「ユナイテッド・シネマ」が国内初の “ポップコーンのデリバリー” を開始 / 実際に利用してみたらハイレベルなサービスだった

例えば祭りの屋台の焼きそばや、海の家のカレー、そして映画館のポップコーン。非日常の場所で、あるいは特別な空気感の中で食べると一際美味しく感じる料理というのが、この世には存在すると思う。筆者はこれらを「郷土料理ならぬムード料理」と心の中で勝手に呼んでいる。

さて、ここで取り上げたいのが、有名シネコンの「ユナイテッド・シネマ」が先日2020年8月6日から開始したサービスである。なんとあの「Uber Eats」と連携して、映画館のポップコーンをデリバリーしだしたというのだ。筆者が勝手に「ムード料理」と呼んでいるものの界隈に、いま激震が走っている。

映画館のポップコーンを、映画館でなくとも食べられる。この国内初のサービスを通じて、ユナイテッド・シネマは「お家鑑賞ライフを強力にサポート」すると打ち出している。自宅でも映画館気分が味わえる、というわけだ。

ただ注意すべきは、現時点でデリバリーサービスを導入しているのが「ユナイテッド・シネマとしまえん(東京都練馬区)」と「ユナイテッド・シネマテラスモール松戸(千葉県松戸市)」の2館のみというところである。

幸運にも筆者の住まいは配達範囲内。さっそく注文ページを見てみると、塩味・バター醬油味・キャラメル味・トリュフ塩味(Uber Eats限定)の4種のポップコーンのうち、好みの3種を選ぶ形式となっていた。価格は3つで1200円だ。

また、ほかにもアイスティーやペプシコーラなどMサイズのドリンクを各300円で頼め、加えてデリバリー利用特典としてユナイテッド・シネマグループの劇場で使える映画鑑賞割引券まで用意されている。なかなかどうして良サービスの香りがするではないか。

しかし気がかりな部分もある。というよりそれを確かめるのが注文の目的でもあるのだが、つまりは「自宅で食べる “映画館のポップコーン” は果たして美味しいのか」ということだ。

いざ食べてみて「やはり映画館で食べた方が美味しい」「美味しさはあの場の空気のおかげだったのだ」となってしまったら怖い。失意で血の気が引きかねない。ポップコーン性ショックである。

そんなことを考えつつ、とりあえずは塩味・バター醤油味・トリュフ塩味の3種を注文。しばらくして、紙袋に入った実物が自宅に届いた。

3つの紙袋に、パンパンにポップコーンが詰まっている。ボリュームがすごい。大量のポップコーンに囲まれると、歓喜と恐れがないまぜになって何やら大声を出したくなってくることを初めて知った。

無論それ自体は嬉しい悲鳴なのだが、一方で少し困ったのは袋に味が書いていないことだ。開封して匂いを嗅ぐなどすればわかるものの、外袋から透けて見える部分だけでは厳しい。ポップコーンという食べ物が驚くほど見た目で判別しづらいことも初めて知った。

ともあれ、問題は味である。美味しければ全て良しなのである。というわけで、3種を皿に取り出してそれぞれ実食してみたところ、結論から言うとただただひたすらに美味しかった

まず最初に食べたのは塩味のポップコーンだ。辛すぎない塩気がほどよく舌を刺激し、ふわふわとした食感も相まって、咀嚼していて快いと言うほかなかった。

まさしく王道のザ・ポップコーンといった具合で、万人に受け入れられる仕上がりだ。シンプルだが、かといって自作でこのクオリティも難しいだろうと思わせられる。

次に食べたのはバター醤油味。注文ページに「当館一押し」との文言があったのだが、その通りのやみつきになるポップコーンだった。

香ばしくコクのある甘辛い醤油にバターの風味が合わさり、高い中毒性をもってこちらを引き込んでくる。個人的には味に複数のトーンがある分、塩味よりも好みだ。

が、さらなるハイレベルぶりを堂々と見せつけてくれたのが、最後に食べたトリュフ塩味だった。Uber Eats限定というだけあって、濃厚でいて上品なトリュフの芳香から、開発者の気合の入りようを受け取らずにいられなかった。

筆者にとってポップコーンは「サクサク食べるジャンク料理」という認識が強かったのだが、このトリュフ塩味に関しては深く感じ入りながら「美味(びみ)……」とつぶやいてしまった。

トリュフ塩味を食べるためだけにデリバリーを利用する価値があるとさえ思える。それほどに心底美味しかった。

こうして3種を食べ終えた今となっては、食べる前に味を疑っていたことが申し訳なくて仕方ない。いま自分こそがこの国で1番ポップコーンに対して忸怩(じくじ)たる思いを抱いているという自負がある。

もう1つ発見があったことを付け加えておくと、配達されたポップコーンの味と匂いを堪能しているうちに、不思議なもので本当に映画館にいる気分になってくるのだ。料理自体がムードを作り出すという、「ムード料理」の新境地を見た心地である。

改めて、デリバリーに対応している劇場が2館のみというのはもったいない。これからの拡大に期待するしかない。新たな形のポップコーンブームが膨らんで弾けることを、心の中で勝手に願っておこう。

参照元:ユナイテッド・シネマ公式HP(PDF)
Report:西本大紀
Photo:Rocketnews24.

カテゴリー グルメ, ポップコーン, ユナイテッド・シネマ, 国内, 映画, 映画館, 生活

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