【後編】モバイルデータ通信の「速度制限」1週間実験 / 生き残ったのはWiMAX! docomoは亀! SBは息切れ! EMは決定力不足

【後編】モバイルデータ通信の「速度制限」1週間実験 / 生き残ったのはWiMAX! docomoは亀! SBは息切れ! EMは決定力不足

今やモバイラー必須の環境、それが「モバイルデータ通信」である。なんてったってモバイルルーターさえ持っていれば、いつでもどこでもネットに繋がる! モバイル機器を持っている人にとって、これ以上ありがたいことはない。

だがしかし……様々な通信会社が提供しているモバイルデータ通信だが、その特徴も各社によって全然違う。自分が利用するデータの容量によって、通信速度に制限がかかってしまうところもある。できることなら制限なしの “最強” を手に入れたい……ッ!

ということで大手4社のモバイルルーターを使って実験したのが先日お伝えした記事「【前編】モバイルデータ通信の「速度制限」がどれぐらいでかかるのか1週間実験! 3日で超遅くなる場合もあって笑った」である。今回は一週間試してみた最終結果と、その感想を書きたいと思う。

なお、実験のルールは「1週間のあいだ動画配信サービス『Hulu』で見られる映画を毎日1本視聴し、さらにiPadアプリの無料ゲームを1本ずつダウンロードする」であり、使用機材はiPad mini(16GB)と各社の最新モデルのモバイルルーター、docomo Xi「L-04D」、Softbank 4G「ULTRA WiFi 4G 102HW」、イー・モバイル「Pocket WiFi LTE(GL04P)」、UQ WiMAX「AtermWM3600R」である。

【5日目】
・視聴した映画:『パルプフィクション』(2時間34分21秒 / 約1.2GB)
・ダウンロードしたアプリ:『ブラザーインアームズ2:Global Front Free+』(379MB)
<各社状況>Softbank 4Gに速度制限がかかっている様子
(△)docomo Xi:動画の画質は究極に汚いが、なんとか根性で再生しきった感じ。アプリのダウンロードも、通信環境のせいか究極に遅いが問題なし。
(◯)WiMAX:動画の視聴可能。アプリのダウンロードも問題なし。
(×)Softbank 4G:再生中に速度制限がかかったもようで、Huluで映画を視聴する際の画質が見られないほど悪かったが、ギリギリのレベルで再生しきった。案の定、動画視聴後の速度調査では0.32Mbpsまで落ちていた。また、速度が出なさ過ぎてアプリのダウンロードはほぼ不可能。速度制限がかかっている可能性あり。
(◯)イー・モバイル:動画の視聴可能。アプリのダウンロードも問題なし。

【6日目】
・視聴した映画:『時計じかけのオレンジ』(2時間16分40秒 / 約800MB)
・ダウンロードしたアプリ:『シックス・ガンズ』(430MB)
<各社状況>docomo XiとSoftbank 4Gに速度制限がかかっている様子
(×)docomo Xi:動画再生前の速度調査ではダウンロード速度3.98Mbps。しかし、再生中に字幕も読めないレベルの汚い画質になり、バッファリングも多発。マトモに映画を見られる状態ではなくなった。動画再生後の速度は0.20Mbps。速度制限が始まったっぽい。
(◯)WiMAX:動画の視聴可能。アプリのダウンロードも問題なし。なお、ダウンロード速度の平均は6〜8Mbps。かなり安定している。
(×)Softbank 4G:動画視聴前の速度調査の時点でダウンロード速度は0.23Mbps。字幕も読めない画質のため、事実上のリタイヤ扱い。また、速度が出なさ過ぎてアプリのダウンロードも現実的に不可能。すぐに「一時停止」になってしまう。完全に速度制限がかかったと見てよいだろう。
(◯)イー・モバイル:動画の視聴可能。アプリのダウンロードも問題なし。なお、ダウンロード速度の平均は5〜6Mbps。

