先ごろアメリカの研究者が、「小児肥満症」とファストフードチェーンの驚くべき関係を報告し、米インターネットユーザーは衝撃を受けている。その研究者の発表によると、アメリカで深刻化している小児肥満は、ファストフードチェーンや食品ブランドのマーケティングによる影響が多大にあるというのだ。2012年9月末に「Medical Daily」が伝えた衝撃的な内容についてお伝えしたいと思う。
肥満はアメリカにとって、社会問題となっている。米非営利団体「健康トラスト(TAH)」と「ロバート・ウッド・ジョンソン財団(RWJF)」の研究チームが、過去に発表された政府のデータをもとに試算した結果、2030年までに全州で肥満率は44パーセントを超え、13の州では6割を超えるといわれている。
さらに問題なのは小児肥満症だ。「太りすぎ」と診断されている6~11歳の割合は、1980年に7パーセントであったのに対して2008年に20パーセント、12~19歳では5パーセント(1980年)から18パーセントに上昇している。このまま行くと、先に挙げた試算の通りに全州で約半数の人が肥満になってしまうのである。
ミズーリ大学カンザスシティ校と、カンザス大学のメディカルセンターの共同研究チームは、これまでにない研究報告を行い注目を集めている。従来、小児肥満症は食事にまつわる環境、つまりは家庭環境の影響はもっとも大きいと考えられていた。ところが、共同研究チームは企業のロゴに着目し、「マーケティング」と肥満との間に強い関係性があると主張しているのだ。
彼らの研究で、10~14歳の子供にファストフードチェーンをはじめとする有名食品ブランドのロゴと、食と無関係な企業のロゴ、合わせて60種を見せて、その際の脳の働きをMRI(核磁気共鳴画像法)で調査した。そうしたところ、食品関連企業ブランドのロゴを見せたときには、脳の「喜び」と「食欲」を司る部位が反応を示した。一方車両や運輸に関する企業ロゴには、まったくの無反応だったのである。
研究チームはもうひとつ実験を行っている。それは、箱にラベルのないハンバーガーと、マクドナルドのラベルの入った箱のハンバーガー、このふたつの味見だ。どちらがおいしいかとの質問に対して、ほどんどの子供がマクドナルドのハンバーガーを選んでいる。
この実験が指し示すものは、子供たちは自制心が発達するよりも以前に、ファストフードチェーンや有名食品ブランドのロゴを認識しているということ。そしてこれが欲求が満たされたときに快を感じさせる脳の「報酬系」と結びついているということだ。
つまりロゴを見ただけで食欲と幸せな気持ちが呼び起こされている可能性がある。研究チームのリーダー、アマンダ・ブルース博士は「子供たちは、意思決定をするのに必要な “抑制プロセス” を経ることなく、何を食べるべきかを決定している可能性がある」として、ロゴが刷り込まれていることを指摘している。
この結果に限らず、アメリカでは何らかの有効な対策を講じない限り、小児肥満症および成人の肥満を抑制できなくなるのではないだろうか。
Photo:Rocketnews24
参照元:Madecal Daily,CNN(英語)
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オリジナル記事: 「ファストフードチェーンや食品ブランドのロゴは子供たちの頭に刷り込まれている」研究者が衝撃の研究内容を発表!
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