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【梨騒動】鳥取名産『二十世紀梨』が本当は千葉生まれだということを千葉県民はどう思っているのか? 聞いてみた結果 → 大論争になった
我が故郷・鳥取県の特産品といえば『カニ』がセンター、その次は『二十世紀梨』で決まりだろう。毎年9月になると実家から送られてくるのを楽しみにしているのだが、母いわく今年はやや不作らしい。今のうちに大量摂取しておかねば!
ところで最近、衝撃的な事実を知った。鳥取の誇りたる二十世紀梨、実は千葉県で生まれた品種だというのだ。幼い頃から漠然と「鳥取固有の品種」と思っていたのに、これは少し恥ずかしい。おまけに千葉では現在も、二十世紀梨が生産されているのだという。
果たして千葉の人たちは、この件をどう思っているのだろうか……?
・元祖は松戸市
不安になった私は千葉県松戸市の観光協会へ問い合わせてみた。二十世紀梨は明治21年、松戸市の松戸覚之助さんという人が偶然発見した品種なのだそうだ。それが鳥取へ持ち込まれ、特産品にまでなったらしい。今後2度と松戸市に足を向けて寝るわけにはいかない。
──あっ、もしもし? おかげさまで鳥取では現在、二十世紀梨が最盛期を迎えております。これも松戸市さんのおかげです。
担当さん「松戸市でも現在、梨の旬を迎えていますよ。例年8月中旬~10月初旬がシーズンです」
──ちなみに二十世紀梨が松戸生まれだということを、松戸市民は認識しておられるのでしょうか?
担当さん「全ての市民が認識しているというわけではないと思いますが、『二十世紀』という地名のついた地区の小学校では、小学生が梨園の方と共に梨を育成する授業があります。若者世代ではあまり知らないかもしれませんが、一定の年齢以上の方では知っている方も多いといった感覚でおります」
──松戸市で最もメジャーな梨の品種は二十世紀なんですか?
担当さん「ニ十世紀梨もメジャーではあると思いますが、現在松戸市での収穫量は少ないですね。シーズン初めに出回る『幸水』、その他『豊水』や『新高』などがメジャーであり、好まれているように感じます。松戸市ではこれに『かおり』『あきづき』を加えた5品種を主に販売していますよ」
・プチショック!
なんと……松戸市は梨の生産こそ盛んであるものの「二十世紀梨はそれほどメジャーではない」という衝撃の事実が判明してしまった! 鳥取の独走状態という点はホッとしたが、また別の意味で少し恥ずかしい気持ちだ。
──そうだったんですね……! 松戸では梨狩りも体験できると聞きました、今度行きたいです。
担当さん「あまり多くはないですが、ちょうど今頃の時期なら実施している梨園もありますね。松戸の梨は需要が多く、ほとんどが直売やもぎとりで完売してしまうんですよ」
・千葉の男、梨を語る
ちなみに二十世紀梨の魅力は “歯ごたえ” と “ほのかな酸味” にあると思う。『幸水』『豊水』といった俗に言う “茶色い梨” も食べたことはあるが、個人的には「柔らかさと甘さがややオーバー」だと感じるのだ。
こうなっては生まれも育ちも千葉県市川市・当サイトのサンジュン記者に実家から届いた二十世紀梨を食べてもらい、意見を求めるしかないだろう。千葉における梨の二大産地は松戸市と市川市であるらしく、サンジュン記者は「母校の校歌に “梨の花” という歌詞があった」と語るほど、生粋の “梨にはうるさい男” なのである。
市川市で『梨』はどういった立ち位置なのか? と尋ねてみると、「食べ物では一番有名かな」との答え。神妙な面持ちで梨を食べるサンジュン記者…………どう? おいしいですか?
サンジュン「これって…………MAX(マックス)なの?」
──マックス……とは?
サンジュン「これが鳥取のフルパワーの二十世紀梨なのね?」
──今年は不作ながら大ぶりで甘めだと聞いておりますが……。
サンジュン「じゃあ端的に言うけど、甘さがちょっと足りない。でも見方を変えれば “上品なお味” だよね。カブトムシも仕方なく食べるだろうね、たぶん」
・サンジュン大いに語る
なんだなんだ? これはケンミンショーなのか? 松戸市観光協会の方同様、サンジュン記者も「市川の梨といえば『豊水』や『幸水』であって、あまり二十世紀の印象はない」という見解らしいが、それにしても少し言い過ぎではないのか?
サンジュン「まぁ、詳しくはカブトムシに聞いてみてほしいよね。たぶんカブトムシはこの二十世紀を食うよ……生きていかなきゃいけないからね。だけど、どっちを好んで食べるかって言ったら、間違いなく『豊水』『幸水』だね。鳥取のカブトムシはきっと “千葉に生まれたかった” って思ってるだろうよ」
──この野郎! 『豊水』や『幸水』は柔らかすぎると感じるのですが!?
サンジュン「あ〜〜〜全然違います。それは食べるタイミングによってです。俺は梨に関して本当にうるさいからね。君、ちょっと勉強不足なんじゃないの?」
──……千葉生まれの二十世紀梨を「鳥取に取られた」という感覚は?
サンジュン「それは全然ないよ。松戸で生まれた珍品を鳥取の方が大切にしてくださって、むしろありがたいですよ。まぁ鳥取の人が二十世紀梨、欲しかったんでしょ? 少しでもおすそわけできるものは、してあげたいよね。でもさ……これ本当にマックス? はっきり言って『豊水』『幸水』に比べたらウマさは7割くらいだね」
・梨論争が勃発
なんだか釈然としない気分ではあるが、ともかく千葉の人が鳥取に対して怒っていないことだけは確かなようだ。自分が逆の立場だったら「むしろありがたい」と言えるだろうか? サンジュン記者はこれでなかなか、懐が深いと言えるのかもしれぬ。
……とはいえ、やっぱり二十世紀梨が一番おいしいと思うんだけどなァ! こんな時、頼るべき人物は1人しかいない。鳥取の姉妹都市とも言うべき島根県出身・佐藤記者にも梨を食べてもらうことにしよう。
──佐藤先輩! 豊水・幸水よりも二十世紀ですよね!?!?!?
佐藤「もちろん断然、二十世紀だな」
あぁ……やはり持つべきものは地元の先輩であった。こうして当編集部内で静かに勃発した梨論争。「梨の王 = 二十世紀説」を立証するため次の秋、私はMAXの二十世紀梨を探す旅へ出ようと思っている。
参考リンク:松戸市観光協会公式サイト
Report:亀沢郁奈
Photo:RocketNews24.