足だっていると、それは地味に現れました。

営業しているのかしていないのかわからない感じですが、どこも開いてはいるようした。人里離れてのんびりしたい! という人にはうってつけの「おこもり宿」ですね。人里ですけど。右側の商店、歴史ある店構えのため店名がわかりませんが「田村商店」というそうです。観光マップに掲載されていました。

温泉街で一番大きいと思われる長万部温泉ホテル。入り口がなんだか道の駅みたいで、苗とか充実してましたよ。

敷地の反対側にはなんとなく面白い感じの看板が。黄色、緑、赤のプレートが風に吹かれてずーーーっとシャラララララとけたまましく鳴っていたのが新しかったです。

廃業した旅館も途中に少しありました。ひしゃげた軒先から雪国の厳しさがうかがえます。

人気のない道をてくてくとゆくと、車道沿いで唐突に何かの小屋が。中をのぞくとネクタイや衣類が置いてあるけれども、物置にしては前に出過ぎている、一体なんなんだろう? そう訝しがって近づいてみると。

無人販売所でした。こんな無人販売所、見た事ありません。それにしても持ち逃げに悩まされるのはどこも一緒とみえて、手書きの注意文が胸をしめつけます。がんばれ。

一時間ほどぐるりと歩いて駅舎へ戻ると、観光情報センター「インフォまんべ」前で町の人がお花を活けてました。人口6000人程度の小さな町ですが、ゆったりと豊かに暮らしていて幸せなんだろうなあとほんのりあったかくなりましたよ。

電車がくるまでの間、インフォまんべでまんべくんグッズを購入。Tシャツ、ボールペンなどオーソドックスなアイテムはもちろん、金太郎飴やお守りなど、豊富なグッズがこんもり陳列されておりましたよ。通信販売はこちら( http://www.amazon.co.jp/b?ie=UTF8&me=A1N5B8FN15AUXI )!

インフォまんべの奥にはまんべくんの部屋があり、週末やイベントの時に行くとまんべくんに会えるみたい! 私が訪れた時は出張準備のため留守でしたが、部屋の中を見せてもらえることができましたよ。部屋の中はからの貢ぎ物や手作りまんべくんグッズで満たされていました。

さすがサブカルイベントの聖地、ロフトプラスワンでのイベントチケットを5時間で売り切るだけのことはあります。圧倒的支持。

まんべくんグッズにきゃあきゃあ言いながら観光協会の職員さんと談笑していると、「3分くらい待つといいことがあるかも」というような意味深な発言。そんなに気にせず狭い駅舎内をふらふらしていたら……。

すわ、インフォまんべの奥、扉から半身を覗かせる巨大なピンクの物体が! そう、まさかの、まんべくん!! 長万部に何もないのを検証するために訪れた私のために! わざわざ! まんべくんが駆けつけてくれたのです!

私、取材だなんて一言も言っていないので、本当にただの観光客、しかもぼっちなのにですよ。感動のあまり、とたんにテンション最高潮となる自分。駅舎でぎゃあぎゃあと喚きながらまんべくんに抱きつき、ボディブローをかまされつつも思いっきりいちゃいちゃしていたら、観光協会の人からまた驚きの一言。

「駅のホームまでお見送りします」

その電車に乗る観光客は私だけ。つまり私のためにお見送りプレイ! イベントだともみくちゃにされる超人気キャラがですよ。どきどきしながらホームへ向かう、そのほんの数分の移動時間の間でも、観光協会のお姉さんが朗らかに笑いながらまんべくんトークをしてくれて、なんかもう言いようのないハートフルな時間を過ごしました。

まさかこんなに嬉しい出来事があろうとは。どんよりした雲も激しい風もすべてどうでもよくなる、瞳孔の開ききった悪童とそのスタッフのホスピタリティの質の高さよ。

そうこうはしゃいでいるうちに電車のドアは閉まり、出発。姿が見えなくなるまでハサミを振り続けてくれたまんべくんはマジでイケメンでした。また会いにくるよ! 長万部!

長万部に普通の観光地らしいものを求めると苦しいけれど、何もないのを面白がれるならむしろ必見。長万部にはまんべくんと長万部を愛するあたたかい人がいます。激混みした夢の国でネズミの尻追いかけるより、君だけを見てぎゅっと抱きしめてくれるまんべくん! かにめしもべらぼうに美味しいから、みんな行くといいと思います。

執筆: 女装カメラマン・立花奈央子 公式サイト / Twitter


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【女装カメラマン / 立花奈央子コラム】ゆるキャラ「まんべくん」で一躍その名を全国に轟かせた、北海道の長万部町。Twitterをはじめとした、自由すぎる発言にネットユーザーなら誰しも一度は驚いたことがあるはず!

