【検証】劇場版『鬼滅の刃』は主人公の名前すら知らない素人でも楽しめるのか?

映画『劇場版 鬼滅の刃』が “ちょっと尋常じゃないくらいヒットしている” ようだ。かねてより続く『鬼滅』ブーム、そろそろ乗っとかないとヤバイのかもしれない。でもイチから原作やテレビアニメをチェックする気力はない。

「絶対に面白いから」という意見はもっともだが、私のようにアニメを見る習慣がない者にとって  “1つの作品を全編見る” という行為は相当しんどいもの。『ジブリ』や『エヴァ』クラスの信頼感があるならともかく、滅多なことでは覚悟が決まらないのだ。

しかし2時間程度の映画1本であれば、最悪つまらなくても諦めがつくだろう。果たして『劇場版 鬼滅の刃』は、主人公の名前すら知らない私でも楽しめるのだろうか?

・無知の視点

ちなみに素人(私)が『劇場版 鬼滅の刃』を見ることについて、アニメ好きで知られる当サイトの中澤記者の予想はズバリ「面白くないと思う」。理由は「やはり作品の予備知識や思い入れがあってこその『劇場版』だから」とのことだ。ウムム。

でも知識がないからこそ見えるモノもあるかもしれないし……せっかくだから行ってみよう。新宿の映画館では10月23日現在、ほぼ “2時間に3回” のペースで『鬼滅の刃』が上映中。

途中で登場人物がゴッチャにならぬよう、メモを取りつつ集中して観賞開始だ。関連グッズやコラボ商品などは街でよく目にするため、主要キャラ数名のビジュアルだけは把握していた。

個人的には主人公である “緑のチェック柄の服を着た少年” (炭治郎さん)について、「一人称は “オラ” 」「『海賊王になる』等、突拍子もない発言をする」といったヤンチャキャラのイメージを抱いていたのだが、実際は非常に真面目な人物であるようだ。

・単品映画として絶妙

本作で最も素晴らしいと感じたのは、テレビ版で描かれてきたであろう『ここまでのエピソード』が実に自然、かつ親切、しかも必要最低限に説明されていたという点。私が映画を観賞しながら “なんとなく察した” 主な事項を、あえて答え合わせはせず以下にまとめてみた。

・作品の舞台は『鬼』が存在し、人間と敵対している世界

・主人公たちは鬼を退治する立場にあるらしい(たぶん『きさつたい』もしくは『おにがり』という組織の一員)

・主人公はかなり辛い過去を背負っている(鬼に家族を殺されたのかもしれない?)

・人間が鬼になる、という事例が存在する

・主人公の恋人と思われた少女が実は “妹” で、なぜか彼女は『鬼』

・『柱』というシステムがある様子(出世すると『柱』になれるのかも)

・鬼は強さによってランク分けされているようだ

……どうだろう。「ちょっと違う」と感じる部分もあるかと思うが、おおかた方向性は間違っていないのではないだろうか?

こういった続きモノにありがちなのが「俺の名前は炭治郎。コイツは妹の禰豆子ってんだ! 今回俺たちがここへ来た理由は……」といった説明セリフで物語が進行するパターン。初心者は情報量が多すぎてパニック、作品を知る者は「いや知っとるわ!」となり、どちらも得しない。

恐らく中澤記者の「初心者には面白くないと思う」という見解は、そのあたりの説明がほとんどないため、「背景が理解できないのでは」と心配してのことだろう。しかし初心者サイドとしては「よほど理解力に乏しい者でなければ大丈夫」という印象だ。

例えばストーリーの流れから何となく「主人公には悲しい過去がある」と察しはつくものの、具体的に何があったのかまでは分からない。また主人公の仲間たちも説明なしで登場するため素性は不明だが、雰囲気で何となく「深い絆があるのだろう」と感じ取れる。

人気作品であればなおさら「全員原作読んで来てるでしょ」という態度が全面に出てしまっている映画も多い。そんな中で本作品は “初心者も上級者も楽しめる” 絶妙なバランス取りに成功しており、製作陣の謙虚さが伝わってくるようだ。登場人物の数も少なめでホッとした。

・『心』について考察する作品

さて、この映画を単体作品として見たとき、個人的な評価は「入場料の価値はある」といったところ。アニメファンでもない中年が予備知識ゼロでここまで楽しめた、というのは結構スゴイんじゃないかと思う。

余談だが本作品は『心の強さ・弱さ』がひとつの大きなテーマとなっており、日々あらゆることでクヨクヨと落ち込んでしまいがちな私には考えさせられるものがあった。映画のメインキャラたる『煉獄さん』は肉体やパワーもさることながら、何者にも屈しない強靭な心を持った人だ。

