かわいい動物を目にしたとき、大切に世話したいと思う気持ちよりも先に、ぎゅーっと力の限りに抱きしめたくなったり、思わず「食べちゃいたい!!」という衝動に駆られたことはないだろうか? 人間についても同様。「かわいい奴ほどいじめたくなる」という感情に共感できる人は少なくないはずだ。
頭では大切に扱うべきと分かっていても逆の行動をとってしまうというあなた。大丈夫。実際、こうした「相手をかわいいと思うあまりに攻撃的になる」という反応は「普通の反応」であることが最新の研究によっても明らかになったのだ。
研究を行ったのはイェール大学で心理学を専攻している大学院生レベッカ・ダイアーさん。彼女は仲間の研究者との会話の中で、ネット上のかわいい動物の写真を見たときにその対象を強く抱きしめたり、握り締めたくなる理由に興味を持ったとのこと。
これまでの心理学の研究では反対のことが主張されていた。つまり「人はかわいいものを見たとき、その対象を優しく、大事に扱いたいと思う」というものだ。この「常識」に疑問をもったダイアーさんは研究を開始した。
ダイアーさんら研究チームは109名の実験参加者を募り、調査を開始した。まず、参加者にかわいい動物、面白い動物、普通の動物という3種類の写真を見てもらった。たとえば「普通の動物」というのは真面目な表情をした大人の犬の写真、「面白い動物」は車の窓から頭を突き出している犬の写真、「かわいい動物」はふわふわの毛並の子犬の写真というようなものだ。
参加者には各写真の「かわいらしさ」「おもしろさ」、そしてどれだけ自己抑制が効かなくなるかを評価してもらった。自己抑制が効かなくなるかどうかは、「我慢できない」という気持ちを抱くか、「うーっ!」とうなり声を出したくなるか「何かを強く握りしめたい」と思うかといった点で評価された。その結果、かわいい動物を見たときほど、うなりたくなったり、何かを握り締めたくなる傾向にあることが明らかに。
更に、実験結果の確証を得るために研究チームはもう一つの実験を行った。90名の実験参加者に先の実験同様にかわいい動物、面白い動物、普通の動物の写真を見てもらいながら、プチプチシートのプチプチ部分をつぶしてもらうという実験だ。
参加者には、運動神経と記憶力に関する調査であると告げて、本来の意図は伝えなかった。その結果、かわいい動物を見ているときの方が、より多くのプチプチをつぶす傾向にあることが判明。つぶしたプチプチの数はかわいい動物を見ているときには120、普通の動物は100、面白い動物は80とその差は歴然だった。
かわいいものを見たときにこうしたある種の攻撃性が生じる理由については未だ不明であるものの、ダイアーさんは二つの仮説を唱えている。一つは「かわいい動物を見ると、世話をしたくなる衝動にかられるものの、実際は単なる写真で世話をすることができないため、欲求不満が募り攻撃的な反応を示してしまう」というもの。
もう一つは「対象を傷つけまいと慎重になるあまりに逆の行動をとってしまう。例えば、ペットの世話をしたいと思う子どもがうっかり強く抱きしめ過ぎてしまうというように」というものだ。
人が喜びのあまりに号泣してしまうことがあるように、「好きだ!」「かわいい!」「嬉しい!」というようなポジティブな感情もそれが度を超してしまうと逆の反応を示してしまうという現象に通じるものがあるのだろう。
かわいいものほど大切に扱うべきと頭では分かっていても、逆の行動をとってしまうという今回の研究結果。自分だけじゃなかったと胸をなでおろした読者も少なくないのではないだろうか。
(文=佐藤 ゆき)
参照元:Mail Online(英文)
photo:flickr Maarten Dirkse
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オリジナル記事: 「かわいい奴ほどいじめたくなる!」というのは普通の反応であることが研究で証明される
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