ジャンボ! チャオスです。ケニアの首都ナイロビでタクシー運転手をしているチャオスです。今回は、ちょっとシリアスな話をするね。
ひょんなことから、日本のゴー(羽鳥)と『キベラスラム』の話になった。知っている人も多いと思うけども、そこは “アフリカ最大のスラム” とも呼ばれていて、治安良好で安全……とは言い難い場所。
ゴーを助手席に乗せながらキベラスラムの近くを通った時、必ず「ここは本当に危険な場所だ」と忠告していたんだけども、そういえばオレ、キベラで体験した恐怖体験をゴーにも話していなかった。なので今回は、記事を通じて、あらためて注意喚起をしておきたいと思う。
・殺されかけた
時は2015年。オレは、1人の青年をタクシーに乗せた。年齢は25歳くらいか。彼が指定した目的地はキベラスラム。正直、怖いな〜と思ったけど、人を運ぶのが仕事なのだから仕方ない。彼を乗せて、キベラスラムへと車を走らせた。
キベラスラムへの目的を聞いてみると、彼はオレに「母親に会いに行く」と言っていた。だが、あとあとわかったことだが、この話はウソだった。やがて車はキベラスラムへと到着。
すると……
すぐに銃を持った2人の青年が車の前に出てきて、オレに銃口を向けたのだった。強盗だ。オレは「殺されるかも……」という恐怖で混乱したが、そのまま車を動かし、銃を持つ2人の男に向かって車ごと体当たりした。彼らはグッタリしていた。
オレは彼らを「倒した」と確信してから、最初に乗せた青年を車から降ろさず、そのまま警察に連行した。彼は警察に「暴行を受けた」とウソの証言を訴えたようだが、警察はオレの証言を信じてくれた。そしてその後、その青年は警察に殺された。
ちなみに、オレが車で体当たりした2人の青年は病院に担ぎ込まれたらしいので死んではいない。しかし、「証拠がある」とのことで、そのまま病院で逮捕されたらしい。証拠というのは、おそらく拳銃のことだろう。
話をまとめると、オレが乗せた青年と、キベラスラムで待ち構えていた2人の青年はグルの強盗だったということだ。こんな経験をしているので、オレはゴーに対して、口酸っぱく「危険だから近づくな」と忠告してきたのだ。
・どうかキベラスラムをナメないでほしい
もちろんキベラスラムにいる人みんなが悪い人なわけではない。だが、ケニア人であるオレですら銃を向けられるような危険な場所であることは忘れないでほしい。彼らも生きるのに必死だ。冷やかしや、遊び半分で行くような場所ではないよ。
なにせオレは殺されそうになっているから。そして相手は死んでいるから。7年間タクシー運転手やってきて、一番の恐怖体験はコレだね。そういえば、ゴーと一緒にテロリストと間違えられて軍隊から機関銃を突きつけられたこともあったなぁ……(遠い目)。でもキベラでの経験が一番のショックだ。では、クワヘリ!
Report:チャオス(カンバ族)
超訳:GO羽鳥
Photo:RocketNews24.