映画を見終えた今でも私は初心者なりに「どうすれば煉獄さんのようになれるか」と考え続けているのだから、やはり鬼滅の刃ってスゴイのかもしれない。中澤記者が「とりあえず髪型だけでも煉獄さんに寄せた」気持ち、今なら何となく分かるなァ。

それから余談ついでに映画終盤、煉獄さんが敵キャラと語り合う場面。これが個人的には往年の名作『幽遊白書』における “戸愚呂(弟)と幻海師範の決戦シーン” でのやりとりを彷彿とさせる内容で、「永遠に答えの出ない少年マンガの普遍的テーマ」を感じ胸が熱くなってしまった。やっぱりたまにはアニメ、見るべきなのかも……!

・初心者は逆にラッキーチャンス

初心者の分際で長くなってしまったが、結論として『劇場版 鬼滅の刃』はアニメファンでなくとも見て損はない作品。 “テレビアニメの劇場版” というより “単体のアニメ映画” くらいに思っておけばいいだろう。

むしろ私は今となってみれば、劇場版を先に見たことが正解だったかもしれないと思っている。映画内には「おそらくファンにはたまらない場面なのだろう」という箇所がいくつも登場した。それを想像しながら観賞するのも、楽しき初心者の特権なのではないだろうか。

さて……私はついに原作コミックスを読む気力がわいたため、数時間後には『鬼滅ド素人』ではなくなる予定だ。そしたらまた違う目線で、『劇場版』を見てみようと思う。

Report:亀沢郁奈
Photo:RocketNews24.



【ネタバレなし】原作未読・アニメ未見でも大丈夫!! 「劇場版『鬼滅の刃』無限列車編」を楽しむポイント5選!

「劇場版『鬼滅の刃』無限列車編」が、2020年10月16日より上映開始するな! 各劇場の上映回数が鬼ヤバいなど、公開前から大騒ぎだ。わかる、わかるよ……鬼滅の刃面白いもんね。

記者も週刊少年ジャンプにて全話リアタイ読破。推しキャラは善逸で、竈門禰豆子(かまどねずこ)の手のりフィギュアも持っている。そんなこんなで映画を楽しみにする、みんなの気持ちは痛いほどわかるぞ。

ただ世には原作未読、アニメ未見という方もいらっしゃるだろう。そんな方にも劇場版を楽しんでいただけるよう、押さえておくべきポイントを挙げてみた。以下、全集中して読んでくれよな!! 

・時代に合わせた王道を切り開いた鬼滅

王道の王道を行った……それが、記者の『鬼滅の刃』に対する感想だ。週刊少年ジャンプの三大原則と言えば “友情・努力・勝利──” 。記者は長年同誌を愛読しているが、この原則は年々薄れているように感じている。

面白ければそれはそれで問題ないのだが、今の時代には珍しく『鬼滅の刃』はこの原則に忠実……どころか、はるかに凌駕(りょうが)していたように思う。特に友情面なんて、友情を通り越して愛情だった。

ただの王道ではなく、今の時代に合わせた王道を切り開き貫いたからこそ、多くの人の心に響いたのだろうと考える。

・ポイント1「鬼退治」

さて “日本一慈しい鬼退治” だなんてキャッチコピーがついた『鬼滅の刃』。なるほど言い得て妙で、鬼に家族を惨殺された竈門炭治郎(かまどたんじろう)が主人公なのだ。

唯一生き残ったものの鬼と化してしまった妹・禰豆子を人間に戻すため、物語がはじまる。ぶっちゃけ、同作はこの点さえしっかり押さえておけば大丈夫。あとは何となくでも理解できることを保証しよう。

・ポイント2「兄弟愛」

上記したように、同作の根幹をなすのは妹・禰豆子の存在だ。時に鬼に飲み込まれそうになりながらも、兄・炭治郎のために的に立ち向かっていく禰豆子。心が奇麗なだけじゃない、強さを持った素敵なキャラだ。

炭治郎との絆は相当なもので、互いに支え合って生きていることが全シーンよりうかがえる。本物のヒロインというのは、こういう子のことを言うんだなと、禰豆子を見ていると感じる次第。

・ポイント3「戦いのシーン」

原作とアニメ、両方の全話に目を通した記者だが、アニメの気合の入れ様は異常だったように感じている。全カット、どの部分を切り取っても美しい。劇場版予告を見る限り、その気合は健在であることがわかる。

特に刮目していただきたいのは、戦いの場面だ。中でも登場人物たちが努力の末会得した呼吸法と剣術、このシーンが素晴らしくイケている。間違いない。

・ポイント4「煉



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