そのまんべくん、長万部町のマスコットキャラクターとして町に観光客を呼び込まなくてはいけないのですけれども、いざ見所は? というと……。

おおおおおい! 仮にも広報担当なのに! さすがになんかあるでしょ! 自然とか! 食べ物とか! なんか! 以来気になって仕方なかった私は、現地長万部に明るい先輩記者にリサーチしたところ、こう断言されました。

「本当に何もない」

はたして本当にそうなのか? 地上の楽園すぎる長万部を独り占めしようとしているのではないか? そういえばおしゃれっぽい響きだし。様々な逡巡の末、真実を詳らかにすべくはるか北海道へと足を伸ばしてまいりました。

長万部は札幌から特急列車で二時間。特急利用往復で交通費は13000円と、ショートトリップとしてはなかなか豪気な運賃。ちなみに今回は電車時間の関係でわずか2時間の滞在です。

車窓からの風景は青い空、草原、虹とまるで長万部へ向かう私を祝福しているかのような相当なヘブンっぷり。期待は高まる一方です。

さあ、着きました! どーん。

違いますね。どよーんですね。まあ、地方の駅はどこもこんな感じなのには慣れています。先輩記者と合流して、町の見所を案内してもらうことに。現地マップはこんな感じ。非常にシンプルな町のつくりなので、かわいらしいデザインとあいまって、とてもわかりやすい地図になっています。

しかしよくよく目をこらすと、かにめし、温泉に混ざって本来観光地マップではありえない業種の案内が!「白島ふとん店」「井上司法書士事務所」「柴山保険事務所」。……いったい観光客の誰が利用するというのか? それだけ観光資源が限定されているのか? そして空を覆いだす雲。大丈夫なのか、いろんな意味で。

まずは地元民おすすめのかにめし屋へ。どんよりとした曇天に強い風でさらにわびしさが増す中、タクシーで1メーターをゆきます。この寂寥感。人気ゆるきゃらまんべくんを擁する観光地だというのに、地平の果てまで追いやられたかのようです。

店舗はわかりやすい色使いで安心の店構え!

店内は明るく清潔で、店員のおばちゃん、おじょうちゃんが明るく出迎えてくれましたよ。

貸し切り状態の店内で供された「かにめし定食(1400円)」。ふわっと立ち上るかにの香りに、ほろほろにほぐされたかに肉と地元の米のかぐわしいハーモニー! だしのよくきいたお味噌汁と交互にいただくと、一口ごとにうひょお、と奇声が漏れます。

っていうか、何もないって言ってすみませんでした。と口に出して言いました。遠方から足を運んだ期待値補正をものともしない、文句のつけようのないおいしさでございます。ごちそうさまです。

さあ、食事後問題になるのは、どうやってこの町を楽しんでいくか? ということ。地元店舗をフィルタリングした観光地図を想像すると、残るは温泉しかありません。しかし温泉へ行く時間はない。そこで町歩きだ。でも遊歩道や歴史ある街並みといったものは見当たらないのです。

そこで連れられた先は、町役場でした。はい。町役場の中では、観光みやげの数々がガラスケースに入れられてちんまりと展示されており、他に見るものは真面目に職務をこなす公務員の方々。地方役場はさぼっている人がいるかと思いきや、皆さんすごくきびきびと動いていてちょっとびっくりしました。観光地として役場を訪れたのは初めてです。

いよいよやることがなくなってきたので、海っぺりから散歩することとします。

吹きすさぶ風、風、風。年がら年中バギクロス。

重たい女子もオホーツクまで吹き飛ばされそうな勢いです。

今は冬だからこんなに寂しい風景なのだろう、夏はきっと海水浴でにぎわうのだろう、と思いきや「海水浴は禁止されているらしいよ」と先輩記者。おおう。

中心街とされる駅前通りへ。はい、駅前です。ずっとずっとこんな感じで、空いているお店の方が少ないことは予想していた通りでした。それにしてもずっと歩いていてもほとんど人とすれ違わない。みんなどこで暮らしているんだろう?

