茹でたそばに生のセリをのせ、熱々のつゆをかければ完成──。たったこれだけの料理「セリそば」は、おかげさまで多くの反響をいただいた。そのウマさは編集長が「美味すぎた。こりゃすごい」と大絶賛するほどで、私(P.K.サンジュン)自身も街中で「セリそば美味しかったです」と言っていただいたことがある。それくらいウマい。
だがしかし、セリは冬に旬を迎える食材なので、春から秋にかけてはお預けを喰らうのが玉に瑕(きず)。そんなときであった「セリそばをニラでやるとウマいよ」と聞いたのは。なぬ……その手があったか! というわけで今回は「セリそば」の派生形『ニラそば』のレシピをお届けしよう。
・ニラの旬は?
旬が短いセリとは違って、ニラは1年を通して手に入りやすい野菜である。八百屋さんいわく「ニラの旬は春先でやわらかくてウマいよ。ただ、ニラは切ってもどんどん生えてくるから1年中入ってくるんだ」とのことで、価格も比較的安定していることが多い。
とはいえ、にんにくやネギと同系統の強い香りが特徴のニラは、やや好みの分かれる食材といえるだろう。苦手ではなくても「出来れば食べたくない」「デート前はNG」といった感じで、ずばりニオイが敬遠されがちな野菜である。
一方で、あの強烈な香りこそがニラの魅力であると同時にウマさであることは紛れもない事実。そういう意味では『ニラそば』は、セリそばよりも好みが分かれる一杯であった。好きな人はとことん好き、苦手な人は完全に無理。ぜひ、ニラがお好きな方にお試しいただきたい。
・ニラそばのレシピ
【材料】
ニラ: 半束
そば: 1人前
めんつゆ: 1人前
【作り方】
1: そばを茹でる。
2: そばを茹でている間にめんつゆを温めておく。
3: 器に茹であがったそばを盛り付け、その上に適当な大きさにカットしたニラをのせる。
4: ニラの上から熱々のめんつゆをかける。
作り方はまんま、セリそばと同様だ。お湯さえ沸いていれば、調理時間は5分程度。料理と呼んでいいのかも微妙なほど、超お手軽な料理である。
気になるお味はというと……これはこれでウマい! 爽やかな香りのセリと方向性は違うものの、野性味あふれるニラの香りとザクザク食感は、ダイナミックかつエナジーにあふれる男らしい一杯であった。
特徴的なのはニラの辛味がギンギンに生きていることで、普段はなかなか味わえない刺激的なニラが待っている。食後は歯みがき必須であることは言うまでもないが、ニラを最も美味しく食べる調理方法の1つではないだろうか? この辛さがクセになる人も多いハズだ。
・ニラの切り方を変えても良し
また、細かく刻んだニラでニラそばを作ると、ザクザク食感とは引き換えに、狂おしいほどの香りが堪能できる。どちらがお好きかは人によるので、ニラそばをお気に召した方はぜひそれぞれの方法でニラそばを楽しんでいただきたい。
なお、全く同じ形態なのかはわかりかねるが、ニラの産地として名高い栃木県鹿沼市にも『ニラそば』があるらしい。かつて鹿沼で冷やしのニラそばを食べたことがあるが、紛れもなく絶品であった。鹿沼ではニラそば、これも一応覚えておこう。
セリがそばの邪魔をしないセリそばと比べるとややニラの主張が強い一杯ではあるが、これもこれでかなりウマかった。本当に簡単にできるから、ニラとそばと歯ブラシをご用意の上、ぜひお試しいただきたい。