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【TKGのベスト醤油決定戦】紀ノ国屋で「不動の人気」だという『トリュフ醤油』 VS たまごかけごはん研究所が「世界で一番合う」と豪語する公式醤油
卵かけご飯(TKG)にもっとも合う醤油は何なのか? TKGを愛する者ならば、1度は考えたことがあるだろう。その問いに対して、TKGの権威とも言える組織が1つの答えを出していることをご存知だろうか。
答えとは、以前の記事でも紹介した「日本たまごかけごはん研究所の公式醤油」である。こちらの醤油は、同研究所が「たまごかけごはんに世界で一番合う」というウリ文句で販売しているものだ。
というわけで、それがTKGのベスト醤油に決定! ……といきたいところだが、世の中に醤油は数え切れないほどある。TKGに合うと言われている醤油だけでも、何種類もある。それらの中で「日本たまごかけごはん研究所の公式醤油」が本当にベストと言えるのか?
例えばだ。セレブ御用達スーパーと言われる紀ノ国屋では、『贅沢な卵かけトリュフしょうゆ』を販売しており、店内のポップを見たらこれが「不動の人気」らしい。
正直なところ「TKGにトリュフなんている?」という気がしないでもないが、人気があるからには それだけTKGに合うのだろう。なお、価格は150gで1080円(税込)。結構なお値段である。
一方の「日本たまごかけごはん研究所の公式醤油」も負けていない。200ミリリットルで1100円(税込)だ。
この2つ、果たしてどっちがTKGに合うのだろうか? 食べて確かめてみることにした。
・最高の環境でジャッジ
今回の検証で使用する卵は、「第1回たまごかけごはん祭りで優勝した」という『日本一こだわり卵』。ご飯(いちほまれ)は炊きたてホカホカだ。TKGのベスト醤油を決めるにおいて、最高の環境が整ったと言っていいだろう。この卵とご飯に上の2種の醤油をかけて、どっちが上かを決定する。
で、最初に結果を言ってしまうと、正直なところ どっちが上もなかった。なぜなら、あまりにも系統が違いすぎたからだ。
この状態で甲乙つけることは、インド音楽と演歌のどっちが音楽的に優れているかを決めるようなもの。企画的には順位をはっきりつけた方がいいので悩んだが、そうすることが不毛に感じずにはいられないほど、両者は全く別の商品だった。
どれだけ違うかは、試食したときの私のメモを見ていただければと思う。まずは、「日本たまごかけごはん研究所の公式醤油」から。
「普通の醤油にあるような角がない。極端な話、頑張ったら飲めそうな気がする。それでいて薄い感じは全くしない。それどころか、コクというか『ザ・醤油』という感じがしっかりする。素材が上手く調和している印象で、みんなが好きな醤油のど真ん中。
言うなれば、仲が良くて、国民的人気があるグループみたいなもの。芸能人で言えば嵐か」
続いて、紀ノ国屋『贅沢な卵かけトリュフしょうゆ』はこうだ。
「最初の一口は、ドレッシングでも間違えて入れたのかと思うほどインパクトがある。きっとオリーブのせいだ。見た目に反してクセがあるな。『オリーブにクセなんてないだろ』と思うかもだが、繊細なTKGの中では目立つのだ。
醤油に慣れてると、これはかなりの違和感。しかし決して嫌な感じにならないのは、トリュフのおかげか。派手でクセもあるんだけど、唯一無二と言いたくなるような独特の “品の良さ” を感じる。芸能人で言うなら美輪明宏」
──つまり、今回の結果はそういうことである。「どっちが上もない」となった理由をお分かりいただけただろうか。
参考リンク:紀ノ国屋「トリュフ醤油」、日本たまごかけごはん研究所「公式醤油」
Report:和才雄一郎
Photo:RocketNews24.
