夏の夜空といえば天の川。今年は地方への帰省が難しく、田舎の広々とした空を懐かしく思う人もいるかもしれない。そんなとき “おうちプラネタリウム” で天体観測はいかがだろうか。
学研『大人の科学マガジン』のバックナンバーから、人気のふろくを復刻した「BEST SELECTION ピンホール式プラネタリウム」(税抜2980円)という商品。
同社のプラネタリウムは2005年、2013年にも発売され、60万部を売り上げたというベストセラー。機能を減らした廉価版としての復活だが、3000円ちょっとでプラネタリウムクリエイター・大平貴之氏監修の本格プラネタリウムが作れるぞ!
・作ってみよう
開封すると、カメラ部品のような黒いプラスティックのパーツが出てくる。
家庭用プラネタリウムには、大きく分けてピンホール式と光学式の2種類があるそうだ。レンズを使って星を投影する光学式の方が本格派だけれど、そのぶん高価。今回作るのは星に見立てた穴を、中から電球で照らすピンホール式だ。
使うのはハサミやのりではなく、プラスドライバー。配線をよけながらネジを締めて……と硬派な作業が続く。
投影するときには季節や時刻を調整することができる。シールを貼ってダイヤル部分を作る。
本体は簡単にできた。点灯チェックをしたらできあがり。別途、単2電池2本が必要だ。
続いて「恒星球」を組み立てる。投影する画像の原版だ。北半球と南半球のどちらかを選ぶのだけれど、筆者は星座を見たかったので北半球! 南半球を選ぶとダイナミックな星雲を見られるらしいぞ。
球体になるようにパーツを貼り合わせていって……この時点できれいだ。
余談だが市販の両面テープをわざわざ切って貼りつけていたら、ちょうどよいサイズのものが同梱されていたことに気づいた。不覚。
「恒星球」をいかに漆黒にできるかが重要。保護シートをはがしたら、あとは指紋をつけないよう注意する。さらに黒いシールで隙間を補強して、のりしろをなるべく小さく切る。
完成! ちょうど小型の卓上ライトくらいの大きさ。
・点灯してみよう
北半球・南半球を選べるのは前述のとおりだが、首の角度を変えることで緯度を調節できる。たとえば東京だと「北緯35.41°」といった具合。さらにダイヤルで季節と時間を合わせる。
なるべく平らで、白い天井、白い壁を選ぶ。少しでも光があるときれいに見えないので、真っ暗闇というくらい暗い部屋がいい。ピントが合いやすいよう、可能な限り高い位置に本体を置いて……点灯!
え、ええっ!
も、も、ものすごくきれいなんですけど! もとが筆者の汚部屋とは思えない!! 肉眼で夜空を見るよりも遥かに多くの星が見えるし、星雲のようなものも確認できる。
これは「星空みたい」に灯りがともる雰囲気アイテムではなく、本当のプラネタリウム。なので実在の星座がばっちり再現される。たとえば北極星や北斗七星。
慣れないからなかなか見つからないけれど、知っている星座を探すのが楽しいぞ。何年生のときだったか小学校でくるくる回せる星座早見盤をもらい、学年が替わっても大事にして夜空を眺めていたのを思い出す。
筆者は近隣にプラネタリウムがあるほど都会ではなく、それでいて満点の星空が見えるほどは空気が澄んでいないという「中途半端な田舎」で育ったので、星座についてはかなり疎い。こんなにはっきり天の川を認識したのは初めてかもしれない!
投影角度は330°で、前後左右はもちろん、本体の下部まで星が映し出される。星空に包まれるような感覚!
ただし過去作と違って、自動回転機能はついていない。また、小さな豆電球なのでくっきり高解像度とはいかない。なるべく高い位置に設置するなど、条件を整えるのがポイント。
・寝つきがよくなる!?
株式会社セガトイズの検証によると、家庭用プラネタリウムには「寝つきがよくなる、眠りが深くなる、寝起きがよくなる」といった快眠効果が認められるそうで「プラ寝たリウムの新習慣」を提案しているとか!
実は家庭用プラネタリウム、「買ってもすぐ飽きる」という口コミもある。たしかに星を眺める目的だけだと毎日見るようなものではないが、常夜灯の代わりに寝室に点灯するのはグッドアイディアだと思う。少なくともスマホの光よりはずっといい!
なので今回の商品も「タイマー」や「オートオフ機能」がついていれば最高だった。美しくて勉強になり、心も癒やされる新習慣、夏の夜にいかがだろうか。