もう関東でも夜になると冷え込むようになってきた今日この頃。すでに暖房器具を出した方も多いだろう。そんなおり、ネットで話題となっていたヒーターがある。ニトリの『くっつけられるマグネットヒーター』だ。
商品名の通り、金属、ガラス、木材問わず、机の天板裏側に張り付けて使うというもの。一見すると良さそうだが、個人的に気になった点がいくつかある。落っこちてこないのか? 膝しか暖かくないのでは? 火傷の危険は? などである。ということで、実際に使ってみての正直な感想を述べていこうと思う。
・約5000円
お値段は本体が税込み4990円。筆者はニトリネットで購入したところ、送料込みで総額5540円だった。やはり最大の特徴はくっつけられる点だろう。
本体サイズは縦が約20センチで、横が約33センチとかなりコンパクト。サイズ的に設置不可能な机というのはそう無いだろう。
出力は21ワット。1kWh(キロワットアワー)あたり27円の場合の1時間あたりの電気代は0.6円だそうだ。多くの電気会社のプランは1kWhあたりの電気代を明記しているので、こういう表記があるとだいたいどれくらいの電気代がかかるのかわかりやすくてグッド。
・木の机にはドリルが必要
中身はシンプルで、本体と説明書、そしてガラス製の机に張り付けるための両面テープ付き面ファスナー(マジックテープ的なもの)や、木製の机用の金属プレート&ネジに、位置あわせのための型紙が入っているのみ。
筆者の机は木製なのだが、装着のためにはドリルで穴をあけ、磁石用の金属プレートをネジで取り付ける必要がある。ネジは長さ約1センチなので、それよりも薄い机だと貫通してしまうだろう。
筆者の場合は家にドリルが無かったため、今回は危険を承知でガラス用の面ファスナーを使用することに。言うまでも無く非推奨であり、真似していかなる事態になってもそれは自己責任だ。
背面の突起部分に面ファスナーの両面テープ部分を張り付けて……
そのまま机の天板裏側に接着。
装着した状態でいつも通り椅子に座ってみたところ、ヒーターの発熱面から筆者の膝までの距離は約18センチだった。ちなみに、金属製の机のかわりに玄関のドアに装着してみたが、なかなか強力な磁石を使用しているようで、勝手に落下する心配はなさそうだった。
・使ってみた
操作系はシンプルで、電源とタイマーを1時間~3時間の間で選ぶのみ。最長でも3時間なので、それ以上つけっぱなしにはできない仕様。遠赤外線式なのでファンなどは無く、音も出ないためかなり静かだ。それでは実際に使ってみるとしよう……
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暖かいような、そうでもないような
が、電源をONにした瞬間から確かに発熱面自体はジワジワと暖かくなる。最大まで熱くなった状態でも、普通に2秒くらいなら手で触れるというか、手で触れても「熱っ!」的な感じにはならない程度だ。「あぁ、熱いね」くらいな感じ。
が、発熱面から筆者の太ももまでの約18センチという距離が駄目なのだろうか? イマイチ暖かくない。というか、普通に足先と上半身は寒い。太ももも暖かいようなそうでもないような、よくわからない感じ。
もしかしたら筆者の自宅が寒すぎるのかもしれない(室温約15度)が、そこまでのパワーは無いと言わざるを得ない。まあ、設置する場所が机の天板裏という特徴的にも、これ以上熱くなったら太もも付近のズボンやスカートの生地が焼けかねないし、膝が当たったりした時に火傷する危険も生じてしまう。
そういった危険が無い程度の温度までしか上げられないという制約がある以上は仕方のないことか。やや厳しい評価になってしまうが、個人的にはこれに5000円出すなら、Amazonや楽天あたりで同じくらいの値段で売られている、普通に床に置くタイプの遠赤外線ヒーターを買った方がいいと感じた。
・発想は面白いけれども
ただ、それではあまりにも救いがないため、どうにかこの『くっつけられるマグネットヒーター』の性能を活かせないかと考えてみたところ、唯一悪くないなと思ったのは、机の下の低い所に設置し、足先を温めるようにするスタイルだ。無論これも推奨される用法ではないため、何が起きても自己責任。
あまり長い間足を近づけすぎたままでいると火傷しかねないが、その辺はいかなるヒーターにおいても同様のことなので良しとしよう。このスタイルの場合、机の下に入りこまないと電源を入れられないため、使い勝手はあまり良くない。しかし、一番冷える足先をピンポイントでそれなりに温められるのは悪くない。
まあでも、やはり普通に床に設置するヒーターを机の下に入れた方が良いんじゃないかと思わなくもないが……。なお、すでに一週間ほど机の下に設置したままだが、木材に対してガラス用の接着方式を採用したにもかかわらず接着が緩む気配はない。
推奨される用法通りにガラス製の机に対して接着したなら、きっと磁石と同程度にしっかりとくっついたままでいてくれることだろう。とはいえ、肝心の暖房性能がこれでは、なかなかお勧めはしかねる感じだ。発想は面白いが、コンセプト的に安全性と暖房性能の両立は難しいのではなかろうか。