「コンコンチキチン」の音を聞くと、夏の訪れを感じるという人は少なくないだろう。祇園祭真っただ中の7月に京都を歩くと、あちこちからこの祇園囃子(ばやし)の音が聞こえる。しかし2020年は新型コロナウイルス感染拡大予防のため、祭りの様々な行事が中止になった。
もちろん、山鉾が街を彩る “宵山” も実施されず。残念だが、こればかりはどうしようもない。とは言え、どうにかして雰囲気だけでも味わえないものか……そんな時ネットでアレを取り寄せられることを知る。そう、宵山で必ず見かけるあの豚まんだ! さっそくポチったことは言うまでもないよな!!
・祭りでは行列ができるぞ
関西で暮らす人間にとってみれば、7月は京都の祇園祭月間だろう。もちろん身近な祇園社でも祭りが行われるだろうが、やはり京都のソレは別格である。記者もここ最近は行けていないが、学生のころはよく見に行ったものだ。
祭りは1カ月を通じて、細々とした取り組みがあるが中でも「宵山(前祭 さきまつり)」の楽しさは異常だ。なんだろうな。行事そのものがどうというよりは、個性豊かな山鉾が夜を照らす、あの雰囲気。街全体が祭りに飲み込まれていく感じに、ゾクッとしちゃうよな。
来年は無事開催されると良いなと思っているぞ。さて、そんな宵山に行ったことがある人は、おそらく見かけたことがあるだろう。暑いにもかかわらず必ず行列ができている、肉まん売り場を。
その肉まんの正体は、前祭でのみ販売される「膳處漢(ぜぜかん)ぽっちり」の『しみだれ豚まん』だ。これまでネット販売はしていなかったが、祭りの中止を受けてのことだろうか。1個につき税込500円(送料別)で取り寄せることができるという。これは嬉しい!
・落ち着いて味わえた
記者も祭りにて、何度か購入したことがある。冷静に考えれば全身汗まみれなのに、よくもまあアツアツの肉まんを食べようと思うものだ。しかしそうさせてしまう何かが、あの空間にはある。祭りの時の雰囲気を思い出しつつ、取り寄せた豚まんをレンチンだ。
ちなみに祭りの時は周りが暗いわ、人混みでそれどころではないわで、ちゃんと豚まんを見つめたことがなかった。温まった豚まんを目にして、なるほどこんなビジュアルをしていたんだなあと感心してしまった。新たな発見だ。
せっかくなので同封されていた袋に入れて、食べてみるとしよう。ひとくちほお張ると……コレコレ! 異常なほどに具が詰まった、この感じ!! 上からかかっているタレがまた、甘じょっぱくて美味しいじゃないか。手が汚れても、祭りの時と違って気にしなくていいところも良い。
なんというか、あの場で食べるよりも、こうして取り寄せたほうが落ち着いて味わえる気もする。とにもかくにも、祇園祭宵山(前祭)の空気に一瞬だけでも包まれたことは間違いない。今年は祇園祭ロスだという人も、そうでない人も試してみる価値大ありだぞ。