ロケットニュース24記者の「20歳の自分に読ませたい・見せたい作品」9選

20歳のころに出会っておきたかった作品。きっと人それぞれ出会っておきたかった本や音楽、映画というものがあるだろう。

ロケットニュース24の記者も考えた。あの頃の自分に教えたい作品とは何だろうか。考え抜いて選んだ9つの作品をここで紹介したい。

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GO羽鳥「一度コケても諦めるな」
・映画『マッドマックス 怒りのデス・ロード』

『マッドマックス』シリーズのジャケット写真

GO羽鳥「『マッドマックス』シリーズの大ファンで、特に『2』が好きだった。ところが3作目『サンダードーム』で正直『えっ……』となり意気消沈。1作目、2作目が良くても3作目でズッコけて、もう立ち直れないくらいの黒歴史になったりもするんだな……なんて思っていた。

でも、そんなサンダードーム(1985年)から30年後の2015年、まさかの新作『マッドマックス 怒りのデス・ロード』が公開。見る前は本当にドキドキした。不安でしょうがなかった。またサンダードームみたいなことに……と。

しかし、それは杞憂に終わった。なんならマッドマックス史上最高のマッドマックスだった。なので20歳の自分に伝えたい。『あと15年待てば、最強のマッドマックスが帰ってくるぞ』と。そして『一度コケても諦めるな。マッドマックスのように』とも伝えたい」

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和才雄一郎「読まず嫌いはもったいない」
・漫画『ベルサイユのばら』(池田理代子)

『ベルサイユのばら』のKindle写真

和才雄一郎「読み始めるのに20年かかったけど、1度手に取ったら睡眠時間を削って1日で全巻制覇した作品。その存在自体は、私が10代の頃から知っていた。だけど、当時は『男性が少女マンガを読むなんて……』と思っていたから、手を出せなかったのである。

今にして思えば、そんな感情はさっさと捨て去るべきだった。すごくもったいなかった。そう思うきっかけになった作品が、『ベルばら』こと『ベルサイユのばら』である」

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P.K.サンジュン「お前がまだ知らない最高の男が待ってる」
・映画『男はつらいよ』

『男はつらいよ』のイメージ画像

P.K.サンジュン「20歳の頃というと、俺が人生で1番本を読み漁っていた時期。特に歴史小説が好きで、司馬遼太郎の幕末ものや吉川英治の三国志なんかはこの時期に読んだ。最終的には『罪と罰』とかも読んじゃってたもんね。

なので『これだけは読んでおけ!』という本はない。ちゃんと読んだ。逆にあの頃は毛嫌いしてたけど最高だった映画が『男はつらいよ』だね。結局は30超えてから寅さんデビューしたけど、20歳の頃に見てたらどうなっていたんだろう?

俺は感化されやすい方だし、本当に寅さんが愛おしくてたまらないから、割と本気でテキ屋になっていたかもしれないね。20歳のサンジュン、お前がまだ知らない最高の男が10年後くらいに待ってるぜ」

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あひるねこ「10年以上を無駄にしてしまった」
・ジャズ『至上の愛(A Love Supreme)』(ジョン・コルトレーン)

『ジョン・コルトレーン 至上の愛』CDジャケット写真

「20歳ごろというと、今はなき御茶ノ水のCDレンタルショップ『ジャニス』に通ってまだ見ぬ音楽を吸い込みまくっていた時期である。割とどんなジャンルでも聴く方だが、どうもジャズだけはあまり興味を引かれず、その魅力に目覚めるのは30代になってからだった。

もし当時、コルトレーンに出会えていれば……と今も思わずにはいられない。10年以上を無駄にしたワケだから。『ジャイアント・ステップス』と迷ったが、決してBGMにはなり得ない凄みをたたえた『至上の愛』ならば、20歳の私でもきっとブッ飛ばされただろう」

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佐藤英典「人生の分岐点となる一冊」
・評論『堕落論』(坂口安吾)

『堕落論』カバー写真

佐藤英典「20歳の英典、お前に今の俺、つまり46歳の英典から勧められるものは何もない。なぜなら、まもなくバイト先で出会った大学生のT君にこの書籍を勧めてもらうからだ。

T君は強情でひねくれ者のお前に『佐藤さん、多分こういうの好きだと思うよ』と言って、堕落論や坂口安吾のことを教えてくれる。その話は今のお前が感じている世の中や生きることに対する窮屈な感覚のひとつの答えになるだろう。そして、この書籍との出会いはお前の人生のひとつの分岐点になるはずだ。これをきっかけに安吾の作品を片っ端から読み漁り、深くその世界にのめり込んでいくことになる。

弱気なくせに気が強く、何にでも食ってかかるお前だ。世の中のすべてが理不尽に見えて、自分の存在の小ささや行動の無意味さに毎日打ちのめされているに違いない。もっともっと過酷な現実を自ら作り上げることになるから安心しろ。きっと笑い飛ばせる日が来るから。30歳の時に持ち物がカバン2個分になるとあらかじめ伝えておく。酒もたばこも知らない20歳を存分に楽しでおけ。

20歳の英典、1つだけ頼みがある。お前はさんざんT君に世話になり、坂口安吾との出会いをもたらしてもらう。それなのに、その感謝を十分に伝えずにいるはずだ。この書籍を勧められたら、彼の手を握って『ありがとう』と言ってくれ。心からだ、心からそう伝えて欲しい。

彼は約1年後に行方がわからなくなって音信不通になってしまう。それを止めるすべは多分なかったと思う。だからせめてお礼を、『ありがとう』とお礼を」

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原田たかし「真摯に取り組むことの大切さ」
・書籍『逆境を笑え 野球小僧の壁に立ち向かう方法』(川﨑宗則)

