本日は七夕だ。笹の葉に何やら願望を記した短冊をつけ、7日の夜には織姫と彦星が会えるかどうかに日本中が関心を寄せる日。ところで、一般的な2人の伝説に対する認識としては「晴れていたら会える」というものがあると思う。
しかし七夕は梅雨真っ盛り。少なくとも筆者はこれまでの30年余りの人生で、七夕の夜に天気が良かった印象が無いし、きっと皆さんもそうだろう。そこで少し気になったのだ。織姫と彦星はどれくらいの頻度で会えているのか……と。
・無限に存在する
ちなみに、神事的に重要なのは7月6日の深夜から7日の未明だという。しかし今回その辺は無視させていただく。一般的には7月7日の夜がメインなイメージだと思うので。
また、中には雨でもカササギが飛んできて天の川を渡れるという話もあるし、曇(くもり)でも会えるとかなんとか。が、それも無視させていただく。スペースカササギだろうと何だろうと、会えるか会えないかで盛り上がるのは地球上の我々。2人が会えるのは晴れだけというローカルルールを設けさせていただく。
しかしまだ問題がある。例えば北海道では晴れて織姫と彦星が会えた判定が出たとしても、沖縄では雨で会えなかった判定が出るというのもあり得る話だ。織姫と彦星は観測者のいる場所と数だけあらゆる場所に、そして無数に存在すると思われる。観測場所と、条件を決めなければならないだろう。
・東京の15時基準
ということで、今回は東京を基準とし、直近の60年間で何回織姫と彦星が会えたのかを数えてみたいと思う。参照するのはgoo天気の、過去の天気のデータ。最大で1961年からの天気を見ることができる。
ただし、天気は9時、12時、そして15時のものしか記載されていない。そこで、便宜上15時の時点で晴れマークであれば、その日は夜も晴れていただろうとみなすことにする。また2020年については、本記事を執筆している18時現在ですでに雨が降っている。予報でも雨なので、雨としてカウントさせていただく。
それでは1961年から2019年までの約60年間の東京における7月7日の天気一覧を表示。
2019年までの15時時点の天気の内訳に、2020年の雨1回を加えると……
曇:27回
雨:15回(2020年の分込み)
晴れ:18回
1961年から2020年までの60年間で、15時時点の天気基準で「会えた」とされるのはたったの18回。30%の確率である。そもそも年に1度しかチャンスが無いというのに、30%の確率でしか成功しないデート。間違いなくカップルの関係性は冷え切るだろうし、将来的な発展も見込めないだろう。
何となくわかっていた結果ではあるが、やはり織姫と彦星は滅多に会えていなかった。まあ、もし曇も「会えた」とカウントするなら75%の確率でデートが成功していることになるが、それでも年に1回のデートすら25%の確率で失敗に終わるというのは、破局待ったなしだと思う。
・最も会えるのはどこか
ということで、あまり成功していないと思われた織姫と彦星のデート。晴れのみをカウントするなら30%で、少なくとも東京においてはろくに成功していなかったことが判明した。
少なくとも東京においては。そう……先に述べた通り、織姫と彦星のデートの成功率は、観測地点によって変わるのである。では、日本のどこがデート最多成功率を誇るのかもついでに見てみよう。
日本中から地域を選ぶことができるが、今回は「稚内」「釧路」「青森」「秋田」「仙台」「長野」「名古屋」「新潟」「金沢」「大阪」「鳥取」「広島」「高知」「福岡」「熊本」「鹿児島」「那覇」の17地点に絞って、やはり晴れをカウントしたいと思う。なお、那覇に関しては1964年からとする。
結果は「稚内(24)」「釧路17)」「青森(21)」「秋田(13)」「仙台(14)」「長野(17)」「名古屋(18)」「新潟(16)」「金沢(22)」「大阪(16)」「鳥取(19)」「広島(23)」「高知(15)」「福岡(18)」「熊本(18)」「鹿児島(21)」「那覇(26)」
ということで、7月7日に晴れ率がトップなのは26回の那覇。他が1961年からなのに対し、データの都合上1964年からというハンデを背負っての勝利だ。雨の回数も4回しかなく、また今夜の天気も晴れるもよう。那覇の織姫と彦星は、国内では最もいい関係を築いている可能性がある。
次点で稚内も24回と好成績なため、日本本土よりもとにかく北か南に行けばいくほど、織姫と彦星のデート成功率が上がる可能性を感じる。なお、国立科学博物館によると、アルタイルからベガまでの実際の距離は15光年とめちゃくちゃ遠いもよう。なんだろう……色々とままならないものですね。