出だしから唐突ではあるが、この場を借りてみなさんに謝罪したい。本当に申し訳ありませんでした。何のことかと言うと、当サイトのあひるねこ(ごろチキ推し)とK.Masami(ごろビー推し)が見るに堪えない「松屋カレー戦争」を繰り広げたことについてである。
おそらく、松屋を愛する読者の方ならば「ちゃんちゃらおかしい」と感じていたハズ。かく言う私(P.K.サンジュン)がそうだった。簡潔に言うと2人は王者の資格がないカレー同士で争っていたのである。王者とは……そう、松屋のキング・オブ・カレー『フレッシュトマトカレー』のことだ。
・伝説のカレー
松屋の『フレッシュトマトカレー』とは、2010年から2012年まで3年連続販売されていた伝説のカレーである。そのウマさは筆舌に尽くしがたく、当時サラリーマンだった私はウソ偽りなく週4で『フレッシュトマトカレー』を食べていた。だって、休みの日も柏駅東口の松屋まで行ってたんだから。
それはどうでもいいとして、商品名通りのフレッシュさとニンニクのパンチ力、さらには並盛が330円という驚異の価格を実現した『フレッシュトマトカレー』は、まさに伝説のカレーと呼ぶのにふさわしい。松屋の50年近い歴史をひも解くならば「フレッシュトマトカレー前」と「フレッシュトマトカレー後」に分けられるハズ。それほど革命的なメニューであった。
・復刻メニュー総選挙開催!
だがしかし、フレッシュトマトカレーが松屋から姿を消して8年が経つ。その理由は定かではないが、ついにフレッシュトマトカレー復活のチャンスがやってきた。それこそが2020年6月に開始となった松屋『復刻メニュー総選挙』である。
エントリーした9品目のうち、最多得票を獲得したメニューが復活するというシンプルな総選挙は今回が2回目の開催だ(前回の優勝は焼き牛めし)。松屋め、待たせやがって……! ウキウキしながらチェックしたところ、今回エントリーしているのは以下の商品である!!
・牛肉とタケノコのオイスター炒め定食
・担々エッグプレート
・ごろごろチキンのトマトカレー
・トンテキ
・シュクメルリ鍋
・チーズタッカルビ定食
・マーボカレー
・チキンと茄子のグリーンカレー
・ぼっかけ
入ってねぇぇぇぇえええええええ!!
おい、どういうことだ松屋。フレッシュトマトカレーがノミネートしていない総選挙などやる意味はあるのか? そんなもん「歴代最強ボクサー総選挙」にアリもタイソンもパッキャオも入っていないのと同じではないか。総選挙の名が聞いてあきれる。
・中の人を問い詰めた
こうなった以上、松屋に「フレッシュトマトカレーを販売しない理由」を聞いてみるしかあるまい。というわけで、松屋の広報部にコンタクトを取り、長年の疑問をぶつけてみることにした。(以下、荒々しい口調が出てきますが、実際は普通に話しています)。
──オウオウオウ、ワシじゃ。ロケット組の鉄砲玉、サンジュンじゃ。いま『復刻メニュー総選挙』をやっちょるな?
「はい、開催しております」
──オウ、それはええんじゃ。ただ何故「フレッシュトマトカレー」が入っちょらんのか? ワシにわかるように説明してもらおうか? ありゃ伝説のカレーぜよ?
「おっしゃる通りです。フレッシュトマトカレーは3年連続で発売されたカレーで、特に1年目の発売当時はかなり大きな反響をいただきました。現在でもお客様から再販のご要望をいただくことが多い商品です」
──せやろがい! ならなんで8年も販売しとらんのじゃ!! 総選挙に入ってないのもおかしな話やろ!
「まず今回の総選挙で言うと “ごろごろチキンのトマトカレー” と被っているところがありまして……。昨今のごろごろ人気も加味し、今回は “ごろごろチキンのトマトカレー” をノミネートさせていただきました」
──ぐぬぬ。確認じゃが、メニューを9つ選ぶ中にフレッシュトマトカレーは入っちょるんだよな?
「基本的には過去に販売した全メニューの中から選びますので、当然フレッシュトマトカレーも入っております」
──ええわ、もうわかったわ。総選挙に入ってないのは勘弁したるわ。じゃが、8年もフレッシュトマトカレーを販売していないとはどういう了見じゃい!
「はい。実はですね、先ほど申し上げた通りフレッシュトマトカレーは大変ご好評をいただいたメニューではあるんですが、3年目はさほどご支持いただけなかったようで……」
──う、売れんかったということか?
「……はい、そうなります」
──ぐぬぬ。ただそれを聞いて思い出したわ。3年目はやや味がまとまっていたというか、野性味に欠けていたんじゃ。正直ワシも、1年目2年目と比べると3年目はどこまで食っちょらんかったかもしれん……。
「フレッシュトマトカレーに限らず、松屋のメニューはマイナーチェンジを繰り返しておりますので、もしかしたらそういった理由もあったのかもしれません。ただ私の知り得る限りでは、人気に陰りが見えたため終売となった、というのが正直なところでしょうか」
──あ、なんかすみませんでした……。
「いえいえ。ただ本当に復活のご要望をいただくことが多い商品ではありますので、我々としても気には留めております。余談ですが、系列店の松のやでトマトカレーを販売しておりますので、そちらも合わせてご賞味いただければと思います。当時と同じレシピかはわかりかねるのですが……」
──ありがとうございます。松のや行ってみます。大変失礼しました……そしてフレッシュトマトカレーの復活を熱望しております。
・それでも会いたい
フレッシュトマトカレーが終売となったまさかの理由が判明してしまったが、中の人が言うのなら間違いないのだろう。とはいえ、俺は信じてる……! フレッシュトマトカレーこそ松屋最強のカレー……いや、松屋史上最強の激ウマメニューであることを。I Miss You, フレッシュトマトカレー。
というわけで、フレッシュトマトカレーこそノミネートされていないものの、現在松屋では『復刻メニュー総選挙』を開催中だ。もう1度食べたいメニューがある方は振るってご参加いただきたい。最後にもう1度だけ、I Miss You, フレッシュトマトカレー。
取材協力:松屋
Report:P.K.サンジュン