2020年8月31日、日本有数のアミューズメントパーク「としまえん」が、94年に及ぶ歴史に幕を閉じた。開園はなんと1926年、つまり第二次世界大戦前だというから驚くしかない。としまえんに携わった全ての方々、本当にお疲れ様でした。サンキュー、としまえん。
で、我々ロケットニュース24は、そのとしまえんのフィナーレに花を添えるべく、公式キャラクター「カルーセル」に成り切って同園に降り立った。個人的にはほぼ人生初のとしまえんであったが、心に残ったことはただ1つ “アレ” のことだけだ。
・初めてのとしまえん
ロケットニュース24の創業者、Yoshioの地元・練馬区のランドマークとして栄えた としまえん。どうやら私は幼い頃に1度だけ遊びに来たことがあるようなのだが、正直その時の記憶は1ミクロンもない。ややこしいので、ここでは「初めてのとしまえん」と言い切ってしまおう。
さて、その「初めてのとしまえん」ではあったものの、閉園というノスタルジーも手伝ってか、個人的にはなかなか感慨深い体験であった。正直、としまえんには全く思い入れはなかったが「あと数時間で歴史が終わるのか……」と思うと、やはり普段とは違う感情が湧いてくる。
・溢れる としまえん愛
明るく前向きなキャストさんたち、としまえんを全身全霊で楽しんでいる子供たち、そしてキャッキャと楽しそうな学生さんたち。さらに、子供を見守る親たち、としまえんの少し後輩くらいの年配の方たち。園内にいる全員から “としまえん愛” がよく伝わってきた。
私自身は縁もゆかりもないが、最終日のとしまえんで、としまえんを愛する人たちと同じ時間を共有したという事実は生涯忘れない。チープな表現で大変恐縮だが、最終日のとしまえんにはそれくらい愛に満ちあふれていた。
……のだが。
・愛よりも印象に残ったこと
結果として、ほとばしる「としまえん愛」よりも強烈に私の心に刻み込まれたことがある。冷やかしでも何でもなく、ただ純粋に湧きあがってきた隠し切れない感情。むしろ閉園直前のとしまえんでこんなことを感じるなんて不謹慎なのかもしれない。それでも言わずにはいられない、
「なぜあんなにインドカレー屋が多いのか?」と──。
ことの始まりはランチタイム。としまえんの常連Yoshioに「としまえんっぽい料理って何ですか?」と訊ねたのがきっかけだった。Yoshioの答えはまさかの「インドカレー」──。というか、アミューズメントパークの名物がインドカレーって……どういうこと?
これがインドの遊園地ならば話はわかる。ネパールの遊園地でも納得しよう。……が、ここは東京都練馬区のとしまえんである。なぜその名物料理がインドカレーなのか? ここだけの話、当初はYoshioが私のことをおちょくっているのかと思っていた。
……が、それなりに規模の大きい室内インドカレー店は満席で、なんなら長蛇の列が出来ているではないか。その後も、あるわあるわインドカレー! 少なくとも園内で3つのインドカレー店を発見したし、さらに言えばプールエリアにもインドカレー屋があるという。どんだけインドカレー好きなんだよ!!
・安くて超ウマい
しかも、悔しいことにコレがウマい!! 驚いたのは、いわゆるフードコート的な小さな店舗にもナンの焼き窯が設置されていること。つまり、普通にインド料理屋で出てくるレベルの焼き立てナンとカレーが園内の至るところで提供されている、というワケだ。
それでもここまでインドカレーが多い理由はわからなかったが、としまえんの来園者たちがとりあえずインドカレーを頼みたくなる気持ちは理解できた。そりゃ遊園地のよくわからんラーメンとかよりも専門店レベルのカレーを食うよ……。めちゃめちゃウマくて600円くらいなんだもん……!
ちなみにインド料理店は全て「MASALA(マサラ)」というお店で、としまえん以外にも江古田と大泉学園で店舗を展開しているそうだ。Yoshioいわく、練馬区民にとってはごくごく当たり前の情報らしいが、万が一知らなかった人はぜひ覚えておいて欲しい。
としまえんからの帰り道、来園者たちの幸せそうな笑顔を思い浮かべると同時に、私の脳内にはそれを上回る勢いでインドカレーが浮かんでは消えていった。としまえんの跡地にはハリーポッターのテーマパークが出来ると聞くが、ぜひそこにもインド料理……いや、MASALAがあって欲しい。
Report:P.K.サンジュン
Photo:RocketNews24.