【検証】不気味な「声」が入っているとウワサの映画『事故物件 恐い間取り』を鑑賞してきた

全国の劇場で、ホラー映画『事故物件 恐い間取り』が上映されている。“事故物件住みます芸人” として一躍有名になった松原タニシ氏の実体験を映画化した作品だ。主演はKAT-TUNの亀梨和也氏、監督が『リング』『仄暗い水の底から』の中田秀夫氏とあって、上映前から話題をさらっていた。

この映画に、制作陣の意図していない「声」が収録されているというウワサをご存じだろうか。筆者も実際に鑑賞してきたのでご報告したい。

ストーリーの核心に触れるネタバレはないが、該当のシーンについては詳しく記述するので、まっさらな状態で鑑賞したい方はそっとブラウザを閉じて欲しい。

・どんな映画?



【ミステリー】人生で一度だけオバケを見た日 … 自称霊能者の指示に従ってみたら完全に救われた

今から約10年前の8月……実家近くの日本海に潜っていた私は、海底で不思議な光景を目にした。岩場の陰に “人の手” のようなものがユラユラと揺れているのである。その手はミッキーマウスのごとく、大きくふくれて真っ白だ。

「軍手かな」と思い近づいてみるが、白い手からは次第に腕部分まで出現してきた。岩場の向こうは深い沖であり、人が泳いでいるとは考えにくい。いや、そもそも海岸には我々グループの他に誰もいなかったハズではないか……!!!

・コトの顛末(てんまつ)

恐ろしくなった私は、急いで友人たちの待つ浜へ戻った。ひょっとしてあの白い手は ”どざえもん(水死体)” なのでは、という不安もよぎる。しかし「警察へ連絡しようか」などと相談していたところで……

1人の友人が「アッ」と私を指差し、こう言ったのだ。

友人「肩に手形がついてるよ〜!!!」

真っ黒に日焼けした私の肩……その一部分だけが、なぜかテープを貼ったかのごとく全く焼けていなかった。そしてそれは誰がどう見ても明らかに、クッキリと「人間の掌(てのひら)の形」だったのである……。

・ワラにすがる思い

「掌型に赤くなっている」とかであれば、誰かに強く肩を叩かれた可能性も考えられなくはない。しかしコレは完全なる “日焼け” だ。つまり「少なくとも数時間の間、掌の形をした何かが私の肩に乗っかっていた」ことになるワケで……それってつまり……!

数日経過しても掌の形は消えなかった。特に何も起きないとはいえ、こんな体験をしたことのない私は怖くて夜も眠れない。そこでワラにもすがる思いで人脈をフル活用し、霊能者だという人物の連絡先を入手したのだ。

普通の主婦である彼女には不思議な力があって “見えざるモノ” が見えるのだとか……私は電話で今回の出来事を告げた。すると彼女はしばし沈黙ののち、驚くべきことを口にしたのである。

霊能者「あなたの着信を受けた瞬間から、震えと汗が止まらないの……」

・マジなのか

電話ごしの自称霊能者に「完全に憑いてますよ」と言われたとき、あなたならどう答えるだろうか? 私はこういった話には懐疑的な立場であるにも関わらず、「えーーーっ! 一体どうすればいいの!?」と、全力で “霊に怯え切っている人” を演じずにはいられなかった。

しかし、ここで「除霊のため20万円のツボを」とか言われていれば “クロ確定” だったのだが、今回の件で彼女が金品を要求してくることは一切なかったのである。むしろメチャクチャ親身にアドバイスしてくれたところを見ると、商売とは無関係ながら霊能者を名乗っている人も一定数存在するのではないかと思う。

以下、彼女のアドバイスを簡単にまとめてみた。

・牛肉、マグロなどの “赤身肉” をたくさん食べること

・コーラを飲むこと

・日本酒と塩を入れた湯船に毎晩浸かること

・清めの塩を持ち歩き、海には近づかないこと

酒と塩はともかく、なぜコーラなのか? 詳しくはサッパリ分からないが、これらを2週間ほど続ければ霊はどこかへ行ってくれるのだそうだ。私は2週間どころか1カ月以上も掟を守り続けた。その結果……心霊的な現象は何も起きず、日焼けも徐々に消えていったのでした。

・信じるか信じないか……

ちなみに霊能者の彼女によれば、私の見た白い手は “ハマグリを探していたらウッカリ流されて死んでしまったおじさん” なのだそう。おじさんは決して私に恨みがあるわけではなく、どちらかというと「こっちに来たら危ないから戻りなさい」という親切心から登場したらしい。

