長く軍事政権だったミャンマー。そのミャンマーで2010年に20年ぶりの選挙が行われ、そして2011年のテイン・セイン政権発足後、急速に民主改革が行われている。その一環として、2012年には新聞・雑誌などのメディアの事前検閲が廃止された。言論の自由への第一歩である。
メディア事前検閲の廃止を受け、ついに……ついにある雑誌がミャンマーで初めて刊行された。その雑誌のテーマは「大人の性教育」。セックスや性をテーマとした未成年閲覧禁止の雑誌である。
ミャンマー初の性をテーマにした雑誌『Nhyot』は2012年11月27日に創刊された。この手の雑誌は今までも地下では販売されいたと考えられるが公式に出版されたのは初めてだという。価格は3000チャット(約300円)。ペットボトルの水が100~200チャット(約10~20円)で買えることを考えるとかなり高い。しかし、男性を中心にバカ売れしているそうだ。
気になる内容だが、まず、巻頭から巻末までいたるところに肌も露わなセクシーな写真が大量に掲載されているそうだ。ほかにも、「ベッドでの小さな秘密」、「モテるためには?」、「タイプ別:男が絶対に好きにならない女」などの読み物から、性に関するQ&Aなどなど、深く切り込んだ内容。性に対して保守的だったミャンマー社会から見るとかなり刺激的だ。
読者の興味をそそっているのはセンセーショナルな内容だけではない。理由はもうひとつある。それはこの雑誌が「未成年閲覧禁止」であることだ。
これまで、事前検閲があったミャンマー・メディアには今まで年齢制限が設けられることはなかった。ミャンマーの成人年齢は18才。18才未満が見てはいけないものとは、一体どんな内容なのか……この国内初の新しい取り組みに読者も興味深々というわけなのである。
『Nhyot』編集長は「この雑誌の出発点は“健康”です。性に関する知識が広まれば、HIVやそのほか性病から身を守ることができます。基本的にミャンマーでは性教育はありません、大人になってもセックスの知識はそれほどないのです」と語っている。
表現の多様性への一歩を踏み出したミャンマー。一方でメディアの事前検閲が廃止になったとはいえ検閲部が依然として存在することから「言論の自由には程遠い」とする声もある。
しかし、この国内初の18禁雑誌創刊が一石を投じたことには変わりない。海外メディアも「今までのミャンマーの価値観では全く考えられない」と評価しているそうだ。
(文=澤井恵)
参照元: china.com、news.21cn(中国語)、Salween News Online(タイ語)
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オリジナル記事: 【民主化の波】民主改革中のミャンマーで初の18禁雑誌が創刊 / 高いのに男性を中心にバカ売れ
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