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『サーターアンダギーミックス』が超ウマい! という件については以前の記事で力説させていただいた。その想いは遠く海を越え沖縄へ……このたび、なんと製造元の沖縄製粉からお中元をいただいてしまったのである! フゥー! ラッキーラッキー♪
箱の中身は様々な “ミックス粉” の詰め合わせ。中でも異彩を放っていたのは『沖縄風 てんぷら粉』なる商品だが……はて “沖縄天ぷら” って何だっけ? そういえば沖縄ではオヤツに天ぷらを食べると聞いたような気もする。何か特殊な天ぷらなのかしら?
・中の人に聞いてみた
そもそも沖縄ではどんな具材を天ぷらに使用するのだろう? ラフテー? グルクン? まさか海ぶどう……? 天ぷら粉のパッケージにはおいしそうな天ぷら画像がプリントされているのだが……
何の天ぷらなのか分からん……!
沖縄の人にしてみれば「こんなの一目瞭然サ〜」ってなもんかもしれないが、天ぷらの切り方や盛り付け方も東京のそれとは明らかに違う。かろうじて “インゲンっぽいもの” があることは分かるけど、ひょっとしたら『沖縄インゲン』とかなのかもしれないしなぁ?
沖縄は “日本で一番外国に近い日本” だ。考えたって分からんもんは分からん。ここは潔く天ぷら粉を製造している沖縄製粉に「教えてくれ」とお願いしてみることにしたぞ。もしもし? 突然ですが沖縄天ぷらによく使用する具材を教えてください!
広報さん「そうですね、オーソドックスなところでは魚、イカ、エビ、いも、いんげん豆、おくらなどでしょうか。もずく、ウインナー、ウムクジ(芋くず)、うりずん豆などもよく使用しますが……東京の人にはあまり馴染みがないかもしれませんね」
──後半が少し「え?」ってなりましたけど……ところで沖縄では、天ぷらが “おやつポジション” だって本当ですか?
広報さん「はい、そうです。特に学生さんが学校帰りに食べていますよ。おやつ感覚で日常的に食べるほか、お盆、お正月、お彼岸などの行事にも欠かせません」
・沖縄食材ゲットなるか
沖縄製粉の広報さんに教えてもらったもののうち、『ウムクジ(芋くず)』と『うりずん豆』なる食材については正直存在自体を知らなかった。都内の沖縄食材店をいくつか回るも、残念ながら「取り扱いがない」との答えだ。
調べたところ『ウムクジ』とは紅芋(または芋)の粉末、『うりずん豆』は熱帯地方原産の豆らしい。せめて紅芋をと探すがこの日は発見できず…… “沖縄っぽい” という以外に共通点はないけれど、どうか『ゴーヤ』で代用することをご容赦いただければと思う。
物産館でかろうじて『沖縄のもずく』はゲットできました。
・天ぷらの常識を破壊
それではさっそく調理を開始……する前に、数ある調理法の中で “天ぷら” がいかに難しいものであるかをご説明しておかねばならない。代表的な理由は以下の3点である。
・ベチャベチャと油っぽくなりがち
・なのに短時間で水っぽくなりがち
・油が跳ねてヤケドの危険大
そんな苦労のすえ天ぷらを作ったお母さんに対し「ベチャベチャしてる」などと言い放つ輩は、「1人で勝手に『てんや』行って来い」である。とにかく天ぷらはと〜っても難しいのだ。最近は天ぷら粉が進化して多少楽になったが、それでも火加減、水加減、揚げ時間など、ひとつでも間違えると大惨事になることも。
通常天ぷらを作る際、粉をとくのに “冷水または氷水” を使用することがセオリーとされているのはご存知の通りだ。しかし『沖縄風 てんぷら粉』の場合は……
広報さん「コツは内地の天ぷらと違って、常温の水で仕込み、泡立て器でしっかりと混ぜ、具材にたっぷりと生地を付けて揚げることです」
ウ〜ム、水はむしろ常温が正しいのか。 “粉と水が完全に混ざらないように” とするレシピも多い中、 “しっかり混ぜちゃって” と言い切ってくれるのは嬉しいなァ。
また “衣は薄くカリッと” が美徳と信じてきた者にとって「たっぷりと衣をつけて」ってのは斬新だ。これなら油の中で衣が分離する心配なし。とにかく材料を混ぜて油に放り込む! 非常に分かりやすくて良い。
あとはキツネ色になるのを待つだけだ。
・モチッとしてる
衣の水分が少ないためか、普段より油ハネも少なかった気がする。さっそく完成した天ぷらを天つゆに……つけそうになるのをグッとこらえて、そのままいただいてみよう。沖縄製粉の人いわく「衣に味がついている」らしいのだ。
まずは王道『エビ』の天ぷらを一口……ムムムッ!
衣に確かな塩分アリ!!!
なるほど……ここまでしっかりと味がついていれば、何もつけなくてもおいしく食べることができる。カロリーさえ気にしなければ、おつまみとして衣だけ食べるというのもアリかも。
それから意外性のある『ウインナー天ぷら』だが、「逆になぜ今までやらなかったのか」と感じるほどマッチしている。 “おやつポジション” というのもメチャ納得だ。
さらに沖縄ではウスターソースにつけて食べるという県民も多いのだそう。天ぷら、ついにジャンクフードの領域へ……!
・男たちも試食
いっぱい作ったので当サイトのメンバーたちにも試食してもらうことにした。普段料理をするイメージのない私がこんなに立派な天ぷらを作ったなんて、さぞかしビックリすんのやろな〜!
食べてみるがいいサ〜!
佐藤「うん、普通にうまい」
ジュン「…………普通においしい天ぷらですね」
・君たち何も分かってないな
回答を聞いた私は、彼らが天ぷら作りの苦労を知らないと確信した。『普通においしい天ぷら』がどれだけスゴイか、全然分かっていないようだな君たちは……! しかしながら、普段よく料理をするという田代記者の回答だけは一味違っていた。ここに一語一句違わずご紹介しておこう。
田代「普段よく食べるサクサクの天ぷらとは違う、もっちりとした食感が面白いですね! イカやソーセージなど肉厚な食材との相性が良さそう! それにしても、これだけしっかり衣をつけた状態で揚げるのは難しそう……亀沢さん、大変だったでしょう?」
ウム、100点!!!
『沖縄風天ぷら』は “すごく斬新” だったり “衝撃的なおいしさ” といった類のものではないのかもしれない。だが「誰にでも簡単にいつもの味を再現できる」って、実は一番スゴイことなんじゃないだろうか。
おまけに冷めてもベチャベチャにならない『沖縄風 てんぷら粉』は、通販や沖縄食材を扱う店などで購入可能だ。ちなみに本日7月23日は「天ぷらの日」。たまにはいつもと違う “沖縄風” を試してみるのもイイかも?
参考リンク:沖縄製粉ホームページ
Report:亀沢郁奈
Photo:RocketNews24.