「トランスジェンダー」という言葉をご存知だろうか。これは生まれもった「性」とは、異なる性別を自認している個人やグループをさす一般用語である。つまりは、男性として生まれながら、女性の心を持っていたり、また逆に女性として生まれて男性の心を持つ人のことをいう。
とある海外のカップルについてご紹介したい。彼らは出会った当初、レズビアンであった。ところが一方の女性がトランスジェンダーで、男女両方の感情の狭間で揺れ、性転換を経て超えなければならない壁にぶち当たった。ふたりの恋愛はとても困難な道のりを歩んでいるようだ。
セディは自らのことを、「失敗したレズビアン」と説明する。彼女はこれまでに現在のパートナーを含め、3人の女性と関係を結んできた。しかしいずれの恋愛も、あまりうまく行ったとはいえない。現在のパートナー、マルコとはすでに2年半にわたって生活をともにしているのだが、愛情だけでは容易に乗り越えられない壁に直面していた。
セディがマルコに出会った当初、マルコは「エリカ」という名を名乗る女性だった。当初ふたりはレズビアンとしての関係を育んでいたのだが、いつしかセディは男性と交際しているような感覚を味わうようになり、それが当たり前のことのように思われた。
正確にいうなら、当時女性だったはずのマルコは、女性でも男性でもなく「中間的性別」の持ち主のようになり、ふたりの関係も性別のない中間的なものになっていった。
幼少の頃から自らの性別を好ましく思っていなかったマルコは、セディと出会うことにより、一層男性的な側面を強く持つようになったのだ。そしてついに女性から男性へと、性転換することを決意する。まずは髪を切り、次に胸を取り、2013年5月には本格的な手術を受ける予定まで立っている。
ところが思わぬ形で問題が発生した。「エリカ」と名乗った女性は、すでにマルコという男性へと変化し始めている。いわば「エリカ」は死に、マルコが生まれた状態。「エリカ」の死はふたりにとって、思いのほか大きな喪失感を与えてしまったのだ。テストステロン(性ホルモン)を投与するたびに、マルコの体は肉付きがよくなり、声も低くなっていく。マルコがより男らしくなればなるほど、「エリカ」の死の色もまた深くなった。
当事者であるマルコは、幼少の頃から男性になることを夢見ていた。女性性を失いつつあるとはいえ、夢が叶おうとしていることで、マルコの心持ちは日増しに落ち着いていく。しかしセディはといえば、パートナーを男と認め、運命的な出会いをした女性(エリカ)は、永遠に失われたと割り切ることしかできなかった。セディはマルコと暮らしをともにするうちに、何か「本物」ではない感覚にさいなまれることとなる。
とはいえ、時間が解決してくれる道を選ぶよりほかない。今はふたりで、子供を持つ日のことを夢見ているという。もしも子供が大きくなったときに、セディはマルコのことについて包み隠さずに話す用意があるそうだ。
「私たちは「異性関係」でありたいと思っています。でもそれは本当のことじゃない。私たちはそうじゃない。そうじゃないのよ」
彼らの前には、この先も克服して行かなければならない壁がいくつもあるだろう。そのたびに、セディもマルコも性別の間で揺れながら、問題を解決して行かなければならない。
参照元:MailOnline(英語)
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オリジナル記事: トランスジェンダーの抱える問題 / 性転換をへて超えなければいけない壁
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