【7日目】
・視聴した動画:『ブラックホーク・ダウン』(2時間24分20秒 / 約2.6GB)
・ダウンロードしたアプリ:『100人大戦ボンバーマン』(16.8MB)
<各社状況>Softbank 4Gとdocomo Xiは完全にリタイヤ。イー・モバイルは時間帯で速度制限かかるもよう。
(×)docomo Xi:動画再生前の速度調査ではダウンロード速度0.21Mbps。もはや再生すらされないためリタイヤとする。アプリのダウンロードも事実上不可能。すぐに「一時停止」になる。
(◯)WiMAX:動画再生前の速度調査ではダウンロード速度9.03Mbps。字幕クッキリ、最上級に綺麗な画質で再生しきった。アプリのダウンロードも問題なし。
(×)Softbank 4G:動画視聴前の速度調査の時点でダウンロード速度は0.11Mbps。もはや再生すらされないため、事実上のリタイヤ扱い。また、速度が出なさ過ぎてアプリのダウンロードも現実的に不可能。すぐに「一時停止」になってしまう。
(×)イー・モバイル:動画視聴前の速度調査ではダウンロード速度10.08Mbpsと好調だったが、時刻が9時を過ぎたあたりから字幕が読めないレベルの画質に落ちぶれる。動画視聴後の速度は0.20Mbps。おそらくイー・モバイルならではの「時間帯による速度制限」にひかっかったもよう。しかし、なぜかアプリのダウンロードはサクっとできた。アプリダウンロード後の速度は0.19Mbps。

……といった感じである。結果的に、最後の最後まで安定して高速ネットを維持し続けたのは予想通り、“速度制限無し” の「WiMAX」であった。

なお、一週間にわたって各社のモバイルルーターを使って調査した筆者が感じた各社の感想・イメージは下記のような感じである。

・docomo Xi
まず、回線が遅い。どうにもこうにも遅い。しかし、その遅さのため、おのずとデータ転送量も少なくなり、「月7GB以上」に達するまでしぶとく生き続ける。動物に例えるならカメであり、人間の動きに例えるならば「散歩」である。だが、決してその散歩はいいものではない。ストレスのたまる牛歩である。

・WiMAX
実はうっすらと最初からWiMAXが勝つのだろうと感じていた。なぜなら「速度制限が無い」からである。いくら使っても制限なし。なんという無尽蔵のスタミナ。まるで90分間フルタイム、縦横無尽にピッチを走り続けるインテルミラノ長友佑都選手のようなタフさである。速度も安定して8Mbps程度出ており、十分である。

・Softbank 4G
速度制限がかかっていない時のスピードは、まさにイナズマ!……が、そのバカッ速のスピードのためにHuluでの動画視聴時なども最高画質で再生されデータ通信料もバカスカ消費。そしてすぐに転送量7GBに達し速度制限がかかってしまう。競技に例えるならば100メートル走。速いけど息切れするのだ。

・イー・モバイル
わりと優等生なのがイーモバである。スピードもそこそこ安定している。だが、夜の9時をすぎると態度は一変。夜9時以降に発生するらしき速度制限にかかってしまうもようで、速度もビックリするくらいに遅くなる。もっともネットが盛り上がっている大事な時間にダメになってしまうその姿は、1998年フランスワールドカップで物議をかもした決定力不足の日本代表のようである。

総評:速度制限を気にしたくない人はWiMAXを選ぶべし!
総評としては、WiMAX以外全てのモバイルデータ通信で速度制限がかかったため、最終的に「速度制限を気にせずインターネットを利用したい人はWiMAX以外に選択肢は無い」というところだろうか。

まあ文章だけのメールやホームページの閲覧しかしないのであれば速度制限がかかる可能性は低いだろうが、「パソコンでもタブレットでもモバイルルーターを使って回線を一本化したい、映画を見てもアプリをダウンロードしても絶対に回線が遅くなるのはイヤ!」など、速度制限を気にせずに思いっきりモバイルでインターネットを楽しみたい人は、現状速度制限が絶対にかからないWiMAXを利用するのが唯一残された道のようだ。

ちなみに速度制限がかかった後、具体的にどれぐらいの速度でインターネットができるかというと、メールでは画像などの添付は時間がかかりすぎてほぼムリ。ちょっと重いサイトを開こうとすると数分はかかるため、とてもではないが快適にインターネットを利用できるとは言いがたいレベルである。

写真:ロケットニュース24


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オリジナル記事: 【後編】モバイルデータ通信の「速度制限」1週間実験 / 生き残ったのはWiMAX! docomoは亀! SBは息切れ! EMは決定力不足
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