彼女が語ったおじさんの話もアドバイスも、本当の話かどうか私には分からない。全部作り話という可能性も全然あると思う。ただ「優しいおじさんの霊が付いてきちゃったけど、お祓いをしたらどこかへ行ってくれた」と考えれば、メチャクチャ気がラクになったのは事実である。

自称霊能者たちの中には本当に何十万円のツボを売ろうとする人物もいると聞くから、むやみに信じることは絶対にオススメできない。ただ……あなたがもしも不思議すぎる体験をして眠れないとき。信じる信じないは置いといて “見えざる力” に頼ってみることは、場合によっちゃアリかもしれない、と思うのだ。

あれから素潜りはやらなくなってしまったけれど……毎年夏になると、あの不思議な出来事を思い出す。

Report:亀沢郁奈
Photo:RocketNews24.



『呪怨:呪いの家』が話題、夏におすすめ「家」にまつわるジャパニーズホラー作品3選

例えば少しだけ開いたふすま。例えば風呂場の鏡に映る自分の背後。例えばどうしても気になるのに、のぞくことができないベッドの下の空間。ちょっと聞いただけで情景がありありと想像できて、ゾッとするようなシチュエーションがある。日本人が共有する「恐怖の共通言語」とでもいおうか。

得体の知れない怪物が襲ってくるといった直接的な脅威で人をパニックにするのがハリウッド映画だとすれば、「なにかが起きそうな不気味な予感」だけで怖がらせるのがジャパニーズホラーだ。しかもその舞台は、どこにでもある団地だったり学校だったり、日常の延長線上にある。

Netflixオリジナルドラマ『呪怨:呪いの家』が怖いと話題になっている。怪談の季節にジャパニーズホラーはいかがだろうか。同作にちなんで「家」にまつわる作品3選をご紹介したい。

・『呪怨:呪いの家』(全6話 / 2020年)

ジャパニーズホラーの金字塔『呪怨』シリーズの最新作にして「前日譚」となるシリーズ。佐伯家が住んでいた「家」そのものの歴史に迫る。

この作品の特徴であり、恐怖の増幅装置として挙げられているのが、1980年代〜90年代に実際に起きた凶悪事件と物語がオーバーラップする点。「どこまでが実話で、どこからがフィクションなのか……?」と境界線がなくなるような感覚を抱く。

少し例を挙げるだけでも、名古屋妊婦切り裂き殺人事件、連続幼女誘拐殺人事件、東電OL殺人事件、女子高生コンクリート詰め殺人事件、神戸連続児童殺傷事件、地下鉄サリン事件と、明らかにモチーフになっていたり、あるいは不穏な時代背景をにおわせるニュースとして作中に現れる。

ドラマを見る前にこれらの犯罪史を知っておくと、より理解が深まるが……中には本当にいたたまれない気持ちになる事件もある。実在の事件を娯楽作品として消費することへの賛否は常にあるだろう。

よく知られた事実かもしれないが、『呪怨』シリーズはオリジナルビデオから始まっており、口コミの人気から劇場版が制作された。元祖ともいえる「ビデオ版」は、その映像技術のつたなさが酷評されることもある。しかし一方で、自主製作映画のような映像の荒さ、地味なカメラワーク、役者のあかぬけない演技などが「かえって恐怖をあおる」という高評価もまたある。筆者も同感だ。

『呪怨:呪いの家』では第1話が1988年から始まることから、あえて古くさい、ちょっと色あせたような映像で物語が進んでいく。それがまた不気味で、記憶の中の「昭和」や「平成」と一致してリアルである。

家に関わった人々の運命が、オムニバス形式で語られていくパターンは健在。ただ、1話およそ30分というかなりのハイペースで物語が進んでいくため、登場人物の相関を把握するのがちょっと大変かもしれない。筆者も1度では理解できなかった。

本当に怖いのは怨霊か、それとも人間か。シリーズのファンには今さらいうまでもないが、凄惨(せいさん)な描写もあるので苦手な方はご注意を。視聴にはNetflixの会員になる必要があるが、この夏ぜひご覧いただきたい。

・『残穢(ざんえ)-住んではいけない部屋-』(2016年)

小野不由美氏のホラー小説を映像化。小説家である「私」のもとに、読者の「久保さん」から手紙が送られてくるところから物語が始まる。久保さんが1人暮らしをしている部屋で奇妙なことが起こるというので、過去になにかあったのではないかと調査を始めるのだが……

前半は推理小説のように淡々と謎解きが進んでいく。自分の住んでいるところには、必ず前住人があり、その前にはさらに住人があり……という当たり前の事実が急に空恐ろしくなってくる作品。

