【もうすぐ閉店】「ムーミンカフェ」で受けたちょっとした優しさに泣きそうになった話
埼玉県民が初めて「ムーミンバレーパーク」に行ってみた結果 → しっかり不気味で良かった / 本質的ムーミン谷
【ムーミンの日】「実はカバじゃない」「スナフキンとミイは姉弟」…ムーミンに関するトリビア5選!
【困惑】ボトルで砂絵ができる「3Dサンドアート」に挑戦したら…読解不能の謎アートが爆誕した
まずは “曇りなき眼(まなこ)” で完成品を見ていただこう。これは何に見えるでしょうか。
美しいガラスボトルの中に広がる世界。きらめく水中に、夏の午後の一瞬の光景が切り取られているようだ。あなたがピュアな心を忘れていなければ見えてくるはず……北欧の森で遊ぶ妖精が!!
少し説明不足だったかもしれない。「ミラクル3Dサンドアート」というキットで遊んでいたら、別の意味でミラクルが起きてしまったのだ。
・「ミラクル3Dサンドアート」(筆者の購入価格 税込910円)
今をさかのぼること2時間前。筆者は前述の「ミラクル3Dサンドアート」を開封していた。「360°どこから見ても楽しめる立体砂絵」とあり、オリジナルのデザインを立体化できるらしい。面白そうだ。
画材にあたるカラーサンドは13色も入っており、たいがいのものは表現できそう。原色だけじゃなく、茶色やベージュなどのアースカラーが入っているのがありがたい。犬や猫を青で塗る自由さをなくした大人でも満足できる。
行き当たりばったりではよくないから、さっそくコンセプトアートも書いてみた。大きなボトルを使って、建物やキャラクターもいる風景を作るぞ。
どういう仕組みで「立体砂絵」にするのかというと、まずは湯冷ましに吸水ポリマーを溶かして、ゼラチン状のベースを作る。
ベースにスポイトを差し込み、カラーサンドの混ざった水を注ぐと、インクのように砂が残るのだ。弾力があるのでスポイトの穴はすぐにふさがる。すごい!!
・お絵かき開始
説明書には、練習として「木の作り方」が書いてあった。筆者の作品にも木は必須だったのでやってみよう。まずは茶色い砂で幹を書く。
ゼラチン質の中に砂がむにゅっと注入されていくのは、新感覚ですごく気持ちがいい!
……けれど、砂は1カ所に留まらず、四方にじわっと拡散してしまう感じで、なめらかな表面にはならない。しかも余計な気泡が入ってしまった。
なんというか……水の中でジェット噴射したものが瞬間冷凍されたような?
続いて樹冠をソフトクリームの要領で作っていく。
お、これはいいんじゃないかな? リアルにできた。おそらく木や雲のように、もともと不規則に拡散しているような形は上手くできる!
では、建造物を作っていきたい。外壁の色は明るいブルーだ。
なるべく円筒形になるように……と思ったのだけれどハミ出した。一応、余計な部分はスポイトで吸い出して修正できることになっているけれど、そう上手くはいかなかった。輪郭のはっきり決まっているもの、つまり人工物は難しい!
オレンジ色の屋根をのっける。さらに自然豊かな渓谷を表現するために茂みを作った。
最後に画竜点睛(がりょうてんせい)! 作品のキモになる1番大事なところを作るぞ。
できた!!
・北欧の森
完成品をご覧いただきましょう。どこまでも広がる針葉樹の森に……
ブルーの壁とオレンジの屋根。そう、ムーミンハウスです。ムーミンもいますよ。
え、どこにって?
ほら、いるじゃありませんか!!
窓辺に飾ったら、そこはもう北欧の森!! ムーミンはカバだと思っているあなた、彼らは森にすむ妖精(トロール)ですよ。
原作者はあくまで「架空の生き物」と表現し「妖精」とはいっていないらしいですが、この際いいんです、妖精で。
「人は見たいものしか見えない」(By. カエサル)……世界でただ1人、作った本人だけが理解できる奇跡のアートが爆誕した。
・パッケージ写真……
気づいたことがある。商品パッケージには当然のように完成写真が載っている。通常、完成写真というのはメーカーが試行錯誤の末に「1番よくできた状態」で撮影するもので、実際にはユーザーはそこまでキレイに仕上げられない。持てる力を最大限に発揮した、いわば「ベスト」の状態といっていい。
しかし写真を見ると、お世辞にも「アート」とはいえないできばえだ。詐欺ではないし、盛ってもいない。ありのままを見せている写真なのだ!! 商品を企画したメーカーでもこうなのだから、素人がこれを超えることは不可能。
製作過程が面白かったのが救いだ。ゼリー状の物体に、にゅるにゅると砂が注入されていく感触は控えめにいって「快感」である。カラーサンドは余っているので、こりずに別のものを作ってみようと思う。
参考リンク:Amazon(販売ページ)、ムーミン公式サイト
Report:冨樫さや
Photo:RocketNews24.
