10個で8000円の超高級な青い卵を食べてみた / 独特のサラサラ感と、強い卵の匂い

好奇心から、10個で8000円もする超高級な青い卵を買った筆者。青森県の田子たまご村が販売している「いとしのきみ」という卵だ。卵の青さに好奇心が暴走。理由の探求に無駄に力を入れすぎて忘れていたが……この卵は食べ物。真に重要なのは、色云々よりもウマいかどうかだ。

こんなに高額な卵を食べる機会などそうあるものではない。一体どんな味がするのだろうか。スーパーで買った普通の白い卵と食べ比べてみたところ、そこには唯一無二の卵体験があった。

・まずは生で

食べる前に、1個800円の卵と、スーパーで買ってきた4個で142円の卵との中身の違いについて触れておこうと思う。見た目では、800円の卵の方が黄身の色が濃い。しかし黄身の色はエサに含まれる色素次第

色の濃さと栄養の豊富さや美味さは無関係だ。よくある「色が濃い卵は栄養価が高い」や「色が濃い卵はおいしい」的な、誤った認識を抱かないよう気をつけねばならないだろう。この濃い色は、単に800円の卵を産んだニワトリが、黄色やオレンジ色の野菜を食べていたであろうことしか意味しない。

それではいよいよ食べてみようと思う。真っ先に試す食べ方は一つしかない。良い卵を買ったとき、多くの日本人がやるであろうスタイル。卵かけご飯だ。ということで白米を炊き、そこに卵を投下。

混ぜる前に黄身を箸でつまめるか試してみたが、それはできなかった。まあ、この時点で発送から3日経過していたのでそんなものだろう。それでも黄身のハリ具合的に、スーパーの卵より鮮度は高そう。

これをよく混ぜて食べてみると……

卵らしからぬサラサラ感。トロみはそれなりにありつつも、スルッとした舌ざわりと喉ごしのある黄身。味は普通に卵の味だが、生卵特有の匂いは強い気がする。一緒に割ったスーパーの卵も生で食べてみたが、やはりそちらの方がネトっとしており、匂いは弱いと思う。

美味いか不味いか……というのは何とも言えない。卵の匂いが嫌いな人(そもそも卵かけご飯を食べないとは思うが)にとっては微妙だろうが、あの匂いが好きな人は美味いと感じるだろう。

そして、生卵のネトッとした感じが苦手な人にとっては受け入れやすそうな舌ざわりと喉ごしだが、ネトネト感が好きな人にとっては物足りなく感じる可能性がある。これは、別モノと表現するのが公平だろう。今まで食べたことのないタイプの卵であることには違いない。

・茹でてみた

せっかくなので、ゆで卵での違いも試してみることに。もちろん茹で具合に差が出てはいけないので、同じ鍋でかき混ぜながら茹でること10分ほど。殻を剥いた状態では全く見分けがつかず、白身については全く同じ味にして、同じ食感。

しかし、黄身の色の違いは茹でられても健在。そして、健在だったのは色だけではない。生の時に感じた匂いの差もまた健在だ。800円の卵の方が、黄身のカタマリが口の中で崩れた時に放出される卵の匂いが強い。とはいえ、あくまでも匂いだけで味に違いは感じ無い、その匂いも割とすぐに霧散する感じ。

・独自性の価値

「高いだけあって美味い!」と言えればそれが一番だが、記事である以上は正直に感じたことを述べるべきだろう。あくまで筆者個人の感想だが、10個で8000円の卵は、特別に美味い……とは言えない。

もちろん不味くもない。ただ、独特である。唯一無二な感じ。外見はもちろんのこと、中身もまたこの卵でしか味わったことの無いものだった。そしてその独自性は、ストレートに美味さにつながるものではなかったように感じた。

例えば、赤いアクリル絵の具と、赤い油絵具に対して、どちらの方が優れた赤か……みたいな。優劣をつけられるものではなく、ナンセンスな問いであることは、きっとほとんどの方にお分かりいただけることと思う。

10個で8000円と、存在するあらゆる卵の中でも最も高額な部類に属する「いとしのきみ」。青い見た目と、黄身部分の強い卵の匂い。また、生で食べた際のサラッとした感じなど、この卵でしか得られない卵体験は複数ある。一風変わった卵が必要な場面においては価値ある選択肢となるだろう。

参考リンク:いとしのきみ
Report:江川資具
Photo:RocketNews24.