きれいな住宅が多いところを見ると、みんなお金持ちなのかもしれません。

駅にほど近く、線路の上をわたる大きな大きな歩道橋。錆加減、腐食具合、いずれもなかなかで廃墟マニア垂涎ものかと思われます。道中、女子高校生とすれ違いました。人が歩いているだけで感動を覚える駅前観光地など、そうそうありませんね。

アパートのそばにあったプレハブ小屋に張り紙。「此の物置は皆さんで仲よくつかって下さい」。おおらかだなあ。

かつては室蘭本線と函館本線の分岐駅で、瀬棚線の実質的な起点駅。一大拠点として、機関区、鉄道病院、車掌区、鉄道郵便局分室もあったそうですよ。

さあ、いよいよ次はメインの観光資源とされる温泉街へ! いい感じだったらちょっとカラスの行水でもかましてこようかと浮き足だっていると、それは地味に現れました。

営業しているのかしていないのかわからない感じですが、どこも開いてはいるようした。人里離れてのんびりしたい! という人にはうってつけの「おこもり宿」ですね。人里ですけど。右側の商店、歴史ある店構えのため店名がわかりませんが「田村商店」というそうです。観光マップに掲載されていました。

温泉街で一番大きいと思われる長万部温泉ホテル。入り口がなんだか道の駅みたいで、苗とか充実してましたよ。

敷地の反対側にはなんとなく面白い感じの看板が。黄色、緑、赤のプレートが風に吹かれてずーーーっとシャラララララとけたまましく鳴っていたのが新しかったです。

廃業した旅館も途中に少しありました。ひしゃげた軒先から雪国の厳しさがうかがえます。

人気のない道をてくてくとゆくと、車道沿いで唐突に何かの小屋が。中をのぞくとネクタイや衣類が置いてあるけれども、物置にしては前に出過ぎている、一体なんなんだろう? そう訝しがって近づいてみると。

無人販売所でした。こんな無人販売所、見た事ありません。それにしても持ち逃げに悩まされるのはどこも一緒とみえて、手書きの注意文が胸をしめつけます。がんばれ。

一時間ほどぐるりと歩いて駅舎へ戻ると、観光情報センター「インフォまんべ」前で町の人がお花を活けてました。人口6000人程度の小さな町ですが、ゆったりと豊かに暮らしていて幸せなんだろうなあとほんのりあったかくなりましたよ。

電車がくるまでの間、インフォまんべでまんべくんグッズを購入。Tシャツ、ボールペンなどオーソドックスなアイテムはもちろん、金太郎飴やお守りなど、豊富なグッズがこんもり陳列されておりましたよ。通信販売はこちら( http://www.amazon.co.jp/b?ie=UTF8&me=A1N5B8FN15AUXI )!

インフォまんべの奥にはまんべくんの部屋があり、週末やイベントの時に行くとまんべくんに会えるみたい! 私が訪れた時は出張準備のため留守でしたが、部屋の中を見せてもらえることができましたよ。部屋の中はからの貢ぎ物や手作りまんべくんグッズで満たされていました。

さすがサブカルイベントの聖地、ロフトプラスワンでのイベントチケットを5時間で売り切るだけのことはあります。圧倒的支持。

まんべくんグッズにきゃあきゃあ言いながら観光協会の職員さんと談笑していると、「3分くらい待つといいことがあるかも」というような意味深な発言。そんなに気にせず狭い駅舎内をふらふらしていたら……。

すわ、インフォまんべの奥、扉から半身を覗かせる巨大なピンクの物体が! そう、まさかの、まんべくん!! 長万部に何もないのを検証するために訪れた私のために! わざわざ! まんべくんが駆けつけてくれたのです!

私、取材だなんて一言も言っていないので、本当にただの観光客、しかもぼっちなのにですよ。感動のあまり、とたんにテンション最高潮となる自分。駅舎でぎゃあぎゃあと喚きながらまんべくんに抱きつき、ボディブローをかまされつつも思いっきりいちゃいちゃしていたら、観光協会の人からまた驚きの一言。

「駅のホームまでお見送りします」

その電車に乗る観光客は私だけ。つまり私のためにお見送りプレイ! イベントだともみくちゃにされる超人気キャラがですよ。どきどきしながらホームへ向かう、そのほんの数分の移動時間の間でも、観光協会のお姉さんが朗らかに笑いながらまんべくんトークをしてくれて、なんかもう言いようのないハートフルな時間を過ごしました。

まさかこんなに嬉しい出来事があろうとは。どんよりした雲も激しい風もすべてどうでもよくなる、瞳孔の開ききった悪童とそのスタッフのホスピタリティの質の高さよ。

そうこうはしゃいでいるうちに電車のドアは閉まり、出発。姿が見えなくなるまでハサミを振り続けてくれたまんべくんはマジでイケメンでした。また会いにくるよ! 長万部!

長万部に普通の観光地らしいものを求めると苦しいけれど、何もないのを面白がれるならむしろ必見。長万部にはまんべくんと長万部を愛するあたたかい人がいます。激混みした夢の国でネズミの尻追いかけるより、君だけを見てぎゅっと抱きしめてくれるまんべくん! かにめしもべらぼうに美味しいから、みんな行くといいと思います。

執筆: 女装カメラマン・立花奈央子 公式サイト / Twitter


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