古い日本家屋の怖さはもちろん、一見こぎれいなマンションであっても、あるいは新築でさえ「家」というものの怖さがよく出ている。また精神障害者の私宅監置や座敷牢、孤独死といった日本社会の闇も垣間みえる。

原作を読むと明らかだが、「私」が小野不由美氏自身であるかのように描写され、これも「どこからがフィクションか」がわからなくなる巧みな仕掛けがある。

「私」あるいは小野不由美氏が過去に書いていた「悪霊シリーズ」(講談社ティーンズハート)は、子ども向けでありながら現在のホラー作家としての片鱗(へんりん)を感じさせる名作揃いだ。

中でも、講談社ホワイトハートに移って少し作風を変えた「悪夢の棲む家」は、今回同様に「家」をテーマにした傑作。コミカライズもされている。『残穢』に関しても、ぜひ原作を読んでその魅力に触れていただきたい。

・『仄暗い水の底から』(2002年)

いつのまにか公開から18年も経ってしまい、もはや古典といってもいいかもしれない。『リング』や『呪怨』のようにシリーズ化されず完結しているために、過去の作品になってしまっている感があるが、今見ても良作だ。

黒木瞳さん主演。幼い娘と引っ越してきたマンションで怪奇現象に見舞われつつも、子どもを守ろうと必死になる少し情緒不安定な母親役を演じている。「気のせいだ」と思おうとしても無視できない怪異と、不利になっていく離婚調停という2つの出来事のあいだで、ギリギリのせめぎ合いを名演。

ホラー作品でありながら人間的なテーマがあり、母が子を思う心、そして子が母を求める心が作品の核だ。

もう1つ、この作品の秀逸なところはタイトルにもある水の表現である。「画面の湿度」という言葉で表現されることもあるが、一貫して作品全体に流れる空気の重さ、湿り気は他の作品の追随を許さない。終始じっとりと絡みつくような空気感で、カラッと乾燥する場面がほとんどないのだ。

古びた無機質なマンション、幼女行方不明事件、雨もり、エレベーターの防犯カメラ、空室から聞こえる子どもの足音……と不気味な要素には事欠かない。これらのキーワードに引っかかった方は1度ご鑑賞を。

・部屋や土地に宿るもの

上記3作品とも「家」や「転居」が怪異の元凶になっている。このようなシチュエーションが多いのは、ずばり視聴者が共感できるからだろう。誰しも同じような経験があるからなのだ。

ちなみに筆者は、住まいとして変な物件にあたったことはないがホテルならある。20代前半、母親と2人旅で札幌市のシティホテルに泊まったときのこと。到着は夜だったのでカーテンは閉まっていたが、窓が2面にある広い角部屋で、掃除も行き届いており一見すると気になるところはなかった。

しかし奇妙なことに、本来は入口付近にあるべき姿見が、部屋全体を映すようにベッド脇にある。ベッドに横になると自分が映るのでめちゃくちゃ気になる。旅行気分に水を差すので口には出さなかったものの、鏡をおおうように洋服を掛けてみたりと悪あがきもしてみた。が、実際には何事もなく一夜が過ぎた。

翌朝、カーテンを開けてみてびっくり。眼下に広がるのは墓地。そして鏡は墓地の方を向いているのだった……。

数週間後、なにげなく旅の思い出話をしていたときに、ふと母が「あのホテル、変だったねぇ」と言い出した。「楽しい旅行だからいわなかったけど、よっぽどフロントに頼んで部屋を替えてもらおうかと思った」という。

母も母で、具体的になにかを見聞きしたわけではないが、違和感を抱いていたらしい。2人とも信心深い方ではなく、大雑把な性格なのでそのまま一夜を過ごしたが、きっと敏感な人ならいろいろ体験するのだろう。

そういった「気になるホテル」にあたるのが嫌で、キャンピングカーを買うに至るのだが……それはまた別の話だ。

・さらなる恐怖を求めて

上記の3作品は、ホラー映像作品の中では文句なしの良作であるが、同時に「完璧ではない」とも感じている。肝心なところでハリウッド的な力技を発動してしまい惜しい部分もある。力技は、よほど突き抜けたものがなければ興ざめしてしまう。

突き抜けの好例といえば、『リング』1作目のラストシーン。「んなわけあるか!」と理性では思いながらも、その迫力とおぞましさは衝撃だった。

個人的な考えなのだが、ホラー映画に幽霊そのものは登場しなくていい。「○○の祟りです」という理由づけも必要ない。想像力だけで楽しめるのだ。私たちの回りには十分に「不気味なこと」があふれていて、ほんのちょっときっかけを与えてくれるだけで、共感することができるのだから……。

参考リンク:Netflix松竹株式会社
執筆:冨樫さや
Photo:RocketNews24.



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