【あるある】デアゴスティーニ『週刊ムーミンハウスをつくる』を3年越しで完成させて思ったこと10選
特定のテーマの教材を定期的に刊行する、いわゆる分冊百科(パートワーク)の老舗「デアゴスティーニ」。歴史や自然科学、クラフトからサブカルチャーまで幅広いラインナップなので、1冊くらいは買ったことがあるかもしれません。
……が、最後まで継続したことのある人は少ないのではないでしょうか。筆者は2017年から2019年にかけて、あるシリーズを購読していました。完結号が出たのが昨年秋。創刊号から実に3年のときを経て、先日ついに作り終わったのです。
その道のりは長かった……あまりに長かった。こんなに苦労するのは、きっと筆者だけではないはず。これまでの軌跡を振り返りながら、汗と涙の「デアゴスティーニあるある」をお届けします。
・その1. 創刊号と2号以降の価格差がえぐい
筆者が『週刊ムーミンハウスをつくる』と出会ったのは2017年夏のこと。もとから原作者トーベ・ヤンソンのファンだった筆者は、ムーミンパパが家族のために設計し、お客であれば誰でも大歓迎される「あのムーミン屋敷」が作れるなんて、と心を躍らせました。
創刊号はなんと490円(当時)。もし期待外れだとしても痛くない金額です。速攻で買いました。
そして創刊号は素晴らしかった。「玄関ポーチの階段の土台」と「ムーミンのベッド」を作りましたが感動するできばえ。敬愛するドールハウス作家・村上一昭氏の監修であったことも魅力でした。
しかしこれは他のシリーズも同様なのですが、デアゴスティーニは創刊号だけが「お試し価格」で破格になります。ムーミンハウスも2号以降は税抜1472円。まさかの3倍です。
月にすると6500円ほど。安くはないけれど、カルチャースクールなどに通うことを考えると、出せない金額ではないという絶妙な設定……そしてデスロードが始まるのです。
・その2. 最初の頃は次号が待ちきれない!
分冊百科であるデアゴスティーニは、数年かけて完結に至ります。同シリーズも全100号の予定でした。そのため1号で進む割合はほんのわずか、椅子1脚とか窓1つとか、そのくらいの進み具合です。
作り始めはとにかく楽しい。「もっと作りたい!」「早く次の号が出ないかな?」と待ち遠しくなります。しかも初期の頃は、脱落者が出ないよう「作りやすいもの」「失敗しないもの」がついてくるように思います。亀のような歩みがもどかしい「やる気満々フェイズ」がしばらく続きます。
・その3. 定期購読でホールドされる
シリーズがある程度まで進むと、購読者の数が定まるので、受注販売のような形になります。不特定多数に向けて店頭に並ぶのではなく、自宅やコンビニや書店に届く定期購読にシフトするのです。
筆者は過去の別シリーズで絶え間なく(当時は2週間おき)宅配便が届き、ちょっとした宅配便恐怖症になったので今回はコンビニ取り寄せにしました。
しかし、毎週決まった日にコンビニ店舗に通うというのは、なかなかに拘束感があります。もちろんいつでもやめられるのですが、こういった定期購入や契約は「始めることは簡単だけれど、やめるのが難しい」のではないでしょうか。
コンビニに出向くのが面倒になり、少し時間があるから作業しようかな、と思っても「まだ取りに行っていない」というタイムロスが生じます。破滅への最初のほころびです。
・その4. 上級者に心を折られる
マニュアルは丁寧で、指示どおりに進めれば大概のものは完成します。逆に個性を発揮してアレンジしてもOKです。たとえば色を変えたり、ウェザリング(=風化や汚れの演出)したり、紙で作るべきところをリアルに布にしたりと、創意工夫が推奨されています。
公式でも読者コミュニティサイトを開設し、アレンジ実例を紹介してくれるのですが……その画像を見ると、なんと自分の作ったものがみすぼらしく見えることか!!
ただマニュアルどおりに作ったもの、それも失敗してあの手この手でごまかしているものなんて、見るに堪えません!
最終的に、筆者は既製品に頼りました。金属やガラスの既製品が入るとぐっとリアルになります。欧米ではハウスならハウス、家具なら家具と作家それぞれに専門があって、日本のようにすべて自分で作るのは珍しいそうですよ(言い訳)。
・その5. 思わず関連商品まで買ってしまう
シリーズを購読していると、いろいろな関連商品の販売があります。たとえば道具や画材、完成後の専用ディスプレイケースなどが一般的。
そして本シリーズでは「サブキャラフィギュアとジオラマシリーズ」(全6回 / 送料込1万1340円)というものがリリースされました。本編でもムーミンやスナフキンなどの主要キャラはついてくるのですが、モラン、フィリフヨンカ、スティンキーなど、ファンなら「お!」と思ってしまうサブキャラたち。
「高いお金をかけて作ってるんだから」「せっかくだからコンプリートしたい」という消費者心理を巧みにくすぐります。なんという誘惑!! 抗うことなどできるでしょうか。
・その6. だいたい50号を過ぎると引くに引けない
1年が経過し、折り返し地点。この頃には作り手が慣れたことを見越してか、作業の難易度も高めに。「週末にやろう」「3連休にやろう」などと未開封の号が徐々にたまってくる、という現象が始まります。ためるとハードルが上がる、自明の理です。
「最後まで作れるかな……」という一抹の焦りと不安がわいてきます。しかし、振り返ると作りかけのハウスや家具が山になっている。パーツは断片的に届くので「この号で一段落」という明確な区切りもありません。すでに道具も揃え、相当の時間を費やしてしまっている。
いわゆる「コンコルド効果」です。人はこれまでに払ったコスト(時間や費用や労力)を惜しむあまり、この先もっと損をするとわかっていても引き返せない、という心理に陥るのです……!
