塩は、私たちの命を育んでくれる、大切な食品のひとつ。そしてまた、葬儀の際に「お清め」として使用されるなど、死に非常に密接な存在でもあります。
今回ご紹介するのは、そんな生と死の要素を併せ持つ「塩」を大量に使った、インスタレーション・アート。製作しているのは、広島県生まれの日本人で現代美術アーティストの、山本基さんです。
妹さんが24歳のときに他界されたことが創作の原点だと語る山本さんの作品群は、そのどれもが静かで、清廉で、見る者の言葉をすべて奪ってしまうほどの圧倒的な力があります。
深い悲しみと喪失、そして向かい合わざるを得なかった、愛する者の死という体験。「届きそうで、届かない。見えそうで、見えない。そんな感覚、そして写真や文章では残すことができない記憶の核心を、私はもう一度見てみたい」これは、山本さん自身の言葉でつづられた、作品に対する思いです。
床いっぱいに描かれた、塩の絵。ときに石庭のようで、ときに曼荼羅のようで、ときに迷路のよう。或いは波、或いは大きな木の幹。壮大でありながらも繊細な造形に、あなたはまず深いため息を漏らすでしょう。
1日14時間以上も連続して製作に没頭することもあるという、山本さん。その様子までもがあまりに尊くあまりに神聖なものだから、これはある種の祈りのかたちなのだろうか、とすら思えてしまいます。
神聖な空気と静寂、そしてほんの少しの緊張感が心地よい山本さんの真っ白な世界。あなたもぜひ、体感してみて。
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オリジナル記事: 生と死、神聖、そして静寂…塩から生まれる壮大なインスタレーション・アートにひたすら見惚れる
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