人はバーチャル世界でヒーロー体験をすると実生活でもヒーローのように優しく振る舞うことが判明

人はバーチャル世界でヒーロー体験をすると実生活でもヒーローのように優しく振る舞うことが判明

世のため人のために活躍するヒーローはかっこいい。子どもの頃に憧れて “ヒーローごっこ” をして遊んだ経験のある方も少なくないだろう。あのときの体験が、もしかしたらあなたを本物のヒーローに一歩近づけていたのかもしれない。

「バーチャルリアリティでの体験が及ぼす現実世界への影響」に関して、驚きの研究結果が報告された。なんと、仮想現実でヒーローの気分を味わうと、人は実際の生活でもヒーローのように周囲に優しく振る舞い始めるというのである。

米スタンフォード大学のロビン・ローゼンバーグ博士が実験を行い明らかにした。まず、ゴーグルとヘッドセットを用いて被験者たちにバーチャルリアリティ体験をしてもらう。舞台は、地震発生により避難警報が発動された街の上空という設定だ。

被験者の半数にはスーパーマンのように空を自由自在に飛ぶ能力が与えられ、残りの半数にはヘリコプターに乗る以外に移動手段はない。この状況下で、彼らには「行方不明になった子どもを探す」もしくは「人々がいなくなった街を探索する」のどちらかのミッションが与えられた。

被験者たちがどっぷりと仮想現実の世界に浸ったところでバーチャル体験を終了し、ここから実験開始だ。現実世界に戻った彼らに、すぐそばにある椅子に座るよう指示。その直後、実験者側がペンのたくさん入った入れ物を落として床にばらまいてしまったとき、被験者たちがどのような反応を示すのか調べた。

結果、バーチャル世界で行ったミッションにかかわらず、スーパーマンの能力を手に入れた被験者たちはすぐに立ち上がり、ペンを拾ってあげるという優しさを見せた。ヘリコプターでしか移動できなった被験者たちと比べると、ペンを拾うまでの行動が素早く、拾った本数も圧倒的に多かったとのこと。

また、スーパーマン体験をした人たちは全員がペンを拾ったのに対し、そうでない被験者のなかにはまったくペンを拾おうとせず無反応な人たちもいたという。両者の反応の差は、「スピード」「拾った本数」「行動した人数」のすべてにおいて顕著であった。

博士によると、「バーチャル世界でスーパーマンのようなヒーロー体験をした人は、その後現実世界に戻ってもヒーローのように他人に優しく接する傾向がありました。たとえ仮想現実の世界であってもヒーローとして行動すると、実生活でもその影響を受けて、困っている人を見たら助けてあげるという考え方になりやすいようです」とのこと。

バーチャルリアリティを平和目的に利用すれば、世界にはスーパーマンのような心優しきヒーローたちが大勢誕生するのかもしれない。

参照元:Mail Online(英文)
photo: flickr scottfeldstein


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