1個800円の超高級な青い卵 / 青さの理由が気になったので調べてみた

先日、10個で8000円という「いとしのきみ」なる超高額な卵が存在することを知った筆者。単純計算すれば1個800円である。普通に1回の食事分くらいはまかなえる金額。

庶民的ではない金額だが、売られ続けている以上、きっと価格相応の何かがあるのだろう。好奇心に負けて買ってみたところ、ガチに一般的な卵とは全く違うことが発覚。美味いとか新鮮とか、そういう話以前に、色が違うのだ。具体的に言うと、青いのである。何で青いのだろう……? 気になって仕方がないので調べてみることに。

・青い卵

高い卵にありがちな、厳重で豪華な包装の中から出てきたのは、やや緑がかった青い卵。まるでムクドリの卵のよう。いや、色の濃さはムクドリほどではないが、なんにせよ事前情報無しではニワトリの卵だと思えないような色だ。普通の卵と並べて見ると、青さが一層ひきたつ。

詳しく販売サイトに目を通すと、この卵は「あすなろ卵鶏」というニワトリのものらしい。そして家畜改良センターによると、「あすなろ卵鶏」は青森県が開発したニワトリなもよう。

アローカナというチリ原産の青い卵を産む種類のニワトリを、白色レグホーンと交配させて作るらしい。試しに青い卵を割ってみると、殻の内側までちゃんと青かった。そして普通の白い卵よりも殻が硬い気もする。

また、卵殻膜(殻の内側の薄い膜)もやや厚く、丈夫な気がする。少し指で引っ張ったくらいでは破けない。殻といい膜といい、全体的に防御力が高い感がある。

中身の違いについては正直何とも言えない。青い卵の方が黄身の色が濃かったが、これはエサが違うだけな可能性を否定できない。日本鶏卵協会でも「卵黄の黄色から橙色の色はカロチノイド色素によるもの」としている通りで、黄身の色は餌次第。米を食わせることで、黄身が白い卵を産ませることもできる。

・気になる

ではあらためて、なぜ青いのだろうか? 「アローカナの性質由来」で終わってもいいが……いや駄目だ。それでは根本的な答えになっていない。なぜアローカナの卵は青いのかが気になる。

ということで調べてみると、やはり疑問に思う人は世界中にいたようで、それなりに研究もなされてきたようだ。90年代にはダチョウとニワトリとの混血であるとする説や、単なる突然変異であるとする説があったようだ。

・レトロウイルス説

そして2000年代に入ると、青い卵を産むニワトリたち(アローカナの他にもいるもよう)は内在性レトロウイルスによるものであるとする研究結果が、イギリスのノッティンガム大学や中国農業大学の研究者たちから出されている。

特に中国農業大学のチームは、ニワトリが属する全てのキジ科ヤケイ属の遺伝情報を解析し、アローカナ種がレトロウイルスに感染したのは家禽化したあとの出来事であることを支持する発見もしているもよう。筆者個人は、現状ではこのレトロウイルス説が一番有力であるように感じた。

ちなみにレトロウイルスとは、簡単に言うと感染した宿主の細胞内で自らのRNAをもとに逆転写と呼ばれるプロセスを経てDNAを合成し、それを宿主のDNAにブチ込んでくるタイプのウイルス。身近なところでは、エイズの原因となるヒト免疫不全ウイルスもこの仲間。

そして内在性レトロウイルスとは、生物の生殖細胞の遺伝情報に含まれる、レトロウイルス由来と考えられるDNA配列のこと。これはレトロウイルスに感染した祖先が子孫を残した際に、レトロウイルスがブチ込んだDNA配列が代々受け継がれ、その生物に定着したものだと考えられている。

「ウイルス」とついているとなんだかヤバそうに思えるかもしれないが、我々人間のゲノムも、およそ8%は内在性レトロウイルスであるとされている。筆者も本記事を読んでいる見知らぬあなたも、内在性レトロウイルスフレンズ。

・中身の違い

青いがゆえに研究されまくってきたアローカナの卵。もちろん成分についても研究は行われていた。結論を述べると、違いは色だけなようで、アローカナの卵が他の卵よりも栄養価が高いとは特に言えないと思う。また、ときおり見かけたスペシャルなパワーがあるとか、幸運を呼ぶという主張についても、根拠は見つけられなかった。

栄養価については、1977年にアローカナの青い卵は普通の卵よりプロテイン含有量が高く、コレステロール値は低いとする研究結果が出ていた。アローカナの卵の有利性をアピールする企業やメディアによって、よく彼らの主張の根拠とされている定番的なものだ。

しかし2019年に出た、アローカナの青い卵とレグホーンの卵、そして種族不明の市販の卵を比較する研究結果では、プロテイン含有量に有意の差は見られず、コレステロール値はアローカナがわずかに高いという結果が。

相反する2つの結果が出ている以上、消費者的には青い卵に特別な期待を抱くのは早計な気がする。普段多くの人が、白い卵と茶色い卵を特別に区別しないように、今のところは青い卵もまた青いだけ……と考えるのがいいのではなかろうか。なお、アローカナとレグホーンの交雑種である「あすなろ鶏卵」については、利害の無さそうな第三者による調査結果が見つからなかった。

ということで、青い卵がなぜ青いのかについて調べていたら、思いのほか複雑で最先端な生物学的分野に踏み入ることになってしまった。え、肝心の味はどうなのかって? それはまた別の記事で。

参照元:いとしのきみ家畜改良センター(PDF)、日本鶏卵協会NCBIPLOS GENETICSEurope PMCSemanticScholar理化学研究所
Report:江川資具
Photo:RocketNews24.



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