以前、ロケットニュース24では自転車で世界を旅行中の日本人青年が中国で自転車を盗まれるものの、ネットユーザーと市民の力で無事に発見されるというニュースをお伝えした。
その青年が現在(2012年9月18日)、9月に地震が起きた貴州省でボランティア活動をしようと中国入りしたそうだ。だが、反日感情が高まっているという現地で日本人であるという理由で襲撃されてしまったという。
襲われたという人物は自転車で世界旅行をしている河原啓一郎さんだ。彼は現在、中国の被災地に薬を届けるボランティアをしているという。だが、9月17日に、武漢で中国人支援者と一緒に行動していたところ愛国を掲げる別の中国人らに襲われてしまったのだ。同日の0時頃の彼の中国版Twitter・Weiboで「さっき大勢の人に襲われました」とコメントしている。
すると彼のWeiboに多くの中国人から励ましや謝罪のことばが寄せられたのだ。その数は河原さんのブログによると2時間で1万件以上。翌18日には8万件近くのコメントがついている。この件は中国メディアでも報じられた。
その一部を紹介すると
「大丈夫でしたか!?」
「河原さん、本当にごめんなさい」
「日本人にもいい人がいるのかな」
「罪のない日本人を襲うのはどうかと思う」
「中国人も全員があんな行動をしているんじゃないんです……」
「愛国を叫ぶ人は理性を持って行動すべき」
「今回のことは本当に残念です。どうか理性的な中国人もたくさんいることを信じてください」
「私が言っても意味がないかもしれないけど中国人として謝罪します」
などだ。謝罪や河原さんを気遣うコメントが圧倒的に多い。
しかし8万件のコメントの全てが好意的でないというのも事実だ。さすがに襲撃した人物らを全面的に支持する声は見受けられないものの
「彼個人に恨みはないけれど日本のことは許せない」
「人の心に国境がないって思っているのはあなただけ。日本人には中国人の気持ちなんてわからない」
「日本だって中国のことを傷つけた!」
「恨むなら日本に生まれたことを恨むんだな」
「彼はスパイなんじゃないのか」
それに対して
「日本に行ったことがあるの?何の資格があってそんなことを言うの?」
「愛国だって街を破壊する中国人がいるなか、被災地支援をしている日本人がいるんだよ!」
「“日本”とつくからって何でもかんでも叩くのは良くない」
と反論する中国人もおり、議論にちょっとした盛り上がりを見せている。
中国人の意見の多様性が垣間見える瞬間だったが、一報を伝えた人民日報Web版をはじめいくつかの中国のニュースサイトでは18日11時現在記事自体が削除されている。Weibo上ではこの件の記事は検索をしてもヒットしないという情況だ。
なお、河原さんはこの件についてWeiboで「怪我はしなかったけれど、とても悲しかった」としている。それでも、中国でのボランティア活動を続けていくそうだ。
(文=澤井恵)
参照元:Weibo @河原啓一郎、新浪新聞(中国語)
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オリジナル記事: 中国の地震被災地支援中の日本人が襲われる / 中国では賛否両論
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