【比較】吉野家「牛すき鍋膳」とやよい軒「すき焼き定食」を食べ比べてみたらコスパが全然違った! 2020年冬の鍋対決
【新発見】吉野家の取締役に「すき焼きのお肉を卵にドンする派ですか?」と聞いたら…邪道系ながらメチャクチャ美味い食べ方を知った
吉野家の常務取締役である伊東さんに「すき焼き(すき鍋)のお肉を卵にドンする派ですか?」と聞いたのは、『黒毛和牛すき鍋』の試食会でのこと。商品とは直接関係のない質問ではあるが、答えてくれそうな空気を感じたので思い切ってぶつけてみたのだ。すると……
予想通り、伊東さんは教えてくれた。それも、かなり詳しく。なんなら、「肉をドンするかどうか」以外のことも教えてくれた。その食べ方は私にとって斬新なものだったが、試してみると「すき焼き」がまったく違う顔を見せてくれた気がした。早い話が、メチャクチャ美味かったのだ。
どんな食べ方なのかは、伊東さんの発言を引用する方が分かりやすいだろう。こんな感じである。
──ところで伊東さんって、すき焼き(すき鍋)のお肉を卵にドンする派ですか?
伊東さん「僕はね、まず卵をつけずにそのまま食べる。それから、卵に2〜3回くぐらせる。で、すき鍋を食べ終わった後にその卵をご飯にかけて、卵かけご飯にして食べる。これが僕の食べ方」
──そのTKGは間違いないヤツですね。
伊東さん「ただ、『黒毛和牛すき鍋』のときはやらない。普通のすき鍋(牛すき鍋)の方が卵かけご飯に合うからね。これで作る卵かけご飯が、めちゃくちゃ美味しい」
──なるほど、牛すき鍋の種類でTKGに行くかどうかを決めるわけですね。
伊東さん「あとね、すき鍋を食べているときに、まだ火がついている段階でチーズを入れてちょっと置くと、味がぐっと変わるんですよ。うまいんだよね、これが」
・チーズだと?
というわけでまとめると、TKG(卵かけご飯)とチーズ追加が食べ方の2本柱なのだが、私にとって意外だったのはチーズである。なんだ、その邪道的食べ方は? 和風のすき鍋にチーズなんか入れたら、味の方向性がかなり変わってしまうのではないか? 気になったので、実際にやってみたところ……
それは「すき焼き」と「チーズフォンデュ」の間に生まれたハーフの子供のようだった。チーズが表に出ながらも、割り下の風味はしっかり残っている。見事な調和だ。そのチーズがトロけたところに具材を絡めると、箸が止まらない。
味変としては革命的と言っていいだろう。黄色人種のイケメンが整形したら白人になったくらいの変わりよう。いかがわしいサプリの広告に載っているビフォーアフター写真のような変化が、この鉄鍋の中では現実に起こっている。
すでに試したことがある人だって多いだろうが、私のように「すき焼きにチーズだと?」となった人はぜひ一度試してみてくれ。コツと言うほどでもないが、鍋の火がギリついているタイミングで投入するのがポイントだぞ。
【ついに】吉野家が1000円以下の「黒毛和牛」を販売! 歴史的な新商品をひと足早く食べてみた / 明日10月5日より『黒毛和牛すき鍋』が全国で数量限定発売
言うまでもないことだが、黒毛和牛は高い。スーパーの肉コーナーで半額になっていても、1パック1000円を超えることはザラ。絶壁のような “黒毛和牛の壁” に阻まれて購入を諦める もどかしさを、多くの人が経験しているに違いない。
そんな黒毛和牛に、あの吉野家が手を出した。安さを売りにするチェーンの代表格とも言える吉野家が、高い肉の代表格とも言える黒毛和牛を使った「すき鍋」の販売を開始するのだ。しかも明日5日から!
・吉野家で初となる黒毛和牛商品
販売開始のタイミングを正確に言うと2020年10月5日午前11時。一部店舗をのぞく全国の吉野家で、数量限定での発売となる。なお、吉野家が黒毛和牛の商品を出すのは今回が初めて。
価格は単品が税別898円で、ご飯や卵・お漬物がついた『黒毛和牛すき鍋膳』が税別998円となる。吉野家の他商品と比べたら高いと思うかもしれないが、吉野家のえらい人(常務取締役:伊東氏)に聞いたところによると、「メインメニューの中で原価率がもっとも高い部類」とのこと。
そう聞いても何ら不思議ではない。なにせ、スーパーで食材を買ってきて黒毛和牛のすき鍋を作ろうとしたら、たとえ1人前でも1000円以内に収めることは難しい。下手したら肉だけでオーバーする。さらに、『黒毛和牛すき鍋膳』は24時間ご飯のおかわりが自由。
それで税別998円なのだから、「肉がしょぼいのではないか?」と疑われても仕方がないレベル。というか、私も当初はそう思った。しかし、実際に吉野家主催の試食会で食べたら……
うまあああああぁぁああああ
アホな感想で恐縮だが、1000円以下の和牛すき鍋とは思えないほど、肉が柔らかかったのだ。
ちなみに、先の常務取締役:伊東氏によると、牛肉は「A3からA5くらいのものを混ぜている」らしい。「なんだよ、A5以外の肉も使ってるのかよ!」と思う人もいるかもしれないが、話を聞くとココが1つのミソになっているようだ。同氏は以下のように続ける。
・A5の肉だけを使わない理由
「みなさん、A5のお肉が高級で美味しいと思っていらしゃいますが、A5のお肉だけですき焼きを作ると脂っこくて美味しくなくなっちゃったりするんですよ。だからバランスを取る必要があるんです。このお肉なら、厚みがこれくらいだと食べごたえもいいし、脂が多すぎないし、甘みも感じるというところ。そのバランスを取ることに1番苦労しました。
食肉バイヤーが数年にわたってチャレンジしていたのですが、なかなか美味しく仕上がらないんですよ。和牛をたくさん入れたら入れたで脂っこすぎるという問題がずっとついて回ってまして。かといって赤身にすると硬くなっちゃうし、肉が分厚いと美味しくないし、逆に薄いと食べた気がしないし、という問題がずっと……」
──その試行錯誤の末に完成したのが、『黒毛和牛すき鍋』である。
開発の裏事情を聞くとますます食べたくなる人だっているだろうが、先に述べた通りこれは数量限定商品。吉野家によると、全国で50万食を用意しており売り切れ次第販売終了とのこと。つまり……そうだ。気になる人は店舗に急ぐべし。
ただし、5日の早朝とかに行っても意味がない。念のためにもう一度言うが、販売開始は2020年10月5日午前11時からだぞ。
Report:和才雄一郎
Photo:RocketNews24.