広島県尾道市に、地元民のみならず日本全国の「広島風お好み焼きファン」から絶大な支持を得ているお好み焼き屋がある。その店は非常に小さく、店員さんもおばあちゃん二人しかいない。あまりにも情緒があり、あまりにも美味しく、あまりにも温かい。
そんな広島風お好み焼き屋『村上お好焼』に行ってみた。広島市から新幹線を使って約1時間、大阪からでも2時間ほどで尾道に到着する。JR尾道駅から徒歩15分ほどあるが、尾道市は歩くだけで情緒豊かで楽しいゆえ、まったく苦にならない。だがこの日は雨だったので、やや急ぎ足で店に向かった。
・おばちゃん二人
あまりにも人気があるお店のため、いつも行列ができていると聞いていた。しかし大雨だったこともあり、この日は2番目の客としてお店に入れた。どうやら、尾道駅前にミッキーやドナルドなどディズニーキャラクターがやってきているため、地域住民はみんなそっちに行ってしまっているのも、客が少ない理由のようだ。
店内にはおばちゃんが二人、鉄板を目の前にして接客をしていた。調理も接客も会計も、このおばちゃん二人がやっている。「雨のなかありがとうね。今日は何を食べる? 砂ズリがオススメだよ」と、これ以上ないくらいやさしい口調で話してくるおばちゃん。い、い、癒される……。
・砂ズリのお好み焼き
砂ズリとは砂肝のこと。この店では一番人気のお好み焼きで、広島風お好み焼きに鉄板で焼いた砂肝を盛り付けて食べる。単品で砂ズリだけを食べることも可能で、今回は単品も注文してみた。まず先にできあがった砂ズリの鉄板焼きから食べる。塩コショウで味付けしたシンプルなものだが、名物とあって砂ズリ自体の歯ごたえとウマミが「じゅんわり」と口の中に広がる。
・奥底にある家庭の味
砂肝とお好み焼きの組み合わせは珍しいが、こんなにも美味しい砂肝ならお好み焼きに入れて美味しくないはずがない。その味は期待を裏切らず美味しかった。ただし、レストランや他店で味わえる「美味しさ」とは違って、究極なまでに素朴な「家庭の味」がジワジワと味覚神経を占領していく。
そう、この店のお好み焼きは「家庭の味」が奥底にあるのだ。なら家で食べればいいじゃない? と思うかもれないがそれは違う。食材ひとつひとつに「おばちゃんの熟練の腕」によって極められた味付けが施されており、他店では味わえない「おばちゃんの腕による家庭の味」が体験できる。
・ゆっくりとやってくる衝撃だ
『村上お好焼』のお好み焼きは「素朴」ななかに「食材のウマミ」がある。なので最初のひとくちは「あれ? 食材そのものの味しかしないな」と感じたのも事実。だがあとからジワジワとやってくる。キャベツ、卵、小麦粉、そしてソース、あらゆる食材がそれぞれの持ち味を生かした味、それがあとからジワジワとくるのだ。これはタマラナイ。ゆっくりとやってくる衝撃だ。
・飲み物はコンビニで
飲み物だが、瓶ビールはあるものの、ほかのドリンクを飲みたいときは近くのコンビニエンスストアに行って買わなくてはならない。あくまでここで楽しめるのはお好み焼きとビールだけ。だがそれがいい。これは実際に行かなくちゃわからないかもしれないが、この店はそれだからいい。
・気がつくと行列ができていた
気がつくと雨がやんでおり、多くの人たちが行列を作っていた。それでもおばちゃんは客をせかすことなく、ゆっくりと食べていくように、客が気を使わないように、優しい言葉と笑顔でもてなし続ける。筆者の隣に座った女性客は、亡くなった母親の思い出を追って尾道にやってきたという。いつきても行列ができていてお店に入れなかったらしいが、今回は雨の恩恵で入ることができたそうだ。おばちゃんは「雨とミッキーのおかげだわね」と女性客に語りかけた。
・今回ご紹介した飲食店の詳細データ
店名 村上お好焼
住所 広島県尾道市久保2丁目1-15
時間 12:00~19:00
休日 火水(臨時休業あり / 要確認)
Correspondent: Kuzo
●関連記事
- 【グルメ】お好み焼きに「プロ顔負けのすごい絵」を描いてくれるお好み焼き屋さん
- 【大阪人の常識】お好み焼きとご飯とみそ汁の「お好み焼き定食」はアリなのか?
- 大学生&サラリーマンが愛したお好み焼き屋『れもん屋』が2月13日(月)を最後に閉店&移転
- 人気漫画『動物のお医者さん』にも登場した伝説の飲み物『ミルピス』が実在した!
- 中国のメイドカフェに行ってきた / メイドは可愛かったがメシは機嫌悪そうなおばちゃんが持ってきた
オリジナル記事: 【広島で絶大な人気】広島風お好み焼き『村上お好焼』に行ってみた / おばあちゃん二人の接客に感動
Copyright© ロケットニュース24 / ソシオコーポレーション. All rights reserved.