・その7. 恐怖の「好評につき延長決定」
筆者の知る限り、少しずつ組み立てるビルドアップ系のシリーズで、急に打ち切りになったり、後から必須パーツの追加購入を迫るようなことは基本的にありません。(試験販売では打ち切りもある。)
しかし恐ろしいのが「好評につきシリーズ延長」です! 予定した作品の完成後、機能が拡張されたり、付属物が作れたりします。過去にドールハウスを作ったときには、数年越しで本体分が完結した後に「隣にアンティークショップを作りましょう」と違う建物の製作が始まったことがあります。
ムーミンハウスでもそれは起きました。100号で完結の予定が、10号延長して「水浴び小屋」を作りましょうと……!
あなたには経験がおありでしょうか。必死で勉強しなければならないときに限って、部屋の片付けを始めてしまう。それもいつもの何倍もの集中力を発揮して、部屋がピカピカになってしまうという怪現象……。
その頃の筆者は、未開封の本編を放置していることに罪悪感を抱いていました。手つかずの材料が山積みなのにもかかわらず、なにを思ったのか101号を作り始め、超スピードで水浴び小屋を完成させてしまったのです。そのやる気があれば本体できるだろ、というスピードでした。
・その8. 普通に買った方が安いことに気づく
追加シリーズも完結し、未完成ながらも商品の受け取りから解放されて安堵すると、禁断の問いが頭をかすめました。いったい、いくらかかったんだろうかと。
計算してみると、ここまで支払った総額はシリーズ全100号(税抜14万6182円)+追加10号(税抜1万4720円)=17万円以上!! さらに指定の絵の具なども買い揃えています。
これだけあれば、海外ドラマでよく見るような、子どもの背丈ほどもある立派なドールハウスを余裕で買えちゃいます。家具もヴィクトリア調でもロココ調でも買い放題です。
しかも当のデアゴスティーニから、お得な特別セット販売(全100号セット / 税抜12万5000円)まで出ているじゃありませんか!
そう、1号1号はたいしたことなくても、数年間も買い続けるとものすごい金額になるのです! これはたぶんロボットでもスーパーカーでも秘密基地でも同じことが起きているんじゃないでしょうか? 全国の同志よ!!
・その9. でも自分で作るとめちゃくちゃ楽しい
数々の困難を乗り越え、ついに竣工しました。地上4階、地下1階建てのムーミンハウスです。
テラスではコーヒーを飲みながら、家族だんらんをお楽しみいただけます。最初の頃やっていたウェザリング加工が見られなくなっているのは気のせいです。
地下には食料庫があります。冬には深い雪に閉ざされるムーミン谷、冬眠できない人間族のお客様でも安心です。映画『シャイニング』のように豊富な食料が備蓄されています。
なお、読者プレゼントだった「お風呂のスポンジ」を「パン」だと勘違いして食料棚に貼り付けてしまったという失態も見て取れます。
1階には広いリビングダイニングがございます。難しすぎて、同じ号を2回買って作ったシャンデリアが輝いております。
キッチンです。天井から下がっている寛永通宝のようなものは「ハパンレイパ」というフィンランドのライ麦パンでございます。粘土作業があまりに下手で「パンに見えない」と悩んだものの、修正できるスキルがなく投げやりに天井にとりつけた、いわくつきの1品です。
2階にはバスルームと、快適なメインベッドルームがございます。
3階には執筆活動のできる書斎もご用意しております。家族の声が届かない個室ですので、テレワークにも適しています。
屋根裏には子ども部屋がございます。縄ばしごで地上に直結しており、反抗期のお子さんにも便利です。
昨今のアウトドアブームに先駆けまして、テントも付属しております。十分なソーシャルディスタンスを確保できます。
・その10. 何度失敗しても「今回こそは作れる」と思ってしまう
こんなに苦労しても、新シリーズが出るとこりずにまた買ってしまう、それがデアゴスティーニ。なぜなら、そこに夢があるから。「これからあの○○を作るんだ!」というワクワク感は何物にも代えがたい。そしてクオリティの高さは折り紙つきで、完成した作品への愛着もひとしおです。
ええ、筆者はデアゴスティーニを愛しています。これからも新たなシリーズを買うでしょう。
なお、筆者宅の納戸には20年ほど前に購読し、未完のまま保管されている「週刊マイ・ドールズ・ハウス」があります。いつか作ります、きっと……たぶん……いつか……
参考リンク:デアゴスティーニ・ジャパン
Report:冨樫さや
Photo:RocketNews24.