『逆境を笑え 野球小僧の壁に立ち向かう方法』カバー写真

原田たかし「たとえ野球に詳しくなくても、スルスルと読める一冊。プロ選手からメジャーリーガー……と順調に見えたムネリンの野球人生だが、紆余曲折があって苦悩や葛藤を抱えていたのが分かる。

人生は長く、誰でも挫折がある。そんなとき、この本を読んでいればムネリンの向上心、『好き』だという気持ち、前向きな思考を思い出して1日、1日を頑張れるはず。真摯に取り組むことの大切さは何歳になっても変わらない」

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田代大一朗「幼いころに感じていた世界の輝きが戻ってくる」
・小説『アルケミスト』(パウロ・コエーリョ)

『アルケミスト』カバー写真

田代大一朗「この本のすごさ、この本の奇跡さを20歳の自分が感じ取れるかは分からない。だが、それでも読ませてみたい。

目に見えないもの、科学では証明できないもの、世間一般的には存在してないとされるもの。これらのものを信じられたら、世界はどれほど壮大で、どれほど美しくなるのか。

そういった最高の暗示がたくさん詰まった『アルケミスト』は、見えないものに惹かれ夢中になっていた子ども時代の世界の見方を思い出させてくれる。この本と出会ってから私の日常に、幼いころに感じていた世界の輝きが戻ってきた気がする。

もっと早くにこの本と出会っていたら、どうなっていたんだろう。自分はどう反応したんだろう。そんな妄想を働かせ、過去の自分を振り返るのもまた面白い」

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ジュン君「世の中の見方が変わる」
・小説『外食王の飢え』(城山三郎)

『外食王の飢え』カバー写真

ジュン君「私はファミリーレストランが好きだ。学生時代に友人と勉強したり、社会人になった後は食事はもちろん、仕事をする場として利用したり、そして今では家族とも色々なファミレスに頻繁に行く。食事が美味しいのはもちろんだが、席が広かったりドリンクバーがあったりと、とにかく『使いやすい』から好きだ。

この本は、ロイヤルホストとすかいらーくの創業期をモデルにした物語で、日本でファミリーレストランがどのようにつくられてきたか、創業者の挑戦、苦労がまとめられている。この本を読んでから自分のなかで、ファミリーレストランに限らず世の中の仕事、店、サービスなどに対する見方が『いろいろな背景や経緯があって今に至っている』と変わった本。

25歳くらいの時にある方に薦められて読んだのだが、もう少し早い20歳の時に読んでいたら自分はどうなっていたかなと思っている」

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中澤星児「もっと早くに出会っていれば創れるものが違ったはず」
・「ロケットニュース24」

「ロケットニュース24」ロゴ

中澤星児「小説にしても音楽にしてもアニメにしても重要なのは出会うタイミングだと思う。いくら名作でも自分に響かなければ吸収はできない。そう考えると、人生観を変えるレベルの作品は全てしかるべきタイミングで吸収してきたように思う。

ただ、ロケットニュース24のようなウェブメディアは、現在の仕事を始めてから初めてまともに読んだと言っても過言ではない。私が20歳の頃はロケットニュース24はなかったが、仕事に迫られたからではなく、もっと早くにウェブメディアに出会っていれば、吸収できることも、創れるものもまた違ったんじゃないかなあ」

──以上、ロケットニュース24が選ぶ「20歳の自分に読ませたい・見せたい作品」である。

あなたが考えるあの頃の自分に触れさせたい作品とは何だろうか。もしかしたらその作品には、今の自分にとって大事なものが詰まっているのかもしれない。

執筆:ロケットニュース24編集部
Photo:RocketNews24.

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針穴の中に「ラクダ」、リンゴの種の中に「戦車」!? 超人技としか言いようのない極小作品色々

針穴の中に「ラクダ」、リンゴの種の中に「戦車」!? 超人技としか言いようのない極小作品色々

針穴になかなか針を通すことができなくて四苦八苦したという経験、誰でも一度はありますよね。

これからご紹介するのは、そんな狭小な場所に、これまた極小なアート作品を作り続けているロシア人アーティスト、Miniaturist Nikolai Alduninさんです。

海外サイト『mymodernmet.com』に掲載されているAlduninさんの作品は、どれもこれもとにかく小さい! ひとつの針穴の中に、7頭ものラクダと3本の木を一気に設置しちゃったり、リンゴの種の中に精巧な戦車を置いたり、はたまた米粒にトルストイの似顔絵を描いちゃったり……。とにかく彼のやることなすこと、超人技としか言いようがないんですよ、コレが。

56歳になるAlduninさんが製作に使用しているのは、接着剤にスポイトに爪楊枝など、わたしたちにとってもごくごく身近なもの。その中でも特に欠かせないのが、28年間使い続けているという年代物の顕微鏡です。たったこれだけの道具で、ここまで高クオリティーな作品を作ってしまう。それはすべて、Alduninさんが持つ圧倒的な技術力の高さと粘り強さによるものなのでしょう。

おとぎ話の中に出てくる「ノミに馬蹄を履かせた職人」にインスパイアされて、現在のような作品を製作し始めたというAlduninさんですが、なんと自身もノミに馬蹄を履かすことに成功してしまったのだとか。ホント、彼の職人芸、一体どこまでいってしまうのでしょうか。次なる作品も楽しみで仕方ありませんっ。

寄稿:Pouch
参照元:mymodernmet.com(英文)


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