中国の写真家が撮影した農村の写真が話題に / 映っているのは「人・家・家財道具 」 まるで中国の縮図のよう

中国の写真家が撮影した農村の写真が話題に / 映っているのは「人・家・家財道具 」 まるで中国の縮図のよう

経済成長めざましい中国。北京、上海、深センなど主要都市には煌びやかな摩天楼が建ち並び、東京よりずっとにぎやかで発展している印象を受けるスポットもあるくらいだ。

ある写真家が中国のもうひとつの側面を見せる写真を発表して話題となった。その写真のテーマは「家財」。農村部の人、その人が住む家、そして家の中にある家財の集合写真である。

これらの写真を発表したのは写真家の黄慶軍(Huang Qingjun)さんだ。黄さんはこの10年間に中国大陸33省のうち14省の農村を旅し、そこで生活する人・家・そして家財一式を撮影してきた。「家財一式」というのは、家にある大きな家具・家電から身の回りのもの全てのことである。

さすがに、アートの主旨の説明には苦労したそうだ。しかも、中には、黄さんの撮影が人生初の写真撮影であった人もいたという。そのエピソードでも都市部と農村部の生活の違いを感じられるだろう。

黄さんの撮影した家は土壁だったり、プレハブのような家だったり、なかには舟の上に住んでいる人もいる。そして家財道具は極端に少ない。冷蔵庫や洗濯機、掃除機など、日本の一般家庭の必需品がない家だって珍しくないのだ。

しかし、その一方で、洗濯機や冷蔵庫はなくても、ほぼ全ての家にテレビはある。ブラウン管のものがほとんどだが、なかには薄型テレビ、パラボナアンテナまたDVDプレーヤーや、もちろん携帯電話もあるだろう。

洗濯機など生活の利便性をはかるための家電がないところから見ても、恐らくずっと昔と同じ生活スタイルなのだろう。しかし、テレビに代表される娯楽家電はしっかりと設置されている。この作品は単純に「中国の農村部の貧しさ」「都市との格差」を表現したものではないのではないだろうか。

急速に発展する中国は、よく日本の高度経済成長期やバブル時期にたとえられる。しかし日本が世界の技術発達とともに段階的に発展したのに対し、中国は外からの技術流入で一足飛びで発展した一面を持つ。黄さんの映し出した農村数十年の間に中国で起きた変化の縮図とも言えるのではないだろうか。

(文=澤井恵)
参照元:BBC(英語)


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