北海道・長万部町といえば、蟹飯(かにめし)や温泉が有名な情緒ある街だ。ここには「まんべくん」というイメージキャラクターがおり、いわゆる「ゆるキャラ」として全国的に有名になっている。
筆者(私)は長万部町を訪れ、この町の良さを知った。そして、その良さを全国に広めようと記事にして報じてきたが、町の人たちと触れ合うなかで気になることが耳に入ってきた。しかも複数の人たちから。「まんべくんがふたりいる」というのである。
・観光協会のスタッフは非常に親切
JR長万部駅には、長万部の観光協会の事務所が入っている。そこではまんべくんグッズを販売しており、長万部の観光情報を教えてもらうこともできる。観光協会のスタッフは非常に親切かつ丁寧に接してくれるし、「観光客の人たちに楽しんでもらおう」という純粋な気持ちがあるのがわかる。
・コメントに気になる部分
長万部駅には、まんべくんの部屋が存在する。観光客や地域の子どもたちが楽しめる場になっているのだが、たまにまんべくん本人がここにいて、駅利用者と触れ合うことがあるという。筆者は観光協会のスタッフに飲食店の場所を聞いたのだが、その返答に気になる部分があった。
・観光協会スタッフとの会話
筆者 インターネットでまんべくんに『浜ちゃんぽん』が美味しいと聞いたのですが、ここからどうやって行けばいいですか?
協会 ○○○で△△△で□□□ですね。
筆者 ありがとうございます。やはり『浜ちゃんぽん』は観光協会さんやまんべくんがオススメのお店なんですか?
協会 あー、インターネットは別の人がやっているので、ここ(観光協会)とは違うんですよ。
筆者 えっ? ここのまんべくんとは違う? まんべくんのTwitterですよ?
協会 インターネットのTwitterでやっているのは、こことは違います。別の人ですね。
・まんべくんがふたつに分かれたのは知っている
町の人たちとまんべくんに関する話をすると「まんべくんがふたつに分かれたのは知っている」や「問題起こしてから分かれちゃったのよねぇ」、「あれは別になってるね。割れたの」という共通の情報が出てくる。それはいったいどういうことなのか?
・「まんべくん」の使用許諾権を禁止した過去
もともと、まんべくんはひとりだった。長万部町の許可を得てエム社という会社がまんべくんを管理していた。しかしTwitterのまんべくん公式アカウントで戦争問題に言及し、その内容が物議をかもすものだったことから、長万部町はエム社に対して「まんべくん」の使用許諾を禁止した過去がある。
・「観光協会のまんべくん」と「エム社のまんべくん」
とある喫茶店の店主は観光協会やまんべくんについて詳しく知っている人物で、やや詳しい話を聞くことができた。それによると、問題発生後、謹慎期間(のような時間)を経て静かにしていたが、エム社がTwitterで活動を再開。しかし観光協会はそれを別物として認識しており、「観光協会のまんべくん」と「エム社のまんべくん」が存在する状況になっているという。
・観光協会とエム社の間に軋轢が?
「観光協会はそれを別物として認識」ということは、観光協会とエム社の間に軋轢があることを示している。現に、喫茶店店主は「観光協会がエム社を許してないんですよ。起こした問題についてね。だから今もうまくかみ合ってない。だから別々でやっているの」と話していた。
・仕入れルートにワンクッション?
観光協会とエム社の問題は、まんべくんグッズの仕入れルートにも影響を与えているという。直接エム社と取引したくないのか、観光協会はエム社と取引しているお店にお願いをして、お店が仕入れたエム社のまんべくんグッズを買い取っているのだとか。
・エム社から普通に仕入れるよりお金かかるが
「まんべくんグッズをうまく作っているのはエム社。だから観光協会はエム社からグッズを仕入れたいんだけど、直接仕入れたくないみたいで、ワンクッションおいて仕入れてるのね。エム社のまんべくんグッズを売っているお店があるんだけど、そこから観光協会が仕入れてるのね。そうなるとエム社から普通に仕入れるよりお金かかるでしょう? それでも直接取引したくないみたいなんだよね。エム社に怒っちゃっててね」(喫茶店店主 談)。
・まんべくんグッズの流れ
エム社がグッズを作る
↓
長万部の個人経営のお店 ←直接仕入れずワンクッションおいてる
↓
観光協会
・観光協会もエム社も長万部に対する気持ちは一緒
いろいろと内部事情があるかもしれないが、2012年9月の取材時からその状態が改善されていることを切に願いたい。なぜなら、長万部町の複数の人たちから話を聞いて「観光協会もエム社も長万部を良くしたい」という強い気持ちがあることがわかったからだ。
・いまは関係が改善されてきたのかも!?
目的が一緒ならば、あとは「くだらないプライドと意地」を捨てればいいだけだ。長万部のことを第一に思うならば、何を大切にして、何を捨てなければいけないのか、そこが見えてくるはずである。そういえば先日、東京で開催された観光イベントでは長万部の観光協会とエム社のまんべくんが共同でイベントに参加しているようだった(Twittweでもアナウンスしていたし観光協会も大々的にアピールしていたから)。もしかすると、関係が改善されてきたのかも!?
・ふたつが団結してくれれば
「このままでは、確実にまんべくんは終わってしまう。消えてしまうよ。ジワジワ小さくなって終わる。両方が団結してくれればいいんだけど難しいかもしれない」(喫茶店店主 談)
Correspondent: Kuzo
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オリジナル記事: 【長万部まんべくん問題】観光協会とTwitterまんべくんの間に大きな溝 / 地域住民「まんべくんがふたつに分かれたのは知っている」
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