沖縄には大小様々な約150もの離島がある。古宇利(こうり)島もそのひとつ……と言いたいところだが、この島は約15年前に沖縄本島と橋で連結された。よって現在は「離島」ではなく「元・離島」と呼ぶのが正解らしい。
那覇から車で2時間弱ほど。コンビニもないこの島に、多くの観光客がやってくる理由は何なのか? 今回訪れて分かったことは、まず豊かな自然とビーチ。そして絶妙な立地。さらにもうひとつが “愛のパワースポット” の存在だった。
・古宇利島の歩き方
島へ続く全長約2キロの長〜い橋は無料で通行できるのが嬉しい。昔は命がけで泳いで島へ渡る島人もいたのだとか。
島には昔ながらの民家に混じってペンションが立ちならぶ。中にはプール付きのものや富裕層向けとみられる建物もあり、 “隠れリゾート” 的な側面もあるのかもしれない。カフェやみやげ店も多いが、休業が目立つ様子。
さて今回の目的地は通称『ハートロック』と呼ばれるパワースポットだ。その所在地についてだが、1周するのに10分ほどの小さな島であるため、海岸寄りの道をただ走っておけばOK。近くを通れば大きな看板が目につくだろう。
駐車場に車を止め、徒歩で海岸へ下る。「本当にコレなのか」と不安になるほど道が狭い。
おまけに足場が悪く、雨など降れば転倒の危険があるから注意だ。
コロナ禍にも関わらず、それなりに観光客の姿が見られる。やはりここはある程度有名なスポットなのだろう。そうなると普通は観光協会あたりが「もう少し道を整備しよう」とか考えそうなものだ。しかしながら個人的には、こういう道は険しいからこそ良いのだと思う。
そのへんの味わいというものを地元の人も理解しているのか、あるいは単に放置されているのかは不明だが……周辺の情緒も含めてのパワースポット、と捉えればいいのではないだろうか。ちなみにこの海岸は『ティーヌ浜』という名らしい。
最後の急斜面を下ると……
目の前にハートロック出現!
・カップル多し
浜辺から数メートルほどの海中より、ニョッキリ突き出た2つの岩。1つは確かにハート型っぽくも見え、もう1つは「ちょっと無理があるけど言いたいことは分かる」といった形状だ。この2つの岩を『寄り添うハート』と解釈する見方がまず1つ。
そしてさらに、ハートロックには別の見方があるようだ。海岸を移動して立ち位置を変えれば2つの岩が重なり、全然ハートには見えなくなってしまう……
が! あるポイントへ移動すると……
なんと岩同士が絶妙なバランスで重なり、先ほどより断然ハート型に見えるのである!!! 不完全な2つのハートが重なりし時、完全なハートが生まれる……って、なんかメッチャ素敵やん。どうりで周りがカップルだらけなはずだよ。
・ちょうどえぇパワスポ
とはいえ、シングルの方もご安心いただきたい。恋愛成就系パワースポットの中には “1人で来ていることが空しくなるような場所” も多いのだが、ここはそこまで恋愛に特化したパワースポットという雰囲気でもないようだ。家族連れや、釣りに来た地元の少年の姿もある。
かく言う私も最初は「恋愛運が上がれば……」という気持ちがゼロだったわけではない。しかしティーヌ浜の美しい景色を眺めてるうち、恋愛運のことはどうでもよくなってきた。ここはもっと広い意味での『愛』を感じさせてくれる場所なのではないだろうか。
個人的にこの島の強みは “ちょうどいい距離感” であると思う。那覇中心部から車で2時間弱と聞けば少し遠いが、地図をよく見ると『美ら海水族館』から近い。ハートロックだけを目指すのは少しためらうけれど、水族館のついでと思えば「ちょっと寄ってみようかしら」という気もわくだろう。
自家用車がない場合は多少苦労するかもしれないが、先に述べた通り古宇利島は非常に小さい。本島からここまで歩いて来ることも全然不可能じゃないのである。浜への道のりも、多少険しいとはいえ10分ほどのことだ。
「あまりにも秘境すぎるのは困るけど、沖縄の穴場へ行ってみたい」というワガママ旅行者にとって、ハートロックは非常に “ええ塩梅” の場所。パワースポットとして総合点を割り出すと、個人的には100点をあげてもいいと思う。
Report:亀沢郁奈
Photo:RocketNews24.