年内の選挙戦に向けて、各政党着々と準備を進めています。すでにマニフェスト(選挙公約)を掲げて、有権者に支持を訴えている政党もあります。「巧言令色」とまでは言いませんが、選挙のときだけ聞こえの良いことを言っている、そんな気持ちになるのはなぜでしょうか。普段から主張を裏付けるような行動が見えてこないからかもしれません。
選挙のときだけでなく、日頃から国民のことを考えて生活している、とある国の大統領をご紹介したいと思います。ウルグアイ(ウルグアイ東方共和国)の大統領ホセ・ムヒカ氏は、「世界一貧しい大統領」といわれています。彼は個人資産をほとんど持たず、収入の9割を寄付しているため、貧しい生活を送っているのです。
国の最高権力者は、一般的に裕福とされています。各国の経済状況に違いがあるとはいえ、少なくとも平均的な国民よりは豊かであるはず。そんな「最高権力者」のイメージをくつがえすような暮らしをおくるホセ・ムヒカ氏。
彼は、首都モンテビデオ郊外にある小さな農場に住んでいます。お世辞にもきれいな家とは言えません。未舗装の道路を、所有する1987年製のビートルでガタゴト走って街へと出かけます。庭に洗濯物を干し、井戸から水を汲む。その気になれば、高級マンションで暮らすことも可能です。しかしムヒカ氏はその生活を望んでいません。
大統領の月収は日本円で約97万円、同国の平均月収は約6万円。ムヒカ氏が、いかに豊かか容易に理解できるはずです。しかし彼はそのほとんどを寄付し、同国の平均年収しか手元の残さないそうです。理由は、自分が得たお金を貧しい人と企業家のために役立ててもらいたいから。彼が国民から支持を受けるのも頷けます。
「『世界一貧しい大統領』と呼ばれている。でも、自分では貧乏とは思っていない。本当に「貧しい人」は、ぜい沢な暮らしを保つためだけに、働く人だ。そして常に何でもを欲しがる。「もっと! もっと!」と。多くの財産を持たない人は、財産を維持するために奴隷のように働き続ける必要がない。財産はなくても、自分のための時間がある。これは誰にでもできる自由な選択だ」
と、ムヒカ氏は話しています。同様の話を、2012年6月に行われた「国連持続可能な開発会議(リオ+20)」で行ったそうです。
「人類は今後70~80億もの人が、今日の豊かな社会で見られるような、「消費」と「無駄」を維持できるだろうか? それだけの資源が地球には残されているのだろうか? 消費による成長は、もはや盲目の強迫観念である。あたかもその裏側に「世界の終わり」が意味付けられているように」
2009年に大統領に就任して以来、彼の支持率は50パーセント台を維持していたそうです。ところが最近は健康と教育の問題、妊娠中絶に関する問題、そのほか薬物に関する問題などで、不支持の考えを示す人が増えており、50パーセントを割り込んでいるとのこと。とはいえ、日本からみれば、驚くべき支持率ではないでしょうか。
はたして、日本の次期政権はどの政党にゆだねられることになるのでしょうか。そして次期首相の座は。いずれにしても、間もなく選挙戦がスタートします。
参照元:BBC(英語)
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オリジナル記事: 【ウルグアイ】収入の9割以上を寄付する「世界一貧しい大統領」ホセ・ムヒカ氏
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