最近「バトルに詳しい人がガチトレーナー」という風潮が強まりつつあることに、私はど〜も納得いかないのである。負け惜しみと言われればそれまでだが、プレイスタイルが多様化してきた昨今、各ジャンルにガチがいるのだ。個体値など分からずとも全く恥じる必要はない。
そもそもポケGOにおける “元祖” ガチとは「どこにでも行っちゃう人」を指す言葉だったのではないだろうか。西にピカチュウがいると聞けば電車に飛び乗り、夜中にミニリュウの影を見つけてはチャリンコで爆走した狂気の日々。人々は彼らを『旅ポケ者』と呼んだ……。
いつしか旅ポケ者の中には「ポケGOしに海外まで行っちゃう派閥」も多く出現したのだが、新型コロナの影響で渡航が現状ほぼ不可能なのはご存知の通りである。旅ポケ者の1人たる私はすでに虫の息だ。早く別の生きがいを見つけないとモチベーションが途切れてしまう。
・何かと話題の『ポケふた』
『ポケふた』とはポケモンがデザインされた “マンホールのふた” のこと。2018年の鹿児島県指宿市を皮切りに増え続け、今年8月に記念すべき100枚目のふたが東京都町田市に設置された。各市区町村にちなんだデザインを施した「世界に1枚だけ」のふたなのである。
『ポケふた』と『ポケモンGO』は全然別モノなのだが、ひとつだけ「ポケふたにポケストップがある」という点のみリンクしている。今回私は旅ポケ者たちの新たなモチベーションとして『ポケふた巡礼』がけっこう有力なのでは……と考えたのだ。
とりあえず我が故郷・鳥取県へ、今年設置されたばかりのポケふたを見に行ってみた。「とっとりふるさと大使」に任命されているのは『サンド』と『アローラサンド』。ちなみにポケふたのマンホールは「ディグダが掘った穴の跡」という設定らしいから、そういう目で見ることにしよう。
グーグルマップを頼りに山間の道を進んでゆくと……
地元民の私も知らぬ曲がりくねった場所に……
ポツンとポケふたは、あった。
ポケふたは大きめの市区町村だと、駅前など分かりやすい場所に設置される傾向のようだ。しかし田舎ではメイン観光地と駅とがかなり離れていることも多く、「嘘だろ」みたいな場所に設置されていたりする。土地勘や車がなければ辿り着くまでに相当苦労することだろう。
ほとんど宝さがしの領域だ。
・可能性①ポケストップ
それではポケふたのどういった部分にポケGOのモチベーションが見出せるか、個人的主観で考察してみようと思う。まず先に述べた「ポケふたのポケストップがある」という点だが、これは残念ながら可能性が低い気がした。
なぜならポケストップを訪れたからといって “誰かにアピールする手段も証拠もない” からだ。「図鑑を埋める」「レアポケモンを入手する」「リーグで上位に食い込む」等の行為全て、 “そもそも自己満足” であることは重々承知している。
ただ、そこには多少なり「こんなレアポケモン持ってるぜ」「こんな遠くへ行ってきたぜ」と、誰かにアピールしたい気持ちも潜んでいるのではないだろうか。少なくとも私はそうだ。画像をSNSで拡散するという手はあるが、ちょっと違う。そういうことじゃないんだよなぁ。
・可能性②ギフト
ならばポケストップから入手できるギフトはどうだろう。フレンドさんに送れば喜ばれること間違いなしのレアモノだ。たぶん好感度も急上昇!
が、ここにも「送ってしまえば終わり」という問題点がやはり生じてくる。記念にストックしようにも所持数制限があるため、すぐ使用するしかないのが痛い。
例えば “ポケふたを○○個制覇した” というメダルや、ポケふたでのみ入手可能なアイテム、ステッカー、特典など、何か「アプリ内で形に残る」システムが実装されれば話は全然変わってくるのだが……今後ポケGOとポケふたの繋がりが強まることを切に願う。
・可能性③ポケふたグッズ
また今回私がかなり期待を寄せていたのがビレッジバンガード (ビレバン)から発売中の『ポケふたグッズ』である。新たなポケふたが登場するたび同デザインのステッカーやポストカードが発売されており、これはコンプリート欲を多いに刺激してくれそう!
と、思ったが……
よく見たら通販でも買えるっ…………!
コレ、全国各地のビレバンならびに通販で購入できちゃうのである。ビレバン側の立場で考えてみれば「そりゃそう」なんであるが、できればご当地限定にしてほしかった……! これじゃ現地で買っても東京で買っても同じということになってしまう。
それはそれで別のコンプリート欲を満たしてくれそうではあるポケふたグッズ。しかし旅ポケのモチベーション維持という意味では、やはりちょっと違うのかもしれない。こうなったらいっそ、ポケふたの横にスタンプ台を設置する案はどうだろうか。
・旅ポケ仲間に聞いてみた
さて意気消沈の私が家路につくと、旅ポケ仲間でもあるフレンドさんが「ポケふたのギフトをありがとう」と連絡してくれた。きけばコロナ以前からポケふた巡りをしており、撮影方法にもこだわりを持っているのだという。いくつか見せてもらったところ、私が撮影した画像とは雲泥の差だったため、ここにご報告しておきたい。
なんとフレンド氏は実際に訪れた証として、ポケふたのポケストップにルアーモジュールを使用した状態で撮影するのだという。それなら自分の名前が残せるし、見た目にも美しいスクリーンショットが撮れるというワケだ。う〜む、その手があったか!
またリアルのポケふたを撮影する際もぬかりなくARモードを使用し、モデルを務めるポケモンを出現させている様子。グヌヌ……その手もあったか! 単にシャッターを押すだけの画像なら確かに誰が撮っても同じだが、ひと工夫することで満足感はかなり変わってきそうだ。
・自己満足の向こう側
フレンド氏に意見を求めてみると、やはり私と同様「現地のみのグッズや現地でしかドロップしないアイテムなど、何か特別なものがあれば……」という気持ちはあるらしい。しかし「ついでに旅行」と考え、わりと楽しくポケふた活動を行えているのだという。
旅ポケ者には元来「自分なりの楽しみ方を見つけ出せる能力」が備わっている。たくましくコロナ禍を生きる仲間たちを見て、「私もまだまだ」と痛感した次第だ。旅ポケの喜びは自己満足を超えたところにある。忘れてはいけなかった……。
今後ポケふたの新たな展開に期待したいのはもちろんだが、アイデア次第でモノスゴイ楽しみ方がすでに潜んでいるかもしれないな。国内移動は現在一部自粛が推奨されているものの、近い将来また旅行を楽しめる日がくるはずだ。その時はぜひ『ポケふた巡礼』にトライしてみてほしい。もし意外な楽しみ方を見つけたら教えてください!
参考リンク:ポケふた公式サイト
Report:亀沢郁奈
Photo:RocketNews24.
ScreenShot:ポケモンGO (iOS)