【沖縄】海ぶどうのパスタを作ってみたら、海ぶどう初心者の方はむしろこちらを先に食べた方がいいかもしれない説が浮上した

皆さんは、海ぶどうを食べたことがあるだろうか?  温暖な地域の海に生息している海藻で、正式名称をクビレズタという。地域によっては「グリーンキャビア」とも呼ばれているとか。沖縄のお土産としても有名だよね。 筆者はこの海ぶど […]


【激レアグルメ】鳥取の心『いぎす』を知っていますか / 今日は鳥取県民の日

鳥取出身の男性有名人といえば水木しげる・石破茂・小野ヤスシといった、やや渋めのメンツがスタンダードだったのだが、ヒゲダン(Official髭男dism)の登場で状況は急変した。あのような田舎から才能ある若い人が生まれ、ついに紅白にまで出場したのだ。

山陰のおジイちゃんおバアちゃん達も、今じゃみな彼らの活躍を楽しみにしている。こんなハッピーな話があるだろうか。ヒゲダンの皆様には今後とも健やかに、素敵な音楽を作り続けてほしいと強く願う次第である。

……さて、察しのいい読者はお気づきかもしれないが、実は私も鳥取県の出身だ。本日9月12日が『鳥取県民の日』だということを個人的には全く知らなかったが、ヒゲダンの方々はご存知だっただろうか……少しだけ気になるな〜!

・鳥取の一部地域

せっかくなので、今日は皆さんに我が故郷の郷土料理をご紹介しよう。その名は「いぎす」と言って、『いぎす草』なる海藻を煮固めたもの。

これは鳥取県の中でも主に中部地方で食べられており、東部や西部へ行くと存在自体を知らない人も多い。ちなみに当サイトの佐藤記者は鳥取寄りの島根県出身なのだが、「いぎす」について尋ねると「聞いたこともない」という答えだった。

“郷土料理” といえば大々的に売り出されている風に感じるけれど、いぎすはもっとマイナーな存在である。スーパーで売っている場合もあるが、圧倒的に売っていない可能性のほうが高い。かと言って母が「いぎす」を作るのを見たことはないし、私自身も作ったことはない。

これはどういうことかと言うと、恐らく私の祖父母世代(80代〜)が好んで「いぎす」を作っていたのではないか、と個人的には考えている。祖母が生きていた頃は「いぎす」を頻繁に食べていたが、そういえばここ数年はお目にかかっていない。

よって今の若い世代には、ひょっとすると「いぎす」を知らない人も増えているのかもしれず、私の認識は全県民に当てはまるものではない、ということをお断りしておく。

・いぎす作りに挑戦

少し前置きが長くなってしまった。どのみち東京在住の私がナマの「いぎす」を入手するのは難しい。ってことで、地元から『乾燥いぎす草』を空輸してもらうことにした。

乾燥したいぎす草は “ザ・磯” という香りがしてスゴクイイ。コンブに近い匂いなのだが、コンブよりも奥深い感じだ。それを水でジャブジャブと洗う。

すると別の海藻やカスなどが浮いてくるから、それらを掃除しつつ草をほぐす。

……とか偉そうに言っているけど、これは私にとって初めての「いぎす」作りだ。幼いころは「いぎす」を専門に売る店もあったと記憶している。「親戚の○○おばさんはいぎす作りが上手」といった話を聞いた覚えもあるが……詳しくは忘れてしまったなァ。

水を吸ったいぎす草は、今まさに海で取ってきたかのよう!

・練るべし!

そしてキレイになったいぎす草を、水と一緒に煮ていく。個人的にはここでの水分量と火加減が、「いぎす」の出来を左右するのだと思う。

沸騰すると次第に赤から茶色へ変色し……

少しずつ草が水に溶けてゆく。

説明書きを読むと、ここから「粘りがでるまで練り上げます」とある。

なんと……いぎすって「作る」んじゃなくて「練り上げる」ものだったのか……!!!

ひょっとして祖母が元気だった頃の鳥取では「今日の “いぎす” は上手く練れたで〜」「うちのは練りが足りんかったかいな〜」とかいう会話が、日常的に街角や食卓で交わされていたのかもしれないな……う〜ん、ノスタルジー。

こうなってくると「 “いぎす” を練れてこそ一人前の鳥取女」と言っても過言ではない気がしてきたぞ。初めてだけど心を込めて……脇を締め内角をえぐるように……

練るべし!!!

練るべし!!!

練るべし!!!

・完璧にできた

とはいえ初心者だから「ここぞ」というポイントまでは分からない。説明書きの指示通り、15分間練り上げたところで火を止める。

う〜ん、海藻がこんなにドロドロになるとは!

練り上げたものを容器に移し……

あとは冷めるまで放っておくだけ(今回は約2時間)。

すると……

笑っちゃうくらい完璧な「いぎす」が完成した。

・衝撃の真実

「いぎす」の食べ方は好みのサイズに切り分け、ショウガやネギとともに醤油で食べるのが一般的とされる。見た目はヨーカンに似ており、幼い頃マジで何度か間違えたものだ。さっそく食べてみると……

う〜ん! コレコレ!

祖母が作ったものよりやや固かったが許容範囲内だろう。30歳を超えて私は初めて「いぎす」を完璧に作り上げたのだ。これでようやく一人前の「鳥取で生まれた女」を名乗れるというものではないだろうか……えっ? 「味はどうなのか」って?

味は………………無いよ!

このことを説明するのはなかなか難しいのだが、「いぎす」はそもそもウマいとかマズいとか、そういった次元の食べ物ではない。もちろんほのかに海藻っぽい風味はする。しかしコンニャクほどの歯ごたえも、豆腐ほどの味わいもない……存在感でいえば『麩(ふ)』くらいの薄さだ。

多くの鳥取県(中部)民にとって「いぎす」とは、「特別好きでもないけど、食卓にあるからなんとなく食べる」といった立ち位置だと思われる。もちろん「 “いぎす” が大好物」「三食 “いぎす” でもイケる」という方もおられるだろうから、これはあくまでも個人的感覚だとお断りしておくが……。

だからといって、「いぎす」が嫌いだという人もあまりいない気がする。 “おばあちゃんが作っていて、そのまたおばあちゃんも作っていた” ……いぎすを食べるのに、これ以上の理由がいるだろうか? ある意味『心のバトン』ともいうべき「いぎす」文化を、私は鳥取出身者として継承していく義務があると、今回強く感じた次第だ。

さて今回この記事を読んで「 “いぎす” を食べてみたい」と思った読者も何人かおられるだろう。残念ながら「この店へ行けば確実に食べられる」等といった情報をお伝えすることができないため、こうなったらもう、最初からいぎす草を練っちゃうことをオススメしておきたい。けっこう簡単だから大丈夫だ。

それにしても『鳥取県民の日』の過ごし方として、「 “いぎす” を作った」は我ながらけっこう有意義だった気がするな〜!

Report:亀沢郁奈
Photo:RocketNews24.



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