『アメリカのドライブイン』に漠然とした憧れを抱いている。時間帯はもちろん深夜だ。おそらく古い海外ドラマの影響だろう。ネオン輝くドライブインに “地元のワル” たちが夜な夜な集ってアメリカンジョークなどを飛ばし合う光景……一度でいいから見てみたい。
ところでアメリカ文化の色濃く残る沖縄には、そういった欧米スタイルのドライブインが現存していると聞いた。那覇中心部から車を走らせると、さっそく目につく真っ赤なネオン! 思わずアメリカ風に「Yeah!」と声が出てしまうな〜。
・沖縄発祥のバーガーチェーン
今回訪れたのは『Jef』豊見城店。ドライブインで働く少年の名っぽくもある『Jef』は、沖縄県内に3店舗を構えるファストフード店だ。
沖縄でいう “ドライブスルー” は、一般的なそれと若干システムが異なるらしい。まずドライブスルー用の駐車場がかなりの台数分完備されており、それぞれにメニュー表とマイクが付いている。本州のドライブスルーであれば、ここで即刻マイクの向こうから「ご注文は?」と声がかかるのが普通。
しかし沖縄スタイルの場合、まず客はゆっくりメニューを眺め、自分が何を食べるべきか考えることができる。覚悟が決まればボタンを押し、注文を告げればいいのだ。後続車に急かされる心配もなく、ゆとりがあって非常によい。
ここの看板メニューは『ぬーやるバーガー』。名前からはバーガーであること以外に一切の想像がつかないが、聞けば別メニュー『ゴーヤーバーガー』に肉を挟んだものが『ぬーやるバーガー』(バンズも違う)なのだそう。
( ※ 「ぬーやるばーが」とは沖縄の方言で、「なんなんだ!」や「何なの?」という意味)
実はそれ以外にも『Jef』は珍メニューの宝庫。直径15cmもあるという『ジャンボポークサンド』に、謎めいた『おにぎり』や『ぜんざい』、果ては給食でおなじみの『あげパン』まで……全てを注文できないのが悔しいばかりだ。
とりあえず今日のところは絶対に抑えておきたいメニューを注文し、しばし待つとお店の方が車まで商品を運んできてくれた。サンキュージェフ! 便利すぎるぜジェフ!
・食べたことのない味
それでは持ち帰ったバーガー達をさっそく頂いてみよう。
パッケージは白地に赤と青が基調。
ちょっぴりレトロな感じがいちいちオシャレ。
まず気になる『ぬーやるバーガー』(税込390円)は、ゴーヤーを卵で包み焼いたものとポーク肉がサンドしてある。奇抜そうに見えて実は発売25年のロングセラーらしいぞ。沖縄はジャンクな味付けの多い印象だが……
コレはちょっと予想外のウマさ。
卵とマヨの優しさがポークを包み、いい意味で全然ジャンクじゃない。なんならハンバーガーですらないみたいである。「ゴーヤー」と聞けば苦手意識を持つ人もいるかもしれないが、多分コレならイケるのではないだろうか。
ただ惜しむらくは私が “沖縄県民も裸足で逃げ出す生粋のゴーヤー好き” だったこと。もちろんゴーヤーが絶妙なアクセントになってはいるのだが、「苦ければ苦いほどイイ」と考えている私にとっては、ちょっと苦味が弱すぎるようだ。次回は『ゴーヤーバーガー』を注文してみよう。
サイドメニューの『ゴーヤーリング』(税込210円 / Sサイズ)はよりゴーヤー感があってオススメ!
それから現地の人に「マジでウマい」と推薦されていた『フライドチキン』(税込260円 / 1ピース)がマジでウマかったこともご報告しておきたい。衣自体に味の主張がないため素揚げに近く、鳥本来の旨味を感じることができる。クリスマスはヨロシク頼むぜジェフ!
・アレにも挑戦
さて……沖縄のファストフードといえば避けては通れないのが『ルートビア』である。この飲み物を沖縄の人はコーラ感覚でジャブジャブ飲むのだが、独特の風味があるため私はど〜にも好きになれていない。
……という話を沖縄の人にすると、百発百中で「慣れればハマる」との答えが返ってくる。ってことは多分そうなのだろうから、『Jef』のルートビア(税込180円 / Sサイズ)にもチャレンジするほかない。どれどれ……
グェ〜! やっぱりこの独特な感じ!
……無念。もちろん断じてマズいわけではないのだが、今回のチャレンジでは「ルートビアの魅力発見」とまで至らなかったらしい。今後も修行を重ね、いつの日か沖縄の人たちとルートビアで語り明かしたいと思う。みんなも沖縄に行ったら絶対試してみてくれよな。
ちなみに今回はハンバーガーしかご紹介できなかったけれど、『Jef』ではハンバーグやスパゲティ、タコライスなどの軽食メニューも豊富に取り扱っている。独自の発展を遂げた “沖縄のドライブイン” 、一度は体験してみるべし。
参考リンク:Jef公式ホームページ
Report:亀沢郁奈
Photo:RocketNews24.