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【コラム】初めて音楽の印税が振り込まれた日
こんにちは。売れないバンドマンの中澤星児です。もう15年くらいライブハウスでバンド活動をしてますが全然売れません。もちろん、印税なんて受け取ったことがありません。
レーベルや出版社のお世話になってこれまで色んなバンドで4枚のアルバムをリリースしていますが、印税が振り込まれたことがないのです。僕が作詞作曲したオリジナル曲も収録されているので作詞作曲印税は発生しているんですが、なんでだろ? 実はこれにはカラクリがありまして……
・印税はプラスでもらえるもの
まず、印税というのは売上金ではありません。例えば、CDが売れたら、売り上げにプラスしてもらえる権利収益です。CD売上とかYouTube広告料、チケット売上とは別にプラスでもらえるのです。ここ重要。
・印税が振り込まれない理由
話を戻すと、出版社が絡んでCDをリリースした場合、印税は出版社を経由して支払われます。しかし、その印税が振り込まれるのは、出版社側で設定されている金額を越えた時。例えば、そのラインが5000円の場合、印税5000円未満は次期に繰越され、ラインを越えて初めて支払われるというシステムなんですね。
で、CDの売り上げであれば数枚なんですけど、この5000円はあくまで著作権印税の支払額の合計。つまり、CD価格の数パーセントしかない。これがインディーズレベルだと意外と越えなかったりもする金額になってくるわけです。
作詞作曲印税が発生してようが、ハードルを越えなければずっとゼロ円。と言っても、音楽で生活しようと思ったら、当然これは越えないといけないレベルの低いハードルだし、このハードルに関して僕は出版社をディスりたいわけではありません。ただ、そういうものがあるよというだけの話。
・初めての印税
さて、僕がことほどさように「売れない」と繰り返すのは、このハードルに幾度となく現実を思い知らされているからです。厳密には、デビューしたアルバムは越えてましたけど僕の曲は収録されていませんでした。
一応、3カ月に1回くらい明細が送られてくるのですが、支払額0円の表示って結構ヘコみますよ。忘れた頃に殴られてるみたいな感じ。しかし、2020年6月12日、初めて作詞作曲印税が振り込まれたんですね。印税って都市伝説ちゃうかったんや。
振り込まれた金額は……
20円!
やッッッッッす!! っていうか、その前にハードルどこいった!?
原因はこうです。今回振り込まれた印税は、ロケットニュース24で配信した『ロケットマン』という曲のものなんですが、この曲は、出版社を経由せずJASRACと直接契約しているんですね。以前、JASRACに潜入した際、準会員になるためのスケープゴートとしての登録だったんですが……
JASRACとミュージシャンの直接契約だと前述のハードルがありません。というのも、ハードルを作っている出版社が入らないから。つまり、印税支払いが1円だったとしても振り込まれるわけです。
・SpotifyやYouTubeでも印税がもらえる
利用詳細が「インタラクティブ送信・複製」なので、おそらく、Spotifyとかの再生に応じたものかなあと思いますが、これはもちろん、再生の収益にプラスで受け取ることができます。
ちなみに、作詞作曲の著作権料はYoutubeの再生数でも発生するので、『ロケットマン』は自由に音源をYouTube動画のBGMに使っていただいて構いません。これについてJASRACが絡んでくることもないです。ソースはこちら。
・音楽がお金になる経験
最後に、初めて作詞作曲印税を受け取った感想として、僕ごときでは20円とごくわずかですけど、それでも0円よりは100倍嬉しい。音楽がお金になったという実感はそれほどに大きいものです。
若いミュージシャンならモチベーションにもつながるだろうし、正直これからのミュージシャンはより厳しいとも思うので、生き残りの参考になればこれ幸い。ではでは! お互い頑張ってサヴァイヴしましょう!!
執筆:中澤星児
Photo:Rocketnews24.