【再検証】昨年死別した、生きている化石「アルテミア」を全力の知恵と財力で育ててみる(混乱の結末編)

昨年、1カ月も経たずに全滅させてしまった悔しさを胸に、再び水生生物アルテミア(ブラインシュリンプ)の飼育を始めた筆者。 観賞魚の生き餌(いきえ)としてアルテミア飼育は広く行われているのだが、成体になるまで育てた例は少ない […]


【エッセイ漫画】日々限界集落 6話目「水」

漫画:うどん粉


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【再検証】昨年死別した、生きている化石「アルテミア」を全力の知恵と財力で育ててみる(孵化編)

昨年「子どもの頃に学研で育てたカブトエビって、最後どうなったんだろう?」という素朴な疑問から、アルテミアを飼育した。ブラインシュリンプとも呼ばれる小さな水生生物で、かつてブームになったシーモンキーの仲間だ。 結果は過去記 […]


【検証】生きている化石「アルテミア」を大事に育てたら最後はどうなるのか?(結論編)

今から1カ月ほど前、筆者は「生きている化石」といわれる水生生物「アルテミア」を育て始めた。子ども時代に学研の付録で似たような生物をよく育てていた記憶があるのだが、ふと「最後はどうなったんだろう?」と疑問に思ったからだ。孵化するまでの記録は前回記事を参照して欲しい。

飼育説明書によると、寿命は1〜2カ月だという。①飼い方が悪くて寿命を待たずに全滅する、②天寿をまっとうして全滅する、③世代交代して群れが存続する、という3つのパターンを予想。もちろん親心としては、子孫ができて群れが続いていくのを望むわけだが、どうなったのかご報告したい。

・10日目、緊急事態発生

孵化も終わり、順調に育っているかと思っていた矢先、ボトルに見慣れないものを発見した。水底や水面にクラゲのような半透明のぶよぶよ……

こ、こ、これはおそらくカビだー!! エマージェンシー! エマージェンシー!

カビが水槽にどれくらいの損害を与えるのか知識はないが、生き物にとってよいはずがない。ボトルがカビに占領されそうだ。気のせいか、アルテミアの個体数も減ったように思える。

カビだけを取り除く、という方法もあるようだが見たところ群生しており、もうこの水はダメではないかと思う。毒の水だ。

水量が少ないと傷みやすいと思ったので、倍ほどの容量の新たなボトルを用意した。もうキットの「海水のもと」はなく、カルキ抜きした水に食塩を溶かす。キット同梱の塩よりも溶けにくいのか、少し白濁したが背に腹はかえられない。

なるべくカビを取り除き、水と一緒にアルテミアを引っ越しさせることにする。

頼む、助かってくれ……!

ボトルが小さい、水流がないなど水質悪化の原因は複数あると思うが、エサの食べ残しが最悪のような気がする。個体数や容器に対して、きっとエサが多すぎたのだ。以降のエサは慎重に、ほんの数粒だけにする。

・14日目

水はなるべくきれいに保ちたいが、水替えが難しい。なにしろ水を少しでも捨てたら、一緒に流れていってしまう小ささなのだ。

先日の失敗を教訓に、秘密兵器を投入した。100円ショップで売っている、化粧品を移し替えるためのスポイトだ。これだと狙ったところだけ少量の水を吸えるので食べ残しを回収できる!

危機は脱した。これまでよりも大きな容器で人口密度(?)が下がったため、にぎわいは減った気もするが、個体数は安定したと思う。

成長は決して速くない。哺乳類よりもずっと寿命が短いので、どんどん大きくなるようなイメージがあるけれど、体長2mmからはほとんど変化が見られず、特にご報告するような事象もなく推移した。

・26日目

だいぶ大きくなり、体長3mmくらいに育った。長い尻尾のようもの(たぶんフン)をつけて泳いでいるのが見えたり、エビのような身体のシルエットもわかるまでに。

が、同時に個体数の激減に気づく。元気に泳いでいるのが3匹しかいない。ほかにパタパタとヒレ(?)は動かしているものの、底から浮かんでこられないものが1匹。死骸はまったく見つけられないが、底に沈んで水アカのようになっているものがたぶんそれだと思う。

・翌27日目

恐る恐るボトルをのぞくと、水中を泳いでいるのは2匹だけ。底に沈んでいた1匹も、ゴミと混ざってしまいわからなくなった。本当に小さいので、動いていないと見分けられないのだ。儚い(はかない)……。

泳いでいる個体は元気いっぱいに見える。しかし、これが生きている彼らを見た最後の機会になる……。

そして誰もいなくなった。

・考察と結論

全滅までにかかった期間は1カ月弱。寿命から考えるに、飼育失敗と言い切るほど極端に早いわけではない。が、筆者はいくつかの要因から「多くの個体が天寿ではなく、早死にした」と思う。

まず個体が(徐々にではなく)一気に減ったこと、キット同梱の塩ではない食塩を使っていること、水質をきれいに保つコツがつかめなかったことなど、「思い当たるふし」がありすぎるからだ。

決定打はこれだ。パッケージには「最大で体長約1cmくらいに成長するよ!」とある。筆者の育てた子たちはせいぜい2〜3mmで、カメラに写るか写らないかというところである。

・悔しい……

結論、アルテミアの飼育は難しい。繁殖はおろか、天寿をまっとうさせることも苦労する。ただ漠然と飼っていても成功しないぞ。大人になった今でさえそうなのだから、学研の付録で育てていたときは、あっさり全滅させていたに違いない。

いろいろと後悔もあるので、今回で得られた知見をもとに改めて最初からやってみようかな。というか、大人の財力にモノをいわせて「最高の飼育環境」を整えてみてはどうだろう。そもそも100円ショップのボトルから間違っているのかも。

なお、目には見えないほどの水生生物とはいえ、育てているものが死ぬのはメンタルヘルスに結構くる……。何が悪かったのかと考え始めると、悔やんでも悔やみきれない。もし育ててみたいという方がいれば、精神的に元気なときに取り組むことを強くお勧めする。では、また……。

参考リンク:Amazon(販売ページ)
Report:冨樫さや
Photo:RocketNews24.



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