自民党総裁選挙以来、ちまたでは空前のカツカレーブームが到来しているようだ。見事総裁に就任した安倍晋三氏は3500円の高級カツカレーを食べて選挙勝利の験担ぎ(げんかつぎ)を行ったそうなのだが、はたしてこれをしのぐ高級カレーは存在するのだろうか?
インターネットユーザーの間で話題になっているのが、東京・千代田区のとあるレストランのカレーだ。そのお店にはカツなしで5000円もするカレーがあるという。実際に食べてみたところ、はてしなくウメェエエエッ!! 脳内麻薬がドバドバでる感じで、超気持ちィイイイ~ッ!
記者(私)が訪れたのは、千代田区のパレスサイドビルディング9階にある「レストランアラスカ パレスサイド店」だ。皇居北の丸のお濠端にあり、店内からは皇居周辺の森の様子を見渡すことができる。その特殊な立地のためか、お昼時でも客は少ない。会社重役と思われる人々が、静かな店内でランチをかねたミーティングを行っている。
・軽食ってレベルじゃねえ!
ジーンズ姿の記者は、どう見てもお店に相応しくない人物であった。緊張のあまり挙動不審気味になってしまったが、それでもレストランスタッフは快く出迎えてくれ、窓際のカウンター席に案内してくれた。そしてメニューを見ると、『お薦めの軽食ランチ』という項目にお目当てのカレーが。「極上、黒毛和牛のスペシャルカレー&ライス」と「海の幸満載、シーフードカレー&ライス」、いずれも5040円! 明らかに軽食ってレベルじゃねえ~ッ!
値段表記にひるんでいる場合じゃない。震える声でスタッフを呼び、「こ、こ、ここ、この、ス、ス、スペシャルカレーひとつ……」と、途切れ途切れの息遣いでオーダーした。さすがにカレーに5000円は高額すぎる。庶民感覚では容易には食えない代物だ。あまりの緊張にトイレに行きたくなってしまったが、なんとか我慢することにした。
・見た目は「ゴージャス」からかけ離れている
そして待つこと約20分、カレーがきたーッ! ポットではなくココットに入ったカレーと平皿が目の前に置かれ、そこにライスを盛ってくれたのである。「おかわりはお申し付けください」と言って、スタッフは下がった。それにしても見た目は意外と地味。金額の割りにパッと見の印象は、「ゴージャス」という言葉からかけ離れている。
ところが一口食べてみると、「ウマッ!」と言わずにはいられなかった。芳醇な肉の旨味と、スパイスの香りが口から鼻へと抜けていく。記者は安倍総裁が食べたと言われている3500円のカレーも食べたのだが、こちらの方が比べものにならないほどおいしい。3500円のカレーはとにかくまろやかで上品であったのに対して、こちらはややワイルドな香辛料の使い方をしており、味の輪郭がしっかりしている。
・A5ランクの黒毛和牛で気分はハイッ!!
なにより、鹿児島県産の黒毛和牛A5ランクのお肉がゴロゴロ入っている。一口大よりもやや大きめで、「ナイフがあった方が良いのでは?」と思われたのだが、頬張ったところその必要がないことを思い知らされた。口のなかでジワジワと溶け出して、ほぼ噛む必要がなかったのだ。最小限に火を通した牛肉は、口のなかの熱で消え失せてしまいそう。
食べ進めるうちに、だんだんと多幸感が増して気持ちよくなったのは気のせいではないはず。なぜなら、あまりのおいしさに「夢でも見ているのではないか」と感じたほどだ。気がついたときには完食しており、まるで夢から覚めたような気分であった。
もしもこのカレーについてひとつ要求するとすれば、A5ランクの肉をステーキで味わいたかったくらいだ。カレーにするには、もったいないほどのクオリティの高いお肉を使用している。だからこそ、5000円という驚くべき値段のカレーに仕上がったのだと理解できた。きっとこれ以上の高級カレーは、なかなか存在しないのではないだろうか。このカレーを上回るものがあるのなら、ぜひとも食べてみたいと思った次第である。
レポート:フードクイーン・佐藤
Photo:Rocketnews24
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