普段当たり前に接するものほど、そのありがたみは忘れがちである。例えば、かつ丼。以前、福井県出身者の友達は言っていた。「東京でかつ丼を初めて食べた時は感動した」と──。
なぜならば、福井県ではソースかつ丼が主流であり、卵とじにされていることにめちゃくちゃスペシャル感があったのだとか。もちろん、これは福井県出身者全てがかつ丼に感動するという話ではない。その友達がたまたま知らなかっただけだろう。だが、その時私(中澤)もまた目からウロコの気分になったものである。
言われてみれば、かつ丼はかなりスペシャルなメニューだ。とんかつに卵まで惜しみなく使われているのだから。そんなかつ丼が税抜き299円で売っているという。バ、バカな!? 一体かつ丼に何があったと言うんだ!!
・オーケーストアのかつ丼
ヤケを起こしたような値段でかつ丼を売っているのはディスカウントスーパーのオーケーストアである。私がその情報を得たのはTwitterから。以前ご紹介した「最強激安スーパー『オーケーストア』のカツサンド」の記事にかつ丼をオススメする声が届いたのだ。
しかし、そこまで安いと、逆に味が心配になってくる。肉が薄切りすぎたり、つゆが単調な甘い味で、安っぽかったりするかもしれない。
・調査
特に、つゆが安すぎる味だと、全体に響いて「買わない方がマシ」というのもありえるので調査が必要だ。さっそく、オーケーストアの惣菜コーナーを見てみたところ……ええッ!?
かつ丼だけでなく弁当系がほぼ税抜き299円だ! サバの塩焼きもガパオライスも299円!! 野菜天重に至っては税抜き199円じゃないか! なんだこの大特価パラダイスは!? それでいて、特に割引されているというわけではない。通常価格である。通常って何だろう?
見たところ、分量的にも他のスーパーや弁当屋に劣るものではない。だが、さらなる調査のため、ロースかつ重を購入してみた。間違いなく299円である。
・3つのこだわり
どうやら、ロースかつ重はオーケーストア的にもおすすめの品であるようだ。売り場に貼られていたポップによると、オーケーのロースかつ重には3つのこだわりがあるという。
まずは、とんかつ。きめの細かさと上質な味わいのカナダ産三元豚を使用し、ロースかつを店内にて調理しているのだとか。次に、だし。「甘さが引き立ち食欲をそそる」と書いているため甘めなのだろう。オーケー特製オリジナル出汁のようだ。最後に、ごはん。甘みと旨みにこだわった富山県産米を店内で炊き上げ使用しているという。
・食べてみた
この3つの情報から客観的に判断できることは、少なくとも店内で作り、出来立てを提供しているということ。それはスーパーでは特に珍しいことではないかもしれないが、やはり299円という価格はありえない。味に秘密が隠されているのだろうか? 食べてみたところ……
普通にウマイやん。
ロースかつの肉は厚く、噛むと衣に染み込んだつゆがじゅんわりとにじみ出す。その味は確かに甘めだが、深みがあり決して安っぽいものではない。
さらに、かつとつゆの旨みが染み込んだご飯もまた美味。ちゃんと「かつ丼食ってるなあ」という実感が味わえた。スーパーのかつ丼で考えると上出来だろう。まして299円となれば「激ウマすぎる」と言っても過言ではない味だ。
知れば知るほどにその安さの謎が深まるオーケーストアのかつ丼。事実は1つ。これが299円で売っているということだ。安かろう悪かろうでないことは食べたら分かる。オーケーストアに行った時はぜひ確認してみてくれ。
Report:中澤星児
Photo:Rocketnews24.