日々新しい技術が開発される医薬業界。これまでの薬の概念をぶち壊すような画期的な「薬」がアメリカで承認され、話題になっている。
それは、砂粒ほどの大きさのマイクロチップで出来たセンサーが付いた、いわば「デジタル錠剤」である。患者が服用すると、患者の皮膚に貼っているパッチを通して、体内の情報が医師に送られるのだという。アメリカ食品医薬品局(FDA)は先日この「デジタル錠剤」を史上初めて承認した。
このセンサーは現在のところ、人体に薬理的な影響を及ぼさない成分で作られた「プラセボ(偽薬:ぎやく)」と共に使用する場合に限って承認されているが、開発元のProteus Digital Health社は、近い将来他の薬と共に使用できるようになることを期待している。
錠剤に付けられたセンサーはシリコンチップでできており、微量のマグネシウムと銅が含まれている。患者が錠剤を呑みこむと、錠剤は消化液に反応して、電圧を発生し、患者の皮膚に貼られているパッチに信号を送る。さらにそのパッチが、受け取った情報を医師が持つ電子機器に送るという仕組みだ。
このデジタル錠剤を使うメリットは、医者が患者の治療経過を観察できるという点だという。結核や糖尿病など、何年もの長期間にわたって薬を服用しなければならない患者の治療経過を観察するのに活用できると期待されているようだ。
医学博士のエリック・トポール氏は「約半数の患者が指示通りに薬を服用していない」という。「このデバイスがあれば、医師はどのタイミングで患者の服用状況を改善させるべきかを知ることができる」と、このデジタル錠剤に期待を寄せている。
常に医者に監視されているような気分にならないかとも思ってしまうのだが、このデジタル錠剤は来院や血液検査、MRIテストの代わりにもなるとの意見もある。
トポール氏は2010年代は「デジタル薬」の幕開けになるだろうと語る。「非常に多くの新技術が開発されつつある。医療行為の新しいフロンティアとなるだろう」とのことだ。
今後もどんな「デジタル薬」が社会に登場するのか、そして一般人の生活にどれだけ浸透していくのか、気になるところだ。
(文=佐藤 ゆき)
参照元:Mashable、Nature(英文)
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オリジナル記事: 「デジタル薬」時代の幕開けか? センサーを埋め込んだ「デジタル錠剤」がアメリカで初めて承認される
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