不気味な謎の漬物『魔界のオリーブ』を味わってみた / そして「魔界」の意味を思い知った
先日、何とはなしにネットを眺めていたところ、とんでもなく不気味な名前の食べ物を発見してしまった。衝撃的だったので読者の方々と共有したい。福島県にある漬物屋「香(こう)の蔵」から2020年6月17日に新発売されたその食べ物の名は、「魔界のオリーブ」という。
「オリーブ」はわかるが、「魔界」とは何なのか。危うさがすごい。口に含んだ瞬間、全身から紫色の液体を吹き出しながら卒倒しそうである。しかしそんな食べ物が平気で売られているはずもない。正体を確かめるべく、実物を入手してみることにした。
レビューの前に少し補足しておくと、「魔界のオリーブ」には醤油、白だし、トマトの3種類の味がある(各756円)。今回は醤油とトマトを選び、公式オンラインショップで購入した。
数日後、無事に商品が到着。これを運んできた配達員の方も、まさか自分が「魔界のオリーブ」を運んでいるとは思いもしなかっただろう。
実物の外箱には、オシャレなデザインで「魔界のオリーブ」の文字が確かに刻まれていた。オシャレに書かれても危うさは隠せていない。
ともあれ、まずは醤油味の方から神妙に開封していく。
箱の中には、袋に詰まったオリーブ。ボリュームは1袋に20個程度といったところか。
加えて袋だけではなく、商品に関する説明の載ったカードも入っていた。その最初の一文をここに抜粋しよう。
魔界のオリーブの世界へ、ようこそお越しくださいました。
およそ漬物屋が書く文章ではない。一体どういうことなのか。激しく動揺を誘う文言だが、続きを読むことで「魔界」の意味するところがわかる。一口食べると魔界に引き込まれるように止まらなくなる──そんなやみつきになる逸品らしい。
よくよく考えたらやっぱりわからなくなってきたが、要は中毒性が高いということなのだろう。漬物屋がここまで魔界アピールしてくるのは余程のことだと思うので、実食するしかない。
こちらの方も妙なテンションになりながら、袋の中身を皿に取り出す。漬け液に浸って茶色に染まったオリーブの実を、期待と緊張に包まれつつ齧(かじ)った。
そうして噛み締めた途端、「おお、これは」と、軽快に舌鼓を打ってしまうような美味しさが弾けた。オリーブの内に閉じ込められた醤油と黒糖の旨味がジュワッと染み出て、口の中にみるみる広がっていく。
甘さと塩辛さの塩梅が丁度良く、そこへ山椒の香りもほのかに入り混じり、奥深く芳醇な味わいに仕上がっている。新しい。今までに食べたことのない漬物だ。それも「洋」ではなく「和」の漬物である。
特選醤油と黒糖が織りなす黒たまり漬けの味付けによって、ご飯のお供としてのポテンシャルさえ備わっている。オリーブ果実ならではのクセはあるものの、確かに味覚に刺さる丁寧な仕事ぶりだ。
がぜん、心の針が期待の方に振れる中、今度はトマト味のオリーブの方も味わってみる。
こちらは打って変わって「洋」の漬物だ。しかしもちろんのっぺりとした「洋」の味ではなく、爽快なトマトペーストの酸味と、それを下から突き上げるニンニクと黒コショウの風味が火薬のように仕込まれていて、精妙に炸裂してくる。
元からトマトとオリーブの相性は抜群だが、漬物ナイズされることで何倍にも増幅されているように感じる。風味付けの効果も大きい。つまるところ逸品だ。お酒のつまみとしてだけではなく、普段の食卓のおかずとしても、紅い華を添えてくれることだろう。
同じオリーブでありながら、ここまで対極のバリエーションを披露してくるとは驚きだ。それでいて両方に共通しているのが、とにかく後を引く点である。一口食べたあとで他のおかずに浮気しても、回りまわってこのオリーブに舞い戻ってしまうような、そんな魅力がある。
広大かつ迷宮。なるほど、作り手側のおっしゃる通り、一度引き込まれると容易には抜け出せない。実に、とても危険だ。
読者の方々の目にはどう映っただろうか。もし少しでも心惹かれたなら、この言葉を送りたい。魔界のオリーブの世界へ、ようこそ。
参照元:「みそ漬処 香の蔵」オンラインショップ
Report:西本大紀
Photo:Rocketnews24.