見慣れた風景も、シチュエーションを変えれば新鮮になる。記者が暮らす奈良県は、言わずもがな観光地だ。県外から訪れる観光客のため、数はそれほど多くないが宿泊地はそこそこある。
そうは言うものの、その地に家がある記者は宿泊地を利用する機会は滅多にない。しかし折よくGOTOトラベルキャンペーンが実施されているし、未だ外へは出辛い状況であるしで、近場のホテルに泊まってみることにした。
・宿泊地探しが楽しい
ここ最近、奈良に住む友人が積極的に近場の宿泊地を利用していた。正直、慣れ親しんだ土地に今さら泊まって何が楽しいのだろうかと思っていた。がしかし、友人らはとても満足そうだ。
実際に泊まってみると、なにかしら違った感情を抱くのかもしれない。そう思い、モノは試しだと泊まってみることにした次第である。そうと決まれば、宿探しをしなければならない。
……なるほど、この時点で若干楽しい。宿泊はその当日ももちろん大事であるが、場所を選んだりとその過程も割とワクワクするモノであることを思い出す。
余談だが記者はカプセルホテルやゲストハウスが好きで、新型コロナウイルス流行以前はよく利用していた。忘れていたがどこが安いだの、どこが面白いサービスがあるだの。宿泊先探しだけで、旅気分を味わうことができるのだった。
・見慣れているけれど泊まったことがないホテル
そんなこんなで今回は、奈良県奈良市の(一応)メイン通りで約40年の歴史を持つ “ホテルフジタ奈良”に泊まってみることに。ちなみにGOTOトラベルキャンペーンで、普段より3千円ほど割引してもらった。
さて。実はこちらのホテル2020年12月末での営業終了が決まっている。老朽化や市内におけるホテル競争が激化したこと、新型コロナウイルスの感染拡大により稼働率も下降気味だったようだ。諸々の理由により総合的に判断したのだろう。
地元民にとっては「え……あのホテルフジタが?」と驚きのニュースだった。考えてみれば、見慣れたホテルであったのについぞ泊まったことがなかったな。最後になってしまったが、その姿を見ておこうとココに決めた。
・土産物店に寄ってみる
せっかくなのでホテルに直行するのでなく、付近を散策してみることにする。当然ながらコチラも見慣れた風景であり、目新しいことはない。普段であれば目的地に直行し、道すがらの土産物店など素通りだ。
そんな土産物店に敢えて入ってみたのだが、不思議なもので周りの雰囲気に乗せられて、いつもであれば絶対に買わないであろう土産物を買ってしまった。ここまで来ればと、奈良名物の日本酒と柿の葉寿司も入手してみる。ホテルで食べるとしよう。
・意外とチェックインの瞬間が良い
ついつい調子に乗って、買い物をしてしまった。家に帰らずホテルに泊まるという、非日常さに飲まれている自分を早くも感じつつホテルへ向かう。ゆっくり歩いてみると意外と知らない店があったり、何度か行ったことがあるあの店が閉店していたりと気づきがある。
そんなことをしているうちに、ホテルに到着。チェックインだ。意外とこの “チェックインをする” という作業も、旅感があって良いものだ。なんだか確かに、たまにはこういった時間もアリだと思えてきた。
・宿泊することの魅力を理解する
部屋に入ってみると、この時期だからだろう。シングルで予約したはずが、ツインの部屋に入れてくれたようだ。予想外のことが起こるのも、宿泊での醍醐味だ。「どうやってダブルベッドを使いこなそうか」と小一時間悩んだことは言うまでもない。
チェックイン後は同ホテル内に併設するバーを利用したり、先だって購入していた柿の葉寿司を食べたりと思う存分ダラダラ。家にいるとどうしてもアレをしなければ、コレをしなければとなってしまう。
しかし宿泊することで強制的に家事や仕事をできない状況に身を置くことができるのも、良いところだと気づくことができた。ふむふむ……近場でも敢えて泊まる魅力、わかってきたぞ。
・気楽に贅沢な時間を楽しむ
いつもと違うことをするという時点で、それだけで楽しい。ただでさえここ最近は、家に引きこもっていたのだ。引きこもりに関してはプロ級である記者も、たまに外に出ると世界は新鮮さで溢れていてハッとする。
加えて慣れた土地、近場であるから余計な気を張る必要もない。日常の延長での、ちょっと贅沢な時間なのだ。勢いで買ったお土産など、財布の紐はユルユルだった気がするが、それもまたよし。
出かけたいがアレコレ考えるのは面倒、ちょっとだけの自由な時間がほしいなど、さまざまなニーズに合致しそうな近場での宿泊。思い立った時が吉日、そうだ地元に泊まってみようぜ。
Report:K.Masami
Photo:Rocketnews24.